革命軍2
「くっ!殺せ!私を侮辱するなら!」
団長とロランドは反乱軍に投獄されたが、団長はずっと反乱軍を罵り、首領と決闘を要求している。兵士たちも牢屋の中で屈辱に頭垂れる。
「どこから来た山賊かと思ったら、なんと騎士団の団長だったのか?」
「なぜこいつらは山賊みたいな格好をしてるのかが気になるね…」
「彼女たちは帝国から来た人には見えないな、傭兵かな?」
近くには多くの武装した人々がいて、装備の鎧はとても精巧で実力も強いそうだし。山賊のような帝国軍よりも、本物の帝国軍に似ている。
ロランドは周りの人をよく見ると、なかなか強そうな魔導士もいることに気づいた。
これらの魔導士の胸には銀級冒険者の徽章がついているものもいて、これが一団の反乱軍だとは信じがたい……
魔法がまだ完全に普及していない世界で、一群の叛乱者がこれほど多くの上級魔導士を持っていると考えると、ローランドは鳥肌が立つ。
そのとき、ハイヒールの足音が聞こえてきて金髪の少女が牢屋の前にやってきて、鉄格子越しにロランドたちを見る。
「あんたたちは帝国から来たの?笑わせるわね、帝国軍は兵力が不足して一団の山賊と傭兵を募集しなければならないの?」
二人は彼女を見るとすぐにわかった、この子は魔女候補だということ。だって顔に金色の魔女の印が彼女の身分を示していた。
だが団長はまだ屈しないで大声で叫んでいた。
「くっ、殺せ!」
「もういいですってば、団長様。相手が私たちを侮辱したいなら、とっくに手を出していますよ」
「……」
その魔女候補は二人に問いかける。
「ちょっと興味があるの、あんたたちはここに何をしに来たの?まさかあたしたちを鎮圧しに来たの?それならあたしたちをなめすぎだわよ」
魔女候補はロランドと周りの兵士を見て、場にいた反乱軍たちは団長たちを嘲笑して笑い始める。
「お前は魔女候補だよね、こんなに多くの人と魔導士を集めて、一体何をしようとしてる?」
「何でもないわ、今の世界が気に入らないだけ」
彼女の目は怒りに満ちていて、ロランドはこの子は七大魔女のような存在になろうとして、世界を滅ぼそうとしているのかもしれないと思う。
(今日は生き残れないかもしれないな、退職金も用意しておいたのに…)
「腐った教会が無能な王室政府を支配して、女神の名のもとに人々を搾取してる。この世界は本当に狂ってるわね」
「え!世界を滅ぼしたいの?」
「そうよ、あんたたちの古い世界を滅ぼして、あたしたちの新しい世界を創造する、それだけ」
彼女は椅子に座って足を組んで二人を見ている。
「それはどういう意味?」
「女神教会と王政を一緒に倒して新しい政権を樹立するのよ、そしてこの政権は人民のものになるの」
ロランドはこれは子供と同じような幼稚な発言だと思った、まだ現状を理解していない無知者に過ぎないだけ。
「本当に笑えるわね!お前らは王国内の強者がどれだけいるか知らないくせに!この程度だけでは無理だ!」
「そうだからこそ、王室と教会に不満を持つ王国内の人たちと結託して、みんなの力を集めるんだ」
ロランドはいい考えが浮かんだようで、毛虫のように鉄格子に這い寄って魔女候補を見る。
「どうせ戻ると死路一本だから、お前らに加わらせてくれ!」
団長はこんな展開には思いもよらず、神官を驚いて見つめる。
「神官様⁉何をおっしゃってるんですか!これは反逆罪ですよ!」
「大丈夫です、団長様。今ならまだ間に合います!」
「いやいや!どう考えても騎士団の団長だぞ、こんなことするくらいなら死んだ方がましだ」
「団長様、ご存じないことがあります。皆さんの命を守るにはこれしかないんです。昔から苦難に耐える者だけが大業を成し遂げると言いますが、あなたこそがその方なんです!」
「え?そうなの?」
「そうです!私は女神様のしもべですよ、団長様を騙すはずがありませんわ!」
