14神秘な廃屋
「レイラちゃん、これはもしかして……」
「そうかもしれないわね、もう少し探してみましょう」
湿っぽい土があるから、ここは池や小川に近いのかもしれない。 本当に、しばらく歩くと小川のせせらぎの音が聞こえてきた。
「レイラちゃん、小川の方に行ってみようか。休憩も兼ねて」
「そうね、水分補給も大事だよね」
この世界には水魔法で喉を潤すなんて便利なことはないのよ。魔力は自分のエネルギーから来るんだ。
水魔法で作った水は喉は潤すけど、体力は消耗するの。海で海水を飲んでも渇き死ぬのと同じ理屈よ。
だから、私たちは小川に行って水分補給をすることにした。ついでに持ってきた水筒も満タンにする。
「わああ!おいしいわね」
泉水は本当に冷たくて、味もいい。ちょっと甘みがあるみたい。気のせいかな。
その時、小川の近くにキャンプ用の焚き火があるのを見つけた。周りには散らかった物品があった。放置された物品を見てみることにした。
「これって、行方不明者の物じゃないかな?」
しゃがんで物品を調べてみると、ここでキャンプをした人がいたことがわかった。しかも二人だったらしい。
ぎょくせきの地面に落ちているカップが二つあるからね。焚き火を触ってみると、まだ少し温かかった。キャンプをした人は二時間以内に出発したようだ。
「レイラちゃん、何か見つけた?」
「これは失踪したハンターの物じゃなくて、ただここでキャンプをした人の物」
「そうなの?残念ね」
「でも変だわ、ここは危険な魔物や野獣がいる場所なのよ。近くに魔物や野獣を防ぐ魔法装置もないし、ここでキャンプするなんて魔物や野獣に自分の居場所を教えてるようなもの。まるで野獣に早く食べてちょうだいって言ってるみたい」
「ええ!それじゃあ危ないじゃない」
「危ない」
ウルスクリン山には安全地帯と危険地帯がある。安全地帯は魔物や野獣を防ぐ魔法装置で守られてるの。普通の街でもそうしてるわ。魔物や野獣が侵入しないようにね。
警察はボランティアに安全地帯の境界でしか捜索しないように言っていた。危険地帯には警官だけが入れると。
ここまで来てしまったけど、もう引き返すしかないのかな。でもまだ諦めたくないんだけど。
「あれ?ハルカちゃんはどこにいる?見えないね」
「ああ、感応してみるよ」
え?噓!主人と使い魔の繋がりを遮断できるなんて!彼女を感応できなくなってしまった。
あの時わざと自分の位置を漏洩して、私を廊下に誘導したのか……
その時はちょっと油断してしまった、彼女を甘く見ていた。
「あの子は契約枷鎖を遮断できるなんて、彼女を見つけられない」
「ええ、それは初めて聞いたよ」
仕方ないわね、自分であの子がどこに隠れているか探してみるしかない。
「ハルカ、どこにいるの?」
「ハルカちゃん,聞こえたら返事して!」
突然草むらから変な音が聞こえてきた。もしかしてハルカ?でも声じゃなくて、魔物みたいな音だけど。
私とフェリクスは緊張しながら動く草むらに近づいた。その時!黒い影が現れた!
「わああああ!ハルカだ!」
「「わあ!」」
フェリクスと私は驚いて飛び上がった。ハルカが悪戯してたなんて……
「ハルカちゃん,楽しいかもしれないけど,ここはとっても危険だよ」
「ハルカ,これ全然面白くないよ……」
ハルカは大爆笑している。まあ,魔物や野獣じゃなくて良かったけど。
「そう言えば,さっきハルカが食べ物を探している時に,廃屋を見つけたんだ」
「廃屋?うハルカ,中に何かあった?」
「ハルカは黒い六芒星の旗を見たよ,何か見覚えがある気がしたけど,思い出せなかった……」
これは本当に大変だ。
邪教というのはオイスム教とも呼ばれる。ゲームの大悪役で,聖女を追ってる裏の黒幕だ。
最終的にどんな良いエンディングでも邪教のリーダーが倒されると終わり,悪いエンディングでは最後の魔王が復活して世界が滅びる!
ギルドの依頼や実力の向上に忙しくて,それに当年の失踪の理由にもっと興味があって,この連中にはあまり関心がなかった。
ハルカの指示に従って,茂みの中を進んで,私たちはその廃屋に着いた。
ハンターの失踪は邪教と関係があるのか?そんな疑問を抱きながらそこに向かう。
屋は一階建てで,廃屋はまるでお化け屋敷みたいに陰気で怖い。 正直言って,あの屋に近づきたくない。
真昼の太陽でも,木々の枝葉に光が遮られて,ここは明るくないし。
でも,屋の周りの空き地は広くて,人が整理したようだった。雑草は少ない。
廃屋に近づいて,ドアを開けようとしたら,ドアが自分で倒れた。埃が倒れたドアで舞い上がった。やっぱり老朽化してるわね。
火魔法で火球を作って,屋の中を照らした。中は散らかっていて,壊れていた。
そしてやはりハルカが言った通り,屋の中に黒い六芒星の旗が部屋の大広間に掛けられていた。




