16意外にダンジョンを発見!
その時雷紋虎の目が焼き魚に釘付けになっているのに気づいた。もしかして、焼き魚が食べたいのかな?
ハルカも雷紋虎のよだれに気づいて、自分の手に持っている焼き魚を見て、私に向かって言った。
「かわいそうだよ、お前の焼き魚をこの子にあげなさい」
「え?なんであんたの焼き魚じゃないの?」
「全然同情心がねぇなぁ」
「だから、なんであんたの焼き魚じゃないの!」
フェリクスは私の肩を叩いて、首を振って、ハルカと喧嘩しないようにというような仕草をする。
私もそうだと思っていて、子供と喧嘩するなんて幼稚すぎるんだ。
雷紋虎はペットショップで売れ残った猫みたいな顔をしている。結局折れた、私。
「フェリクス兄ちゃん、一緒にあげようよ」
「うん、いいよ」
私とフェリクスは焼き魚を投げ捨てた。
雷紋虎は美味しそうに食べていて、魚の骨まで残さず食べてしまった。
こんな光景を見ると面白くて、大きな猫を飼ったみたいだね。
ハルカはしゃがんで、雷紋虎の立ち上がった耳に気づいて、結局も折れた。
「これもトラさんにあげるね」
「それでいいじゃないか、成長したね。ハルカ」
「ふん!」
ハルカはまだ私に無視するつもりらしい。私たちの関係はまだちょっとピリピリしているけど、きっと乗り越えられると信じている。
結局私たちは一生一緒にいるんだから、時間が必要なだけだ。
あの雷紋虎を見て、しゃがんで警告した。
「もしまた私たちに襲い掛かろうとしたら、殺すぞ。わかったか?」
「ニャー!ニャー!」
「うん、よくわかったね」
雷紋虎の気持ちが落ち着いてきて、人を傷つけようという気がなくなったみたいだ。私も魔法陣を解除した。
今は砂漠が雷紋虎を縛っていない。もう自由だ。
この保護区は動物の故郷だから、私たちこそ侵入者だ。
雷紋虎は砂漠から飛び出して、体を振って体についた砂を落とした。
でも砂が私たちにも飛んできた……その後雷紋虎は草むらに走って行って、私たちに手を振ったみたいに爪を振って、さようならと言ってるみたいだ。
私たちは三人もその子に手を振って別れを告げた。
貴重な動物も傷つけず、人も怪我しなかった。まあまあの結果だろう。
「じゃあ、レイラちゃん、あそこに何があるの?」
「うんうん、地下に入る入り口があるの。でも、下に何があるかわからないから、けっこう危険だよ。できれば、一緒に行こうね」
「じゃあ、行こうか!」
フェリクスが行かないと言っても、彼の性格だと絶対に行くとわかっている。
みんなが危険にならないように、警戒を高めたほうがいい。
フェリクスは火魔法でどこからか見つけてきた細い木の棒に火をつけて、私たちは三人で下に行った。途中でフェリクスにさっきの発見を話した。
「え⁉廃屋の主人がハンターだって言った?」
「失踪したハンターかどうかはまだ確信してないよ」
「本当に不思議だね。ハンターの家の下にらせん階段があって、黒板には高等魔法の解析式が書いてあって、邪教の旗……もしかしたらすごいものを見つけたのかもね。冒険っぽくてワクワクするね」
「フェリクス兄ちゃん、遊びに来たわけじゃないんだからね」
確かに不可解なところが多いけど、今はまだ結論を出せない。
多分邪教のメンバーを捕まえないと答えは得られないだろう。
らせん階段は古くて、もしかしたら古代遺跡の一部なのかもしれない。
らせん階段は下まで見えなくて、火の光でしか見えない。それに、どれくらい歩いたのかもわからない。
「深すぎると思わない?ハルカも疲れちゃったよ……」
「うん、言われてみれば、深すぎるね」
