女神の剣
「やあぁっ!」
傷ついてもオエリは武器を使って風魔法を使い、魔物を木の洞窟の外に押し出す。
でも彼の体はまだ光っていた。
オエリが常に弱かったのに、今は大勢の武装魔物を撃退できるなんて。
「オエリ、なぜ急に強くなったの?それに体は光ってるけど」
「わかんないんだけど、体が軽くて体内に力がどんどん溢れてくる感じ...ちょっと変」
「待って!この光...神殿の壁画で見たのと同じだ...何てこった...」
しかし、その瞬間、時間が突然止まり、オエリを包んだ光がますます眩しくなり、すべてを飲み込んだ!
オエリが眩しい光の中から自我を取り戻すと、彼は果てしない世界に立っていた。そこには土も風もなく、無限の星空に囲まれていた。星空と星雲の果てには、光る大きな樹があった。その樹はとても大きく、まるで星空を覆っているようだ。
ここは全く暗くないし、星空の光があれば十分明るいのだ。
「ここはどこ?魔物たちと戦ってたはずなのに…」
そのとき、オエリの足が硬いものについた。あれは鏡のような地面で、果てしない星空と彼自身が映し出される。
「あの、こんにちは…」
「え⁉あなたは?」
突然、オエリに声をかけてきたのは黒髪の紫の目をしたとても美しく、清楚な女の子。でも彼女の顔には魔女の印がついていた。
オエリは目の前の女性を見つめながら、何かを尋ねたいようだ。
「あなたは?僕をここに連れてきたんですか?ここはどこか教えてくれますか?」
「本当に礼儀正しくて、可愛い子ね。私の目を通してあなたのことを知っちゃったけど...あ!ごめんね!話がそれたわね。ここは世界樹という場所よ、この世界の果てでもあるわ」
「世界の果て...うん?あの、すみません、僕たちは知り合いですか?あなたのことがとても誰かに似ている気がするんですけど。ええと、魔女候補ですか?あぁ!もし間違ったら本当にすみません」
「ふふ~、あなたの直感は間違ってないわ…」
「そうですか…でも、あなたの姿がどうしても思い出せないんですが…本当にごめんなさい」
そのとき、オエリの体に微弱な光が浮かび上がった。
「なんだこれ!」
「アニナが私を見つけたらしいわ、あなたと話をするのを阻止しようとしてるみたいね。オエリ・エザルド…いいえ!未来の勇者様…私の感情は本物よ、決して嘘じゃないわ。未来のある日、私たちはまた会えるわよ、ただそのときは…」
オエリは転送されたので残りの言葉を聞いていない。
しかし地面に立っていた時彼は目の前には万物の女神アニナだった。彼女は白い眩しい光に覆われていて、中はまったく見えない。
―現実に戻る―
「くそ!こんなに明るくて…目が開かねぇ!」
ロランドと魔物は眩しい光に動きを制限され、何も見ることができない。でも突然巨大な魔力が周りの木の根を吹き飛ばし、魔物たちを後退させた。
しかし、不思議なことにロランドは全く影響を受けなかった。そのとき、光が徐々に消え、オエリは純白の丸い魔法陣の中に現れた。
ロランドは驚いてオエリを見て、一言も言葉が出なかった。
「すみません、ロランドさん、お待たせしました」
「お待たせ?さっき全身が急に光ってなったじゃん?あぁー!見ろっ!手首に!」
「あはは…女神アニナ様に重要な任務を任せられたみたいですね」
「お前さんの手首の印は勇気の印じゃないか!それは勇者だけが持ってるんだぞ!」
ロランドは眼前で起こっていたことが信じられず、オエリの手を取ってじっくりと見る。
「壁画とまったく同じだぞ!ルーナの手首に現れた女神の印と、お前の手首に現れた勇気の印...この世に聖女と勇者が同時に存在するなんて...信じられない…」
「ロランドさん、それは置いておいて、魔物たちが来ますよ」
魔物は本能的に新しい勇者に向かって突進したが、オエリの杖が突然輝く白剣にかわり、彼は軽く振ると、巨大な魔力が目の前の魔物たちと、魔物たちの背後の木の根をすべて消し去り、切り口の整った地面だけが残された。
