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 3人はそのまま兵士に拘束され、城のホールへと連行された。ホールの中の騎士や魔導士たちは、皆3人に視線を向ける。

 エリザベス公爵が螺旋階段からゆっくりと降りてきたが、その目には怒りが宿っていた。

「エリザベス、一体何をする?なぜ俺たちを捕まえるんだ?」

 フランドの父が文句を言ったが、彼女は聞くとさらに怒り、近づいてきて平手打ちを食らわせた。

「レイナード、わかっているはずだ。ロジナを生き地獄に変えた張本人は貴様だ!」

「何を言ってる!?どうして俺のせいになるんだ?」

「腐敗の木が突然監獄から現れ、ロジナ全体を死の街に変えてしまって、今やあちこちに魔物や瘴気が蔓延していく」

「監獄?だが、俺には覚えが...」

 エリザベスは騎士から剣を奪い取り、その剣をレイナードの首元に突きつける。

 オエリは止めようとしたが、フランドに止められた。何も心配するなと首を振って示した。

「じゃあ、これは何なんだ?」

 エリザベスは一通の手紙を投げつけた。レイナード・アゴスト公爵の名前がはっきりと記されており、彼は手紙を拾い上げて内容を確認する。

「これは君の筆跡に違いない。カリーナがこの手紙を見せてきて、ここにある監獄を3ヶ月間利用すると書いてある。その結果は...」

「あのくそビッチめ... これは彼女に頼まれて書いた手紙だが、いくつかの文字が改ざんされてた!俺は監獄を利用するなんて一言も書いてねぇよ!」

「だが、君も彼女も魔王の信徒と手を組んでいるだろう!クイリザル・カン国の侵攻を防げるなら魔王教と手を組んでも構わないと言ったよね。あの時、君に警告したんだ」

「それは...」

 フランドは時が来たと思い、兵士たちの束縛を振り払って、公爵に礼をする。エリザベスは手を振って兵士たちに下がるよう命じた。

「エリザベス公爵、父がスカーに囚われ、トラヴィの町も失ったことをお伝えしたい。じいさんがいなければ、俺たちはとっくに死んでいました。父はただ邪教徒たちに利用されただけです。しかも、これだけのことが起こった以上、父も後悔しており、何か償いをしたいと思っていますから」

「フランド...」

 レイナードは恥ずかしそうにうつむき、誰の目も見ようとしなかった。しかし、エリザベスはそれを聞くと大笑いした。

「君がなぜ父上から王位を譲られなかったか、今はわかるだろう、愚かな兄よ」

「......」

「ふん、だが今は貴様らが真実を言っているかどうかに構っている暇はない。兵士たち、3人とも絞首刑にしろ」

 兵士たちは再び3人を捕らえ、絞首刑にしようとしたが、オエリはマントを脱ぎ、手首に刻まれた勇気の印を皆に見せる。

 輝く勇気の印が彼が現在の勇者であることを証明した。官僚たちや魔導士たちは皆驚いてオエリを見つめ、女公爵も信じられない様子で後ずさる。

「無礼をお許しください、公爵様。今の状況は、家族の争いや人間同士の暗闘をしている場合ではないと思います!瘴気がここや要塞を除くすべての場所を飲み込み、皆が瘴気に侵されて死ぬか、魔物に食われるかのどちらかです。おそらく、魔物たちに食われた人々を見たことでしょう。ロジナを救いたいのであれば、みんなの力を合わせしかない」

