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革命軍4

「帝国軍にこんなに強い怪物がいるのか、神官さん。あれは一体何なの?第六魔女が作った兵器も彼には敵わないなんて…」

「私もわからない…」

 しかし、画面の中で赤い髪の少年はすっかり姿を消してしまった。みんなは画面の中で彼の姿を探す。

 その時轟音が聞こえてきて、亀の全身が震えている。音は亀の背中から伝わってきたらしい。

 次には割れる音が下に伝わってきた。亀の中心にいる一般人でもはっきりと感じることができる。

 アリシアは古代兵器の操作をやめて、上に行って様子を見ることにした。もちろんロランドと革命軍の戦士たちもついてくる。

 全員が上に着くと、あの男は火の子の服を掴んでいた。高級魔導士は重傷を負って顔中血だらけだった。それだけではなく、地面に倒れて苦しそうにうめいているのは革命軍の人たちだ!

 彼は上に来た革命軍に気づいて新しいおもちゃを見つけたようにアリシアを見つめる。

「お前があの魔女候補というやつか。ようやく亀をぶち破ってお前を見つける必要がなくなったな」

「あんた誰なの」

 その男は軽々と火の子を投げ捨てた。あの金級魔導士をまるで不要な紙切れを捨てるようにした。

 そして、その怪物は両手をポケットに入れて魔女候補や周りの人たちをまったく目に入らない。

「俺を知らないのか?笑わせるな。まあ、よく考えればそうだな。ずいぶんと外に出てなかったからな。あー!ずっと宮殿にいると退屈で死にそうだったから、少し身体を動かすのもいいものだ」

 ロランドは何かを思い出して不安そうになった。

「早く逃げよう、あの怪物には勝てない…」

「神官さん、また?あいつは一体…」

「あれは小魔王と呼ばれる怪物だ。無名勇者や第七魔女にも匹敵する強大な男だ。戦争女神を信仰する南方では神の子や勇者の転生者とも言われているし…」

「ええ、そうなの」

 南北はどちらも女神教を信じているが、派閥は違う。北方のほとんどは知恵女神を信じているが、クイリザル人は力と戦争を崇拝しているので戦争女神を信じている。だから強い小魔王は南方の人に神の子や勇者の転生者と見なされている。

