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29剣の勇者の子孫⁉

 私たちは直接にキャンプファイヤーの会場に向かうことにする。 怒って顔をそむけたら、ちょうど三人の酔っ払いが一人の女の子に絡んでいるのを見た。

 どうやら無理やりナンパしているようだ。見て見ぬふりはできないぞ!フランドも気づいたらしく、私と一緒に酔っ払いのところに行く。


「お前らやめろよ、相手が嫌がってるだろ」


 フランドは一人の酔っ払いの腕を掴んで振り払った。私は急いで女の子のところに行ってみたら……え⁉オエリちゃん?


「え⁉お嬢様、それにアゴストさん⁉」


 えっえっ!オエリちゃん⁉オエリちゃんはビールガールの衣装を着て、とても短いスカートを穿いて、細くて長い足を露出している。豊満な太ももは、とても白くて清潔で、ついついつかんでしまいたくなる。

 胸元の装いは超セクシーけど、それになんとなくすごいものが見えそうだ。

 顔に化粧をして、かつらをかぶって……


「え⁉お嬢様、どうしたんですか⁉」


 オエリちゃんにそう言われて、私は初めて自分が鼻血を出していることに気づいた。


「ああ、大丈夫だよ、何でもないよ」

「お嬢様、それは何でもないとは言えませんよ!」


 オエリちゃんはハンカチを取り出して、私の鼻血を拭いてくれた。本当に素敵だな、オエリちゃん。しかもいい匂いがするし、えへへ〜

 しかし、酔っ払いたちは我慢できなくなったらしく、フランドに向かって大声で叫んだ。


「てめぇーら!俺たちが誰か分かるか!」

「三人のバカで下品な酔っ払い?」

「馬鹿にするな!くらえ!」


 フランドは二人の酔っ払いのパンチを簡単に避けて、二人の顔面に蹴りを入れた。二人の酔っ払いは少しバランスを崩したが、なんとか立っていて、めちゃ滑稽。


「まだ喜ぶなよ」

「覚えてろよ!」


 一言ずつ言ってから、二人の酔っ払いはそのまま道路に倒れた。もう一人の酔っ払いはフランドが強すぎると思って逃げ出した。


「おい!仲間たちを放置して逃げたってのはどうなんだよ?笑わせんな。さあ、美しいお嬢さん、もう大丈夫だ」

「訂正させてください、僕は男……」


 フランドはオエリちゃんの言葉を聞かなかったらしく、私に向き直って微笑んだ。


「そうだ、レイラ。もうすぐキャンプファイヤーが始まるから、口元を拭きなさい」


 え⁉私まだ拭き残しがあるの?もしかしてさっきの焼き肉串?私急いでハンカチを取り出してもう一度口元を拭こうとする。ああ!恥ずかしい……


「お嬢様、それは必要ありませんよ。アゴストさんはからかってるだけです」

「え⁉そうなの?」


 フランドは失望した顔をしていた。計画が失敗したのが悔しかったらしい。ああ!ムカつく!この男。


「失策だ。やっぱりお前たちは女の子同士だし、しかも主従関係だしなぁ」

「ふん!お嬢様は僕と一緒に踊ると約束してくれました。だからここは僕に任せてください。あなたこそもう帰っていいです」


 え!私本当にそんなこと言った?あ!思い出した!すっかり忘れちゃったよ。ごめんね、オエリちゃん。

 でもフランドは私の手を引っ張って、自分のそばに引き寄せた。


「まだ仕事が残っているでしょ、ビールガールさん。お前の主人俺が連れて行くぞ」


 しかし、これはオエリちゃんの闘志をかき立てたらしく、オエリちゃんもやってきて、私のもう一方の手を引っ張っている。


「違います、お嬢様は私と踊るんです」

「二人の女の子が踊るなんて悲惨じゃないか?」


 私は二人に力いっぱい引っ張られて、腕がもげそうだ!優しくしてよ!


