救出作戦8
ロランドは背中に人を背負っていることに極寒凍結が気づき、その隙にロランドはベアベルを地面に置いた。
「7号を人質に使うつもりか?残念だね、凍らせられないものは大嫌いだ。奴らを消し去れ!」
二つの不死騎士が剣風を巻き起こし、一同に襲い掛かってくる。
オエリは最前線に飛び出し、光り輝く白い剣でそれを軽々と破壊した。巨大な衝撃が地面の氷雪を巻き上げ、ロランドを吹き飛ばしそうになった。
「お前は⁉どういうこと?前回弱かったくせに…」
極寒凍結は目の前のオエリをはっきりと覚えており、すぐさま冷気を吹きかけるが、全く効果がない。
オエリの身には何かが彼を守っているようだ。
極寒凍結はオエリの身体が光り始めるのに気づき、手の甲には勇気の印がはっきりと見え、眩い白い光を放っているのだ。
「勇気の印!そ…そんなバカな…お前は勇者か!」
彼女はすぐに手を振って、八つの不死騎士に一斉に襲い掛かるよう指示する。
しかし、足元が一対の手に抱えられてしまった。よく見ると、それは土でできた手で不死騎士をしっかりと捕らえ、剣風を使えないように身体を包み込んでいる。
フランドはため息をつきながら、その光景を見る。
「レイラが奴らの弱点を教えてくれた。こんなに時間が経って、俺らが何の準備もしてないと思ってたのか?」
「よくやった、サル!」
しかし、不死騎士たちが逃れようとすると、ジャクソンはすでに後方で武器を準備していた。高温のレーザーが一瞬で四つの不死騎士を全滅させ、黒い砂に変わり、鎧も熱く赤くなった溶鉄になってしまう。
同時に、高温が極寒凍結をその場から遠ざけ、勇者との距離を取らせる。
フランドはその手を操り、残りの不死騎士を卵を潰すように簡単に粉砕した。
ディランとフェリクスは呆然としていた。それは二人は強くなっただけでなく、オエリと同じように全身から微かな光を放っている。
「チェっ!」
極寒凍結は冷気を放ち始めるが、追いついたルーナが氷の鎧を砕き、極寒凍結は傷つかなかったものの、魔力を使って自身を氷で包み、氷竜に変身して現場から雪の中へと逃げ込んだ。
しかし、ルーナは剣風で逃げている極寒凍結を強引に留めた! そのせいで極寒凍結は先の一撃で傷つき、立ち上がると、冷たい剣が軽く触れるほどの距離に顔があった。
ルーナとオエリはすでに彼女のそばに立っていたのだ。
「ちっ!こんなに早く見つかるとは」
「だってお前の頭の上のレベルとマークが目立ちすぎるんだもの…」
「はぁ?」
その時、巨大なアメーバの仮足が地面から突如として現れ、ルーナとオエリを攻撃する。二人は協力してそれらの仮足を切り落としたが、それでも退けられた。
さらに、濃い霧が立ち込め、周囲のものが見えなくなった。その隙に極寒凍結は二人から離れ、霧の中に隠れた。
「その触手は⁉勇者様!」
「わかっています!でも、この霧は…」
突然、迷宮全体が揺れ始め、爆発音が聞こえてきた。誰もが立っていられなくなる。
「これは何のことだ?」
「勇者様、気をつけて!」
「ん?」
突然、大量の魔物が彼らに向かって突進してきた。それだけでなく、不死騎士の数も非常に多く、気づけば魔物と不死者に囲まれていた。
ジャクソンがフランドのそばに来て、7号とロランドを守る。
「おい!フランド、この数は冗談じゃないぞ…」
「俺らでは防ぎきれない、オエリ!女神の力を借りるんだ!」
「分かりました、今二人に力を分けます」
しかし、ルーナはオエリの手をしっかりと握り、女神の力を使うのを阻止した。
「ちょっと待って、その魔物とアンデッドは少し変だぞ、数値やレベルが見えないし」
「ええと、レイバウェスさん…何を言っているんですか…わかりませんよ…」
皆が近づく魔物を斬り倒しても、血が飛び散り、魔物の数は減らなかった。
その時、ルーナは遠く霧の深いところに飛び、何もないところを力強く斬った。すると、魔物と不死騎士が消えてしまった!