「うわぁ、つえー...これが勇者の力なのか…だから聖典に聖女は女神の盾、勇者は女神の剣と書いてあるんだか…」
「女神アニナ様はすでに世界樹を通してこの力をどう使うかを教えてくれましたが、この力はやっぱり怖いと感じますね」
「安心してください、女神アニナ様のしもべであり、神官でもあるわたくしがきちんと導いてくれますから、勇者様!」
「それなら安心できますね。あれ⁉ロランドさん!何やってるの….」
ロランドは目の前の勇者に対して騎士の礼をとり、この件には彼女ははっきりと理解していた。
「ふっふっふ、あたしは勇者様の仲間として名を馳せるんだ!あはは!!え!ちょっと待って、もしかしたらあたしの彫像もあるかも、それに!それに専用の神殿も…えへへ~」
「それが本音ですね…」
オエリとロランドも、まだやらなければならないことがあることを理解していた。
「では勇者様、その力を使って愚かな二人を救ってください」
「うん、では行きます」
その後、オエリの背中に魔力の翼が生えて、漆黒の木の根の奥深くへと高速で飛んでいった。そこは魔物が徘徊する場所だった。
―魔王教団本部で―
「ロサナよ、カリーナを助けないのはまだしも、なぜ私にも彼女を助けないように言ったの?彼女も私たちの一員でしょう?」
エンジリヤとロサナは魔王教本部の庭園を歩いている。しかし、エンジリヤの話を聞いて、彼女は立ち止まった。
「その子は不器用だけど、素晴らしい政治の才能を持ってる。でも、あの子供は若すぎて、調子に乗り過ぎた。こないだの会議で、私と部長の提案に反論したじゃないか…」
「ああ、そういえばカリーナはちょっと…ね」
「彼女に少し懲らしめを与えたいだけだ。私と部長が魔王教北方支部の上位であることを理解させるのよ、それに今回の危機をどのように処理するか見たいしな」
「厳しい先生ね。ところで、彼女は本当に私たちの仲間だと思う?」
「もちろんさ、彼女はまだ駒としての価値がある。オランスド帝国の拡大において彼女の功績は大きいし、それにスカーという強力な戦士を我々にもたらしてくれた。そうだ、2号。7号について…」
「全然ないわよ…あ!何度も言ったでしょ、なんでカッコイイ名前をつけないのよ、私を2号って呼ぶなんて…」
「名前をつけるのは面倒くさいと何度も言ったでしょう…」
突然、魔王教本部に鐘の音が鳴り響いている。
「ロサナ、これは!」
「こんなに長いなんて、大変なことになったんだね…」
さらに、紫衣者であるエンジリヤとロサナは、頭の中で低い男の声を聞いた。
『現在、正式に第三レベル警報、赤色警報に入りました!全ての紫衣者は直ちに魔王教の本部に集合してください!再度告知します、全ての紫衣者は直ちに魔王教の本部に集合してください!現在、赤色警報状態です!再度告知します、赤色警報状態!全ての紫衣者は直ちに魔王教の本部に集合してください!』
「ロサナ!アンティゴノス様が今回赤色警報だって…事態がこんなにひどいなのか、私も初めて聞いたけど」
「うん…確かにひどい状況になったね。だって、教団全体の運命に関わるから」
エンジリヤとロサナは魔王教本部の内部に入り、到着していた紫衣者がすでに多いことに気づいた。
西方支部の紫衣者――蟹座は、黒髪の彼は慌てて入ってきた二人を見ている。
「他の北方支部の紫衣者は?」
「あ!部長と3号はまだギヌ魔王の迷宮にいるはず…」
エンジリヤは沈黙するロサナを見て答えた。
「赤色警報が何かを知ってるはずだよね。勇者はすでに来た…」
そのとき、魔王教本部の扉が赤い髪の少年小魔王の一撃で破壊され、散乱した金属と木材が神聖な礼拝場に充満した。
誰もがその赤い髪の男を不満そうに眺めているが、あの男が咆哮をしてここの沈黙を破った。
「おい、このダメども、早くその勇者をみつけてこい!今度こそ殺してやる!」