私もハルカの言葉に同意する。本当に深すぎるよね。何かおかしい気がする。
「ちょっと待って、ハルカ。先に行って、私とフェリクス兄ちゃんはここで待ってるから」
「ええ?なんで?それにハルカに命令するな!」
「いいから、素直にして」
「ふん!」
ハルカは不満そうにしているけど、火魔法で光源を作って、素直に下に行った。毎回大声で叫ばれると疲れちゃうんだよ。
この子は今でも私を心配させるんだ。
しばらくして、私とフェリクスの上に光源が現れた。間違いなくハルカだ。
「レイラちゃん……これって……」
「ああ、間違いなくそうだよ」
私たちは三人また会った。でも今回はハルカが私たちの上にいる。
「え⁉どうしてこんなことになるの?」
ハルカは上から私たち二人を見て疑問を投げかけてきた。その後ゆっくり下りてきた。
これが何の魔法か気づいて、壁を触ってみた。
「空間魔法か」
「レイラちゃん、何か方法があるの?」
「魔法の跡を探してるの」
石壁に沿って手探りで、魔力の糸口を探している。探せば出口が見つかるかもしれない。
でもどこにも魔力の源は見つからなくて、みんなの元気な雰囲気もどんどん冷えていった。
進展がないまま時間が経って、私も焦りを感じてきた。
「そうだ、みんな笑い話を聞きたい?」
「フェリクス兄ちゃん……今は笑い話をするときじゃないでしょ?」
「じゃあ歌うとか?」
「それもダメ」
「そうだね」
フェリクスが緊張した雰囲気を和らげようとしているのがわかっている。
だって、こんな雰囲気は辛いもの。でも私とハルカはもう待っていられなかった。我慢がきれてしまった。
「ハルカ、ここを吹き飛ばしてくれ」
「ハルカはとっくにそうしようと思ってたんだから!」
ハルカの手から魔法陣が発せられた巨大な炎が石壁にぶつかった。 強烈な衝撃でらせん階段は全部崩れてしまった。
事前に魔法盾で衝撃波を防いで、フェリクスと私は無事だった。
結果、石壁の裏は真っ暗な魔力の壁だった。らせん階段全体を置き換えている空間魔法。
ただし、全体が暗黒魔法で覆われていたので、見つけられなかったのだ。私たちは魔法でできた黒い壁を通り抜ける。
飛び降りて、火魔法で光源を作った。
周りを見渡すと、らせん階段があった場所は広大な洞窟だった。
洞窟の奥に強い光が差し込んでいるのが見える。そこに行ってみると、白い石壁でできた地下高層ビルがあった。建物は複雑に交差していて、迷路みたいだ。
下に行こうとしたが、急な階段しかなくて、建物群の面積はとても大きくて、私たちはとても小さく見えた。
面白いことに、ここは光が十分にある。多分魔法装置で光源を作っているのだろう。
国の地下街道もこんな感じだ。出口の方を振り返った。そこは上に繋がっている石壁だ。石壁の中に洞窟がある。
まさか私たちの国の保護区の下にこんな大きな地下建物群があるなんて……
でもゲームではこんな場所はなかったよね?
「もしかしてこれがダンジョンか?しかも古代のダンジョンか」
「うん、多分そうだよ、フェリクス兄ちゃん」
「ええ、初めて見るダンジョンじゃないけど、これはすごいね」
ダンジョンは珍しいものじゃない。多くの国が軍事拠点としてダンジョンを作っている。
古代ダンジョンというのは魔王時代の怪物や他の勢力が作ったもので、人類に対抗する拠点だ。
ドカン!と激しい爆発音が聞こえた。遠くから聞こえてきたようだ。
爆発した方を見てみた。そこには黒煙が立ち上っている。何が起こったんだろう。
場所はダンジョンの中心の白いピラミッドだ。一番壮大で見事な建物だ。