「見つけたぞ、後ろで幻術を使ってた卑怯者」
「くそっ!お前の目を忘れてた!」
腕を切り落とされたスタチュートは痛みに耐えながら跳ねて逃げたが、ルーナは彼を見逃すつもりはなかった。
「あいつを近づけるな!」
駆けつけた6号と5号が間に合って、ルーナの追撃を阻止してくる。 スタチュートの切断された腕はすぐに再生した。その後、彼は指輪を取り外し、地面に投げると漆黒の転送門が現れた!
「次は君たちに任せる。この魔女候補は先に連れて行く。早く来い!不死騎士!」
不死騎士は気絶したレイラを連れてスタチュートのもとに行き、二人は転送門の中に消えた。
「待って!もう好き勝手にはさせない!」
6号と5号の攻撃を無視してルーナは痛みをこらえながら翼を広げ、転送門の中に素早く飛び込んだ!漆黒の転送門はその後消え、指輪は雪の中で静かに残されている。
爆発のため、中央のプラットフォームが崩れ始め、漆黒の根が現れた。
「くそっ!待ってくれ!」
「お嬢様!」
ジャクソンが衝動的なフランドとオエリを止め、冷静になるように言った。
「焦るな、まずは下を見てみよう」
二人が下を見ると、大量の魔物が根を通って上がってきていた。さらに、一番下にいる魔竜が皆を怒りの視線で見つめていた。おそらく、復讐を望んでいるのだろう。
「皆、落ち着いたか?今は幻惑の霧も消えた。少なくとも、あの連中は幻影ではない。それに、あちらの二人の魔女候補も、俺らが簡単には去らせてくれないだろうね」
魔物たちが崩れゆくプラットフォームに到達するにつれ、オエリは再び呼吸を整えた。
「すまない、早くここを離れて、あの二人を探そう」
-転送門の向こう側-
ルーナが我に返った時、彼女は自分が地下牢にいることに気づいた。ただし、地下牢には人間はおらず、不死者だけが牢房の中をさまよっていた。それらの不死者は中に閉じ込められており、壁や鉄の扉に体をぶつけて騒音を立てていた。
この暗く陰気な地下牢は、不気味で恐ろしいとしか言いようがない。
その時、ルーナは背後から殺気を感じ、本能で相手の攻撃を防いだ。
「えっ!あと少し」
ルーナはスタチュートに剣を向ける。
彼が持っていたのは第六魔女が作ったナイフで、このナイフは魔力を封じるのに非常に効果的のだ。
レイラは不死騎士の肩の上にいたが、ルーナは時間を無駄にできないと知っていた。女神の力を使うと寿命が大幅に縮むことも知っていたが、強引に使うしかない。
スタチュートはすぐに異変に気づき、ルーナの魔力が彼にとって非常に馴染み深いものであることから、500年前の知人を思い出してしまう。
その知人は、かつて彼を裏切り者と呼んだ女性だった…
「この魔力の感覚…まさか、お前は女神に選ばれた聖女なのか!噓だろう」
ルーナの手の甲と瞳には女神の印が現れ、聖なる光が魔力に満ち、翼は雪のように白く美しい。
スタチュートは全身に鳥肌が立ち、自分が目の前の聖女には敵わないことを知り、逃げ出すしかない。
「待って!逃げるな!」
彼の頭の中には、かつて聖女に追われた光景が蘇ってしまった!
(「逃げるな!どこにも隠れられない、君は裏切り者のだ!」)
その女性の言葉が、今も彼の耳元で響いているかのようだ。それがスタチュートの心に恐怖を満たした。
(「剣の勇者でだけじゃなく、皆が君を信じていたのに…でも君は皆を裏切った」)
「黙れ!黙ってくれ!こんなことしたくない!」
その後、ルーナは不死騎士に攻撃されたが、一瞬で不死騎士を剣で真っ二つにし、レイラも彼女の上に落ちた。
その隙に、スタチュートは煙となって地下牢から抜け出し、音もなく逃げ去った。
「ちっ!逃がしてしまったか…ところでレイラ、お前は本当に重いな」
レイラはルーナの上で静かに横たわっている。安らかに眠るレイラを見て、ルーナも心を落ち着け、聖天使の状態を解除して気を失った。




