3.ゲームの世界を動かすギアが回った
これは私が初めてゲームのヒロインに会ったとき。
ゲームのヒロインの名前を思い出す必要もない、ルーナ・レイバウェスという名前は魂の奥底に刻まれている。ゲームでは有名な良い子。
その後、フェリクスが振り返って私にウィンクして、ここは大丈夫だと合図した。
でも、彼女は私には構わず、フェリクスの方を見返す。
なんで彼女がここにいるのか不思議だった。入学名簿には彼女の名前がなかったし、でも彼女は私たちの学校の制服を着ている。
これでゲームの入学設定と一致してしまった。
もしかして、今はゲームのストーリー通りに進んでいるのか?違うとしたら、「私」の存在だけだ。
「本当に大丈夫だよ、あなたのおかげで助かったんだから」
「そうか、そりゃ良かったよ」
フェリクスとレイバウェスが話し始めた。二人は仲良く笑っている。なんだか嫌な気分……
なんでだろう、敵対関係だって、それはゲームの中だけじゃないか。
「大丈夫?治療魔法を使ってあげようか?」
「あ、本当に大丈夫ですよ」
「本当にごめんなさい。私たちのせいで、何かお詫びができたらいいのですが……」
「もういいって」
彼女は軽く私の頭を弾いて、小悪魔みたいに微笑んだ。
うそ!どうしてこんなに魅力的なんだ!え⁉ちょっと⁉ゲームの中では最初こんな性格じゃなかったよね?
「もう言ったでしょ、気にしないから」
「ああ……そうですか?」
彼女に振り回されてしまった。少し違和感があるけど、深く考えなかった。
「おはよう!レイラちゃん、今日も可愛いね」
「ごきげんよう、フェリクス。その制服が似合ってるわ」
「えへへ」
フェリクスが私に挨拶してきた。私の印象ではフェリクスはいつも元気で活発な人。
その後フェリクスはお兄ちゃんに気づいて、手を振って挨拶した。
「ディランじゃないか。おはよう‼」
「うん、フェリクス。おはよう、君が元気で嬉しいよ」
「えへへ~」
その時お兄ちゃんが私のマントを引っ張って、お兄ちゃんの意図が分かった。
「レイラ、話があるんだ」
お兄ちゃんは私の手を引いて、私に小声で話しかけた。
「あのさ……実は竜馬が暴れた理由……ちょっと言いにくいんだけど……」
「発情の理由だろう。発情した雌の竜馬の匂いを嗅いで、興奮しちゃって、匂いの元を探しに走ったんだよ」
「え⁉なんで……」
お兄ちゃんは驚いた顔で私を見る。きっと頭が混乱してるんだろうな。
ゲームのおかげで私はもう知ってたんだよ。でも、まさか初日に再現されるとは思わなかった。
今は竜馬の繁殖期だ。普通は『エノコログサ』で鎮静薬を作って、竜馬が発情しないようにするんだけど、油断してたんだろうな。
うちの青い竜馬を振り返った。竜馬はもう一頭の発情した雌の青い竜馬とイチャイチャしてた。
もしかして彼女ができたのかな……
ん?あちらの馬車には公爵家の紋章があるようだけど? 私はうちの雄の竜馬のそばに歩いて行って、竜馬の鱗を撫でた。竜馬たちは頭をこすり合わせている。
これは私も知ってる。竜馬たちが愛情を伝える仕草だ。
でもさ、校門前でラブラブしないでよ!私自身もまだ彼氏がいないんだから。
「「「えええ⁉」」」
みんなは驚いて何も言えなかった。
え⁉待って、これは何⁉ うちの雄の竜馬が雌の竜馬の上に乗っかってるじゃないか……これってまさか……
これからどうやって馬車に乗って来る気だよ‼ 私はうちの竜馬を蹴って、邪魔しようとした。
でも、雄の竜馬は私を振り返って、怒って蹴り返してきた。速度が速すぎて、反応できなかった。
地面にぶつかる感覚と周りから聞こえる声があったけど、私の意識は徐々に遠ざかっていく。
目が覚めたとき、目が少しずつ周りの景色を見えるようになった。でも、最初の考えは……
「交尾やめろ!」
すぐに起き上がって大声で叫んだ。でも、周りの景色は校門前じゃなくて、医務室みたいなところだった。
「ここは?」
「ここは学校の医務室だよ。それに、女の子が朝一番に起きて最初に言う言葉が交尾って……全然淑女じゃねぇ……」
疑問に思っていると、私の隣に誰かがいることに気づいた。
え⁉この人は……
黄色い巻き髪、清潔でかっこいい顔立ち、今私の前に座っているのは我が国の総理大臣であり公爵の息子――フランド・アゴストだ。
ゲームの攻略対象でもあり、ゲームでは天才少年として知られている。ヒロインに次ぐ学業成績の持ち主でもある。
でも、これは私たち初めて話すんじゃないかな。以前王宮で会ったことはあるけど、話したことはなかった。
「アゴストくん、どうしてここにいるの?あ……そうだ、私……」 医務室に連れて来られた理由を思い出した。帰ったらすぐに竜馬の今日の餌を取り消してやろう。水もやらないくらいだ。
「本当にすみません。うちの雌の竜馬があなたに迷惑をかけてしまって……」
「ああ!あの雌の竜馬があなたの家のだったのか。なんか見覚えがあったよ。でも、謝る必要はないよね?これは私とうちの竜馬の問題だから」
「うん、そうかもね。でもさ、ただ竜馬の交尾を止めようとして飛ばされた不幸な貴族が誰か見てみただけだよ」
「あはは……」
この男はどういうつもり?喧嘩売ってるのか?でも私は立派な淑女だから、全然気にしないわ。
気まずいけど、苦笑いするしかない。
「でも本当に面白いよね。筆記試験で一位を取ったお前が発情した竜馬に飛ばされるなんて。思い出すたびに笑ってしまうな」
「無礼者!」
「待って!話し合おうぜ!」
枕を取ってこの無礼男を叩き始めた。立派な淑女でも尊厳を守る必要がある!
彼は私の手首を掴んで、軽蔑そうに私に笑った。
「お前さぁ……」
「あんた……何する」
もう近づかないでよ、私の心臓がバクバクしてる。二人の唇がもうすぐ触れ合いそうだ。
こいつ、ずいぶんと強引だな。彼の口が私の耳元に近づいて、そよ風のように優しい声で私に囁いた。
「次の筆記試験……絶対にお前に負けないから」
パチン!という音が医務室に響いた。
私は彼の顔に平手打ちをした。手加減したつもりだったけど。 「悪かったな、からかいすぎたか。だってさ、君、顔真っ赤だよ……ふふ……本当に可愛いな」
「変態……」
これは私が初めてこんなにからかわれたことだ。きっと一生忘れられないだろうな……