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20嫌な声

 -不明な場所-


「ああ……痛い、ここはどこだ?」


 目が覚めたとき、周りは暗かったが、目は徐々に暗さに慣れてきた。

 そのとき、ハルカの足に手が触れた。自分の体をこんな風に触るなんて思わなかったよ……


「ハルカ、早く起きて」

「ハルカもう食べられない……」

「何を夢見てるんだ、早く起きろ」


 突然、周りが明るくなった。これは巨大な闘技場だと気づいた。


『ここで何故お前たちがいるのかは知らんが、残念だね。お前たち双子姉妹はここで死ぬんだ!ワハハハ!』


 闘技場の拡声器から声が聞こえてきた。私がとても嫌いな声だ。

 そして、闘技場の真ん中の扉が上に引き上げられた。七メートルぐらいの高さのキュクロープスが巨大な釘バットを持ってゆっくりと歩いてくる。

 巨人は全身に重装甲を着ていて、かなり頑丈そうだ。


「バイバイ、かわいい双子の姉妹さん〜」

「気持ち悪いやつ」


 ハルカはやっと覚めた。


「え!ここはどこ?」

『ご覧あれ、皆さん!闘技場に現れたキュクロープスが、手に持つ釘バットで可憐な姉妹たちを叩き潰すことになる。なんと素晴らしい瞬間でしょう!パチパチ』


 闘技場には私とハルカ以外に誰もいない。

 あの男の声を聞きたくないから、火魔法で火の玉を飛ばして拡声器みたいものを壊した。やっと静かになった。


『気性の荒い娘だなぁ。お前は姉さんだろ、めちゃ好きだぜ〜。十分以内に死なないといいな』


 え⁉どこから声が聞こえてくるの?周りを見回しても音声を拡散する装置は見つからない。見えないところにあるのか?


「見つけたら絶対に焼き尽くしてやる」

『うわぁ~~怖いね、でもさ、十分間生き残れるかどうか見てからね。さあ、始めようか!』


 あのキモ男が言い終わると、キュクロープスが大声で叫んだ。その声は響き渡って威圧感があった。

 キュクロープスは釘バットを振り上げて私とハルカに振り下ろした。力はすごかったが、硬いゆかに大きな亀裂が入っただけで、私たちは簡単に避けていた。やはり遅すぎた。

 キュクロープスは横に振って私たちを押しつぶそうとしたが、この速度では遅すぎた……

 キュクロープスは力はあるが何も当たらなかった。

 飛行魔法が得意だし、風魔法で空中で曲がるのも上手い。私たちに当たらないのは当然だ。


「もう、遅すぎるんじゃない?」

「ハルカもう眠くなっちゃう」


 地面に降りて、互いに目を合わせた。そのとき、私たちは何をすべきかわかっていた。


「ハルカ、あのキモ男を火で焼きたくない?」

「偶然だね、ハルカもそう思ってたぞ」


 向こうのキモ男は焦っているようだ。


『意外だな、お前らまだのんびりのふりをしているのか?あとは苦労するんだぜ』


 キュクロープスが吼えてまた釘バットを振りかざしたが、やはり簡単に避けた。意味のないことだ。

 キュクロープスから離れて、私とハルカは協力して火魔法――大爆星でこの茶番を終わらせる。


 大爆星の威力は大きくて、一撃必殺だ! 巨大な火球が私たちの作った魔法陣の中に現れた。

 そして、同時にキュクロープスに火球を投げつけた。

 キュクロープスは腕で防ごうとしたが、それでは無理だろう。強烈な爆発がキュクロープスの周りを吹き飛ばし、超音速の空気壁が途中のものを破壊した。

 遠くにいたから良かった。光魔法で作った壁で防げていた。

 煙が晴れると、キュクロープスは細かい肉片になっていて、焦げていた。


「いい匂いがするね」

「それ食べるかよ。フンフン、どうやらキュクロープスは10分も持たなかったようだね」


 その後、キュクロープスの焦げた肉片は消えてしまった。魔物だからね。


『ええと……まあまあ,結構強いじゃん。でも、まだ終わってねぇよ。次に登場するのは――不死者の闇騎士だ!』

「え、不死者⁉」

『そう通り!これは魔王時代の遺物だぞ』


 彼が魔王時代と言った。もしかしてこのダンジョンは……

 嫌な予感がする。

 今の時代では、アンデッドみたいの魔物はかなり珍しい。それは各国が死霊術を廃止したからだし、人権問題もあるし、死霊術はとても複雑で難解な魔法で、今ではほとんど誰も分からない。