「待って!腕が……」

「いいえ、お嬢様は僕に踊りを教えるって約束したんです!どうか諦めてください」

「だからキャンプファイヤーは男女で踊るものだろよ」


 私の腕が痛い!関節がひねられそうだ。誰か助けてくれ!!誰でもいい……


「おい!そこの男、俺たちが復讐に来たんだぞ!」


 ん?なんか聞き覚えのある声だな?ああ、さっきの酔っ払いだ!でも今回……


「俺たちはこの辺りのヤクザだぞ。俺たちに逆らって生きて帰れると思ってんのか?」

「すぐにお前を山奥に埋めてやる。わはははは!」


 やっぱり、酔っ払いは仲間を連れてきた。でも私にとっては、もう救われた!私は感謝の気持ちで悪党たちを見つめる。心からありがとうと言いたいなぁ。

 やっと二人の注意をそらすことができて、私の両腕も伸ばすことができた。相手は約二十人ぐらいで、みんな凶暴な顔をして、斧や長剣を持っていた。


「結局は雑魚の集まりだな、ゴミはどれだけ増えてもゴミだ」


 フランドは言葉で相手を挑発し始める。効果は抜群だよね。

 相手はすっかり怒り狂っていた。相手の注意は私とオエリちゃんには向いていないはずだ。


「てめえ!絶対に殺してやる!!」

「小僧ども、やれ!」

「白髪の美女には手を出すなよ」

「マジで美しいな。あんな可憐な姿を見たら、誰が傷つける気になるかよ」

「おい!あの美人を傷つけたやつは、殺すぞ!」


 え?私は傷つけられてもいいの?私も手を出したくなったが、フランドの腕を考えると、ここは私が出る必要はないだろう。

 私のそばにいるオエリちゃんを守ればいいんだ……

 だが断る!私も戦うことにした。この野郎どもに苦しめてやらなきゃ! 悪党は雷魔法で稲妻を呼び出し、その魔法の稲妻をフランドに向かって突進させている。

 その時、黒い影が飛んできて、稲妻を踏み潰した。私は何だったのか見えない。


「フランド様、お手を汚されませんでしたか?」

「お前は!ああ、じいさんか。こんなところでも会えるとは思わなかったぞ」


 それは清潔で整った、痩せたおじいさんだった。執事のような服を着ていた。フランドの知り合いだろうか?


「今回は何だ?」

「くそじじいめ!邪魔すると……」


 え?おじいさんは悪口を言った悪党を一蹴りして飛ばした。その一蹴りは強烈。あの悪党は十メートル以上飛ばされた。


「くそ!先にじじいをやれ!」

「小者ども、囲め!」


 おじいさんは冷静に対処した。燕のように軽やかに、悪党たちの斧や剣の切りつけを次々と避けた。しかも残像が出るほど速い。

 一人の悪党が火魔法を長剣に付加して、炎剣と化し、おじいさんに向かって振り回している。

 しかし、おじいさんは燃える剣を簡単に避けただけでなく、横に身をかわすときにその悪党の顔面を殴って、今度は五メートルぐらい飛ばされただろう。


「落ち着け、お前ら五人先に行け」


 相手は最初に五人の悪党をおじいさんに向かわせた。しかし、おじいさんは五回蹴るだけで、その悪党たちは蹴り飛ばされた……

 今度も見事な十メートルだな。

 でも、これは悪党たちの目くらましだった。後ろの六人の悪党が協力して魔法を発動しようとしていた。一撃でおじいさんを倒そうとしていたのだ。


「くそじじい、死ね!」


 おじいさんはため息をついて、手元の袖口を引っ張った。私はおじいさんが何をしようとしているのかわからない。


「仕方ないな」


 おじいさんはそう言って、黒い影が魔法を使っている七人の悪党を通り抜けた。彼らはすぐに地面に倒れた。一瞬のうちに、二秒もかからなかっただろう。

 え⁉す、すごい……

 私は冷や汗をかいた。さっきよりも速かった。まさか身体強化のスキルでこんなに速くなれるのか? 残った悪党たちはこんな強い人を見て、すぐに武器を捨てて降伏した。

 それが賢明だと思うよ。だって逃げられないもん。


「まさか、わしが手を汚したとは思わなかった。不運だな」

「いや、じいさん。こんなに長い時間が経ってもまだこんなに強いんだね。さすが剣の勇者の子孫だね」

「いえ、フランド様。わしはもう老いました。動きも昔ほどスムーズではありません。剣の勇者の子孫など名ばかりです」


 え⁉おじいさんはあの剣の勇者の子孫だったの!すごいじゃないか。

 私の国で生まれた剣の勇者は第六魔女を倒したけど、最後の魔王に敗れ、幸い初代聖女がいて、世界は救われたけど。

 その後、おじいさんは私とオエリちゃんに向かって言う。


「もしわしが間違っていなければ、あなたはフェリウェム伯爵の娘でしょうね」

「えっ⁉そうです、私がフェリウェム伯爵の娘です。何かご用でしょうか?」

「お会いできて光栄です。フェリウェムさん、噂通り美しいですね。こんなに美しい女の子は初めて見ました、まるで天使のようです……」


 おじいさんはオエリちゃんを見て、オエリちゃんの左手を取ってキスした。

 オエリちゃんは顔を真っ赤にしていた。可愛いけど、私は全然嬉しくなかった。


「ええと……おじいさん、あなた間違ってますよ」


 仕方なくおじいさんの背中を叩いて、人違いだと教えてやった。


「え⁉あなたがフェリウェム嬢ですか?大変失礼しました。わしはやはり年寄りで、目も曇っています。本当に申し訳ありません、フェリウェム様」

「うん、気にしないで……」


 やっぱり私はオエリちゃんの前では緑葉だったんだ……あはは!ははは!

 悪党たちはこっそり逃げようとしたが、おじいさんに睨まれてすぐに元の場所に戻って、大人しく座る。

 その後、フランドは巡回中の警察を呼んで、事件は終わった。


「そういえば、フランド様。公爵様が直ちにお呼びになりたいと申しております。理由については……お分かりだと思いますが」

「チェ!わかったよ」

 え?どうしたの?フランドのお父様はなぜ今すぐに会いたいの?


「ごめんな、レイラ。俺は先に帰らなきゃ。本当にごめん……」


 彼の家の事情を知らなかったから、何も言えなかった。ましてや引き止めることもできなかった。

 彼と彼のお父様のことは私が口出しできることじゃない。それくらいはわかっていた。

 私とオエリちゃんは公爵の馬車が賑やかな通りを離れていくのを見ていく。

 去っていく姿が人混みの中で消えていくのを見ているだけ。

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