「......」

 エリザベス公爵は何も言えず、オエリの勇気の印を確認するよう魔導士たちに命じる。

 魔導士たちはオエリの勇気の印を確認した後、次々と騎士礼をして敬意を表した。

「公爵様、あれは本物の勇気の印です。本当の勇者です」

「私たちもロジナも救われる!」

「これは女神様が俺たちを救うために送ってくれたんだ!」

 勇者の存在がすぐにホール中に広まり、皆がオエリに騎士礼をした。公爵夫人も頭を下げ、オエリに敬意を示した。

「勇者様、先ほどの無礼をお許しください...」

「今はそんなことを言っている場合ではありません。今の状況に対応するために、団結しなければなりません」

 オエリはフランドを見て、彼は勇者の正体を明かすことにずっと反対していたが、状況はもはやコントロール不能だった。彼は仕方なくため息をついた。

「エリザベス公爵...」

 フランドが話し始める前に、エリザベスが手を振って兵士たちを呼び寄せる。

「早く物資と人員を整えろ。勇者様、私と共に作戦室にいきなさい」

 こうして、三人はエリザベスに従い、地下の作戦室へと向かう。軍官や魔導士たちも公爵夫人と共に進んだ。

 装置が起動されると、石の扉がゆっくりと開き、城の最も機密な部分が現れた。周囲は魔法で照らされ、全ての場所が明るくなる。

「よくもここについてきたな、レイナード」

「ふん!お前はずっと俺がトラヴィを手に入れたことを妬んでいたんだろう。お前にはここにいるしかない」

「昔と全く変わらないな。大事な玩具や服をしょっちゅう無くしていたくせに」

「エリザベス、お前こそ何様だ?昔、何か起きるたびに俺を頼って、いつも俺が後始末をしてやったんだぞ!」

 二人は作戦室に入ってもなお、口論をやめなかった。フランドは二人を押しのける。

「もうやめろ!今はそんなことを言っている場合じゃないだろう!」

 フランドは苦笑し、オエリに話しかけた。

「すまない、家族の間ではいつもこうなんだ...」

「まあ、家族だからな。フランド、何か対策があるのか?僕一人では到底足りない。町を救うために、あなたや皆の力が必要」

「うん、ロジナを救うためには監獄にある腐敗の木を破壊するしかない。でも、そこに近づくほど瘴気が濃くなり、魔物もさらに危険になるし...他のみんながどうなったのかもわからない。ましてや他の不安要素もあるし、考えることが多すぎるんだ...」

 その時、エリザベスは軍官に命じて地図を取り出させた。

「これはロジナ全体の設計図。ここには機密の軍用施設も含まれてる」

「まだどれだけ戦える者がいる?」

 エリザベスは軍官にフランドの質問に答えさせた。

「残念ながら、この城には戦える者が三百人も残っていない。ほとんど死んでしまった...そして派遣した軍艦も未だに帰還していない」

「あー、その軍艦はイカの魔物に破壊されてしまった...港周辺も魔物でいっぱいだし」

「なんだと!?外部やフィラとの連絡はもう不可能か...あれはロジナ最後の軍艦だったのに」

「最後は俺たち自身で何とかするしかないのか...要塞の状況は?」

「革命軍の兵士たちと彼らの金級団長が守っているはず」

「ん?隣国の革命軍か?どういうことだ?」

 三人は驚いてエリザベスを見つめる。

 その頃、ディランたちは要塞で神官の治療を受けていた。

 要塞に無事たどり着いた学生や教師はごくわずかで、多くの負傷した平民や兵士もいた。

 要塞には革命軍の旗が掲げられている。でもここには瘴気は全くなかった。

 フェリクスは要塞の城壁に立ち、結界が瘴気をしっかりと防いでいたが、視界はひどく遮られ、何も見えない。

 その時、細身の金髪の男が近づいてきてフェリクスに問いただした。

「お前たちは何者だ?ここに何をしに来た?」

「皆フォスタンイーンの者だ。エリザベス公爵に助けを求めに来たが、ここが魔物と瘴気に包まれているのを発見し、要塞に生存者がいるか確認しに来た。だが、状況は俺たちの想像を遥かに超えていた」

「ふん、お前たちは運が良かったな。こんなタイミングにエリザベス様に助けを求めるなんて、しかも生徒のくせに瘴気を冒してまでここに来るとはな...」

「その通りだね...軽率だった」

 彼は仕方なく煙草をくわえ、フェリクスと共に結界の外に広がる紫黒色の煙霧を見つめる。

「だが、俺たち革命軍も運が悪かったんだ...」

「何故お前たち革命軍がここにいるの?」

「あるクソったれの主教から国を取り戻すためさ」

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