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21ダンジョン大爆発失敗!

 穴から飛び出して、身についたほこりや砂利を払って、さっきずっと邪魔をしていたハルカに向き直う。


「あのさ、ハルカ。私の使い魔だから、もっと主人の行動に合わせるべきでしょう」

「お前がハルカを邪魔したのよ」


 学校爆破の時にはもう勝負がついていたはずなのに。


「へええ、まだそんなことを言うのか、主人に逆らうなんて」

「ふん!ハルカもう我慢できない、今ここで主人と使い魔の立場を決めろ」

「いいよ、その時には泣きつかないでね」


 私とハルカは再び戦闘態勢に入った。今回は本当に決着をつける必要がある。あの子の目からもわかる、彼女は本気だ。

 どちらも主従関係をはっきりさせるために勝負を望んでいるね。

 でも、虫たちが飛んできて、戦闘態勢をとる。

 やっぱりハルカと喧嘩するよりも、虫が嫌いだな。


「「虫嫌い!」」


 私とハルカはほぼ同時に火の魔法で三匹のカブトムシ魔物を消し去って、すぐに地面には三つの結晶だけが残っていた。

 お互いの考えがこんなに近かったなんて……

 もしかしたら使い魔は主人の気持ちに影響されるのかもしれない。


「いつもこんなに喧嘩して、正直私も疲れちゃうよ」

「ハルカもそう思う」


 私たちは顔を見合わせて笑った。多分本当の姉妹みたいなんだろうな、主人と使い魔という関係じゃなくて。

 もっと早く気づくべきだった。ハルカは他の人の使い魔よりも特別だ。彼女には人格があるんだから。


「さあ、早くあの好色不死者を追おうよ」

「うん!」


 破壊された場所に飛んだ。中は変な感じで、細かく入り組んだ魔法回路がいっぱいだ。

 電柱みたいにごちゃごちゃしてる。地面には血が……

 あのキモ男の血だろう。彼は怪我をしたんだ。好色不死者から逃げられたかどうかわからない。

 周りを見回し、コンソールのようなものもある。破壊されていたが、もしかしてこの場所は制御室?


「あそこにドアが発見!」


 ハルカが指さした方向を見たら、本当にドアがある。でも、誰かに開けられていたけど。


「ここから逃げたのかな?」


 外に出るとコンソールがあり、コンピューターのようなものだ。

 魔力を使って制御台に接続できることに気づいた。ギルドにもこのようなものがあるが、魔力でつながっている場所は血圧計のような感じがする。

 やはり、制御台は操作できるんだ。

 魔力の接続によって、私は周りの構造を把握し、エレベーターも呼んだ。


「これは何?何か開いたみたいだ」

「エレベーターだよ」


 通路の暗いところが開いて、中はエレベーターとほとんど同じだった。二人でエレベーターに入った。

 呼んだエレベーターはピラミッドの最も核心的なところ――メインコントロールルームに行くものだ。

 メインコントロールルームが一体何のためにあるのかはまだわからないけど、せめて邪教徒がこのダンジョンに来た理由はわかるはずだ。


「あのスケベ不死者は追わないの?」

「さっきコントロールパネルに接続したから、このピラミッドの秘密がわかったんだ。不死者はとりあえず放っておくしかない」


 そうだ、スクリンの町の警察や騎士団を信じなきゃ!

 でも私にとっては真実の方が大事だ!だからごめんね、スクリンの町のみんな……


 --メインコントロールルームで--


「へええ〜これがメインコントロールルームか、すごく広いな」


 メインコントロールルームの真ん中には大きな画面があったけど、真っ暗で何もなかった。

 中の光も弱くて、ここは魔力で動いてないのかな?

 ハルカが腕を接続装置に入れたら、メインコントロールルームが突然明るくなって、画面にも色々な映像が出てきた。監視画面みたいだ。

 ゆっくりメインコントロールルームの真ん中に歩いて行って、よく調べようと思う。ここにも接続装置があって、私も同じように腕を入れた。

 その時、画面に突然一つの映像が出てきた。画面に映っているのは男性だけだ。黒い髪、赤い目、自分勝手そうな感じ……


『よっし、お前らは接続したね。でも、おかしいと思わないかい?』


 この声を聞いたらすぐにさっきのキモ男だと分かった。


「確かに、メインコントロールルームなのに警備がいないって変だよね」

『はは!その通り、お前は賢いね。でも、残念ながら俺はもっと賢いんだぜ』


 なんでそんなことを言うのか不思議だけど、もっと他のことが知りたい。


「あんたは邪教の人か?ダンジョンの近くの廃屋や外のキャンプとこも、それは邪教のもの?」

『うん~闇騎士を倒したら教えてやるといったけど、まあいいや。そうだよ、廃屋の外のキャンプは俺のだ、廃屋を見つけるのに苦労したんだからね』

「黒板の解析式を見たよ。つまり、あんたたちは上級魔導士を呼んでダンジョンの隠し扉をあけようとしたけど、失敗したわけで、あんたはどうやってここに来たの?このダンジョンに来て一体何をしようとしてるの?」

『おお~~お前は予想外に頭がいいね。確かにそうだね。でも残念ながら、ここまでだ。お前の質問に答えたっても大丈夫からさ。でもその前に……お前らはもうおしまいだ』

「ということ?」


 突然メインコントロールルームに警報音と赤い点滅灯が鳴り始めた。 ええ⁉まさか……


『メインコントロールルームに大爆発の装置をセットしておいたぜ。ダンジョンの全てを埋めるほどの威力さ。お前らもう負けたよ。わははは!うわははは!!』

「あら、何かと思ったら……」


 すぐに周りの警報音と赤い点滅灯が消えた。


『わははは……はは……え⁉何があった⁉』


 相手はもう少し戸惑っているように見えたが、それは当然のことだ。

 私とハルカは協力してメインコントロールルームのパスワードを解読し、爆発装置を解除したから。


「ハルカもこのパスワードはあまりにも簡単すぎると思ったよ」

『……』


 相手は完全に黙り込み、しばらく頭を下げていた。すぐにビデオ画面が切断された。


「えー、逃げちゃったね」


 でも今はまだ喜ぶ時じゃないよ。ここを完全に制御できたんだから、ふたりでダンジョンを支配できるはずだよ。

 ハルカは画面を前に持ってきて、フェリクスとシスネロスの姿を見せた。えっ、お兄ちゃんとヒロインのルーナもここに来てるの? 

 今の私はまるでダンジョンの主人みたいな気分だよ。すごく楽しいよ!


 -画面の中の光景-


「もう歩けないよ…」


 ルーナは床に座り込んでしまった。お兄ちゃんとフェリクスはすぐに彼女の様子を尋ねる。


「俺が背負うよ。ところでディラン、疲れてるだろう」

「大丈夫だよ、フェリクス。むしろ君の方が疲れてるんじゃないかな。だから僕がやるよ」

 え?


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