 目の前の男は傲慢に笑っていた。人を見る目はムシを見るようだ。

「俺が誰だかわかっても、俺に立ち向かうつもりか?確かに勇気はあるね」

「試してみないとわからないでしょ」

「面白い、好きにやれ。俺を傷つけられたら、お前らを見逃してやるぞ」

 アリシアは指揮室の人たちに傷ついた戦士たちを運ばせる。でも小魔王は干渉せず余裕の様子をする。

「おい!奴らを逃がすな、それにお前は何をやってるんだ!早く俺を助けろ!」

 ロランドに蹴り倒された帝国指揮官が立ち上がって、あの男に大声で叫んだ。しかし、小魔王は彼に返事をしなかった。

 帝国指揮官はしつこく彼に叫び続ける。誰もが小魔王の顔がうんざりしているのがわかる。彼はゆっくりと歩いてきてこれに帝国指揮官は興奮している。

「よしいいぞ、助けてくれたらこの反逆者どもをしっかりと片付けてやれ!全員抹殺!」

 しかし、小魔王は彼を助けるどころか、突然彼を蹴り飛ばした。帝国指揮官は亀の背から落ちてしまって一瞬のことだった。

「ああ、虫けらはうるさいな」

「あれはあんたの仲間じゃないのか?」

「あの虫とは関係ない…」

 元々晴れていた天気がどういうわけか暗くなってしまう。

 アリシアはこの時ロランドを見て、早く逃げるように願う。

 ロランドも自分がいると足手まといになると分かって、すぐに現場を離れて指揮室の人たちを探しに行く。

「でも、これは初めて全力を出すんだぞ。逆にあんたが受け止められるか心配だわよ」

「へええ~ちょっと楽しみだな」

 小魔王が言い終わると、空から雷が落ちて彼を直撃した。その威力は凄まじくて、亀の甲羅全体が揺れている。巨大な爆発が周囲に広がり、青い電弧があちこちに飛ぶ。

 遠く離れていても、衝撃波でロランドや革命軍の人たちが吹き飛ばされた。

 でも、あの男は相変わらず無傷だった。身に付いた埃を払って何事もなかった…

「チェ!しつこいな」

「まだ全力を出してないだろ、わかってるぞ。でも最初から奇襲を選ぶとはな」

「許してよ~」

 アリシアは突然自分の魔力を大量に集めて肌から透明なゼリー状の液体が流れ出し、液体に灰色の色がついた。

 それで自分を包み込むようにアメーバのような構造を作り、仮足で小魔王を連続攻撃する。

 でも、小魔王は手で軽く仮足の攻撃を防いだ。表情はとても楽そうだ。でも、亀の背は楽ではなかった、連続攻撃のせいで小魔王の足元は砕けた石や亀裂だらけだ。

 そしてあの男はだんだんと沈んでいく。

「では、これはどうだ!」

 アメーバは溶けて魔力球になって彼女は魔力球を発射した。でも、小魔王は一歩後退して拳で魔力球を打ち返した。その風圧はとても強い。

 魔力球は空中で弧を描いて亀の背の小山を貫通した。それから遠くの高い山に向かって飛んでいって山の上で爆発する。

 そのせいで大きく整った円形の穴ができた。

「威力はさっきのレーザーよりも劣るな。所詮魔女候補は魔女候補で、本物の魔女じゃないんだよな……がっかり」

「そんな…信じられない…」

 アリシアは自分よりも遥かに強い怪物に初めて出会ったのだろう。顔色が急に悪くなった。

 小魔王は頭をかいてゆっくりと近づいてくる。一方アリシアは後ずさりする。

「おい!もう終わりか?じゃあ、俺の番だぜ」

「チェ!」

 小魔王は跳び上がって後ろの地面をめくり上げて直接アリシアに飛びかかった。

 二人は亀の背で互いに戦っている。一般人は戦闘を見ることができずただ二つの黒い影があちこちに飛び回るだけだ。

 アリシアは紫黒色の火球をたくさん召喚して小魔王に飛びかかった。

 でも、小魔王の速すぎる拳で全部弾かれてしまって火球は空中にたくさんの火の残渣を残す。

 残りの火球が亀の背の小山も砕けてしまった…

 その中の一つの火球がロランドに向かって飛んできて、近くの革命軍の人たちを遠くに吹き飛ばした。

 ロランドは元々後方で傷ついた人たちを治療していたが、今度は自分も重傷を負った。それだけでなく周りの指揮室の人たちも気絶した。

 一瞬の間に、亀の背は傷だらけになった。紫黒色の火で燃えて、大きな穴だらけの地獄になった。

 ロランドが気を取り戻した時には、アリシアはもう落ち始めていた。でも、ロランドは傷の痛みに耐えて走っていく。

「間に合え!」

 アリシアは重傷を負った。ロランドは自分の安全や傷を顧みずに彼女に治療をする。

 そのせいであの怪物がロランドの後ろにいることに気づかなかった。

「死んだのか?一撃でああなるとはな。彼女はずっと全力を出せなかったんだろうな?俺と戦う前にもう死にかけていたからさ。つまらないな…」

「……」

 ロランドは話すことも振り返ることもできず治療に集中している。

 小魔王はゆっくりとロランドの前にしゃがんだ。静かに彼女がアリシアに治療をするのを見ている。

「お前ら成功したよ。さっき気づかなかったけど、手の甲にちょっとした擦り傷ができた。だから約束通り、お前らを見逃した」

「なに⁉」

 あの怪物は言って立ち上がって去っていった。

「すごい奴だな、この世界にそんな怪物がいるなんて…」

「生き残れて幸運だったよ」

「あたしもうだめだ、あの怪物と戦って魔力を使い果たした…」

「だめだ、このまま死んでしまうなんて」

「ん?」

 ロランドは周りを一瞥し、ここには彼女だけが意識を保っていることに気づいた。そして自分が何をすべきかは分かっている。

「死むな、革命軍のみんなはお前を必要としているぞ!今のうちにあたしの生命力を吸収してくれ!」

「だめだ!神官さん…吸収したらあんたは死んでしまう、今のあんたは本当に頭がおかしいわね……前にも言ったでしょう、あたしは一度もそんなことをしないって。自分の寿命を消耗しても、他人を犠牲にして夢を叶えるなんてことは絶対にしない…みんなに嫌われる魔女になりたくないからさ…」