「やっぱり邪教の人なのか」

『うん,考えてみる。もし不死者に勝ったら、ご褒美として質問に答えてあげるぜ』

「そんな必要ないよ。だってあんたを捕まえるから」

『ハハハ,笑ちゃう。行け、闇騎士!』


 闘技場の上から棺桶が落ちてきた。棺桶が開いて、騎士の鎧を着た不死者がゆっくりと出てきた。

 それは銀白色の鎧で、とげとひもで飾られていた。大剣を持っていて、不吉な気配を放っていた。

 強そうだ、さっきのキュクロープスとは全然違う。

 不死者は剣を振って剣風を私たちに斬りつけた。巨大な剣風が邪魔なものをなぎ倒した。

 私とハルカは間に合って跳び上がって避けたが、後ろの柱は一刀で横切られて次々と倒れて、埃を巻き上げた。

 その威力はチートじゃないか!あの柱は細い柱じゃなくて、直径約三メートルの大柱だよ。しかも石柱だぞ。


「ええ,想像以上に強いね」

「ハルカも強いと思う」

『わははは!これが闇騎士の力だぜ!今すぐ膝をついて謝罪しろ、お前ら楽に死なせてあげる』

「黙れ!俺様に命令するな!」


 ええ⁉あの不死者の騎士が話すなんて、しかもあのキモ男の命令に反抗したなんて……

 一体どういうことだ?


『どうした?闇騎士、今すぐやつらを殺せ!』

「てめぇの命令に従うつもりねぇんだよ。今度街に行って巨乳の美女を見つけてやるぜ。おっぱいを揉んでない間が長かったんだ。ハハ!」


 ええ、このアンデッドはこんな性格なの、めちゃ気持ち悪い。


『俺の命令に逆らうとはな!覚えておけ、俺は......』


 そのキモ男が話を終える前に、不死者の騎士は剣風で闘技場の上方にある隅を破壊した。その後、嫌な男の声はもう聞こえなかった。


「ああ、やっと静かになった」

「私もそう思うよ」

「ハルカもそう思った」


 私たちは三人とも同じ意見だけど、こいつを街に放すつもりはなかった。


「うん、男は殺すけど女は殺せない。でも……邪魔すると死ね」


 息が詰まるような殺気が伝わってきた。やっぱりこいつは危険だ……


「ハルカ、戦闘準備をしろ!」

「戦いたくないけど、ハルカはみんなが死ぬのは嫌だ」


 そうだよ、ハルカ。ここでこの好色不死者の騎士を倒さなきゃ。

 好色不死者は手に持った大剣を振り上げる。周りに巨大な風壁ができた。

 そしてまた私たちに振り下ろした。途中のものは風壁になぎ倒された。威力はすごくて、闘技場のゆかまで完全に破壊された。

 私とハルカは力を合わせて防いだが、ハルカは吹き飛ばされてしまった。

 魔力で作った縄でしっかりと引っ張って、彼女を引き戻す。

 でも、彼女は私が力を入れすぎて地面に突っ込んでしまった。顔中に埃と泥がついていた……


「何をしてるんだ!」

「ああ、ごめんよ。ハルカ」


 この威力はすごいな。魔王時代の遺物に相応しい。

 でも、相手は私たちと戦い続けるつもりはなさそうだ。


「今から俺がここのボスだ。出てこい!」


 闇騎士は闘技場の扉の中に向かって叫んだ。それはキュクロープスが最初に出てきたところだった。

 中から三匹の巨大なカブトムシの魔物がゆっくりと出てきた。カブトムシみたいな怪物で、身長は約2メートルぐらいだ。

 その後、闇騎士は跳び上がって、さっき破壊されたところに飛んで行った。この奴は逃げるつもりか。

 カブトムシとの戦闘を諦めて追いかけようとしたが……

 カブトムシ魔物は飛行できるから空中で邪魔された。そのとき、ハルカが私とカブトムシ魔物に火球を撃ってきた。


「待って!ハルカ。私も一緒に落とすつもりか」

「うるさい!邪魔しないでよ、ハルカ!くそ!あの虫が飛び回ってる」


 カブトムシ魔物は三匹で協力して魔法を使おうとした。仕方ない!先に魔法で防がなきゃ。

 三匹のカブトムシ魔物は風魔法で巨大な竜巻を呼び出して私を地面に吹き飛ばした。地面に大きな穴が開いたが、私は何ともなかった。服が汚れただけだ。


「あの虫め、それに邪魔するバカが……」

「誰がバカだよ、邪魔してないよ!」


 やっぱりそうだよね。悪い仲間は強敵よりも厄介だ。それにみんなはどうしてるんだろう。

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