「でも、お前が死んだらどうなるのよ!みんなはどうする?だから……」

 アリシアは指でロランドの唇に触れて黙らせた。

「実はあたし見たかったんだ、明日の朝の最後の太陽…あたしのためにできるかな……」

「神官として女神に誓う…あなたの葬儀はわたくしが精一杯やる」

「ありがとう…ロランド」

 実はロランドは分かっていた。彼女の傷は深刻で、魔力も足りなくて生き残ることはできないと。でも、自分の医術で彼女に明日の太陽を見せることはできるはず。

「神官さん、何を泣いてるの、お互いのことを分かってるはずだよ」

「でも……」

 ロランドは治療に夢中で周りの状況に気づかなかった。二人の周りには人が囲まれている!

 囲んでいるのは帝国軍ではなく、六芒星の仮面をかぶった奇妙な奴らだった!神官のロランドは本能的にこれらの奴らがアンデッドだと感じた。

「ロサナよ、小魔王のやつ、約束を守らなかったな。勝手に魔女候補を逃がしたなんて。魔女候補を逃がしたら一切台無しになるぞ」

「2号、あいつは気にしなくていいのよ。あいつは私たちの味方じゃないし、魔女候補を倒せたことだけで十分」

 話せる二人は空中に浮かんでいて高慢な様子をする。

 ロランドも危機を感じて、息も絶え絶えのアリシアを連れて逃げた。

「ロサナ、見て!あの二人が逃げたぞ」

「無意味なことだ」

 でも、すぐに二人は手を振って周りのアンデッドの暗殺者たちにロランドに向かわせる。

「まじで死んでくれ!」

 ロランドは石を地面に投げた。そのものはすぐに強力な浄化の力を発して追っ手たちは灰になった。

「よし、成功した!えっ!」

 彼女の足は何かに突き刺された!よく見ると氷の棘だった!銀白色の氷の棘がロランドのすねに深く刺さっている。

「早く逃げてくれって言ったじゃないか、あたしなんか気にするな」

「だめだ!明日の太陽を見せてあげるって約束しただろ…」

 ロランドはすぐにすねの傷を治し、出血や痛みは止まったが、傷ついた左のすねはほとんど歩けない。

 それでもロランドは彼女を連れて逃げることを選んだ。

「人間はなぜこんなに効率の悪いことをするんだ?本当に馬鹿で愚かだな」

「2号、そんなつまらないことを考えるのが一番効率が悪いよ、人間の愚かさは伝染するんだ」

「そうだな、早く終わらせよう」

 背の高いアンデッドがロランドのそばに飛んできて、十数本の氷の棘を召喚してロランドを殺そうとする。そして2号はアリシアを奪うつもりだ。

 でもアリシアはタイミングを見計らって最後の空間魔法でロランドを転送する。

「ごめんね、あたしもう見られないから、でもあんたに明日の太陽を見せてあげたい。ロランド…さようなら…」

「アリシア!」

 -木の根の中-

「こんなに悲しいことが起こったとは…」

「そうだよ、最終的に森の中に逃げ込んで帝国軍をやり過ごして生き残った。女神様が与える運命も嫌になることがあるよね。よいしょっ」

 この時ロランドは立ち上がって彼女の目には迷いがない。そのために彼女は遺書を燃やした。

「アリシアは一人の生命力も吸わなかったのに邪教徒の傀儡にされて…だからあたしは奴らを許せない、彼女の理想を踏みにじって彼女をアンデッドにして彼女の人格を侮辱したこと。だからどうしても彼女に会いたい、自分に後悔が残らないようにな」

 壁に少しずつひびが入ってきた。オエリもそれで立ち上がって杖を再び召喚する。

「ロランドさん、あなたの気持ちや怒りが分かります。そしてもう一度アリシアさんに会いたい理由も分かります。だから…」

 オエリは弱さを見せなかった。ロランドとあまり長く付き合っていなかったが、彼の変化にはっきりと気づいた。彼はまるで別人のようだけど。

 ロランドは驚いて彼の身体が光り始めるのを見る。めちゃ弱い光だったけど、かなり安心させる光だ。

「だから僕たちは一緒に生き残ろう、前にできなかったことをやり遂げて、自分に後悔がないように…」

「うん…行こう」

 その時壁が武装魔物たちに破壊された…

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