「うんうん、わかった。私も降伏する!」
ロランドはほくそ笑んだ、なんとか命拾いできたようだ、でも相手は彼女たちの降伏の意思を無視する。
「残念だけど、我々は王室や女神教会の犬は要らないわ。彼女たちを狂暴鰐の縄張りに放り込め」
「「ええ?」」
狂暴鰐について、この強い生き物は人間を完全に引き裂いて何も残さないと言われていて、最も致命的なのはこの怪物は魔法と刀具に対して強力な耐性を持っていること!この怪物の討伐はギルドでもほとんど誰もやらないし。
そうして団長とロランドは湖畔に運ばれて反乱軍に吊り上げられた。
「神官様!足に気をつけて!」
湖の中に巨大な波紋が現れ、一匹の怪物が水面から飛び出して、ロランドの足にかすかにかみつこうとした。二人はひやひやしながら次の攻撃に警戒している。
その魔女候補は湖畔に座ってこれを見ていてロランドは心の中で彼女を恐らく百回は呪ったのだろう。
「それで、あんたはどの騎士団の団長?ここに何をしに来たの?」
「第七騎士団団長カイリ・マキンリー・バンクロフト、元はクレイ出身の銀級冒険者だったが、国家に徴召されて再編成された。それから教会に魔女候補を殺すように命じられて、ついでに反乱を鎮めるために来た」
魔女候補は隣のロランドを見て手を叩いて、その怪物が再び水面から飛び出して二人の足をびくびくさせた。
「じゃあ、神官さんは何という名前?女神教会はあんたに何の任務を与えたの?」
「ロランド!ロランド・アルスブルック、教会は団長たちを助けて反乱軍を殺すように言ったけど…」
魔女候補は反乱軍に二人を下ろすように合図して、足がしっかりした地面に着くとカイリとロランドは安心して地面にへたり込んだ。
しかし、すぐに彼女たちは魔女候補に対する敵意を取り戻し、そして彼女は無理やり首を振った。
「あのさ、あんたたち二人その表情じゃまともに話せないわね。じゃあ、三人で歩きながらおしゃべりしましょうか?」
魔女候補は反乱軍に三頭の馬を連れてくるように言った、ロランドは希望の光を見たようだ。
(これはいいチャンスだぜ、このクソ魔女が気を抜いたときに逃げ出せるかもしれない、あの兵士たちなんてどうでもいい!あたしの命が一番大事だ!ごめんね、騎士団のみんな、絶対に逃げるから、死んでもあたしのせいにしないでね)
そのとき魔女候補が笑ってカイリとロランドの肩を叩いた。
「実は逃げることにこだわる必要はないわよ、あんたたちがあたしから五メートル離れたら、すぐ魔法で直接殺してあげるからさ」 「「……」」
(言い直す、あたしは女神様のしもべだ、無邪気な子羊を救う使者だもの、どうしてあの兵士たちを見捨てることができるだろうか、必ず自分の責任を果たして見せます!)
途中三人は馬に乗って湿っぽい小道を通って、両側には金色の稲田と勤勉な農民たちがいて、美しい田園風景が二人の目の前に現れる。これによって二人はさっき危うく命を落とすところだったことを忘れた。
「そういえば、団長さんはクレイ出身だったよね、あそこは山地の農村だろう」
「うん、でも私の故郷はここほどきれいじゃないよ、あそこは貧しくてぼろぼろだ」
「ははは、ここ美しいでしょ。実はこれはあたしの追随者たちが作った村なの、ここには税金や圧迫もないから、こんなに美しくできるのよ。あたしたち革命軍がイビリヤス帝国の首都を奪ったら、全国がこんな風景になるぞ」
「…そうなの」
カイリは周りの風景を見てずっと黙っていて、彼女も色々考えているのだろうね。こんな風景に対して帝都の神官のロランドは少し感動する。
魔女候補は馬で二人の前に来て、さっきよりもずっと真剣な表情をしている。
「ではもう一度聞くわ、あんたたちはここの風景を全国に広げたいの?本当にあたしたちに加わりたいの?」
団長はためらうことなく手を差し出した。
「うん、一緒に創ろう」
彼女は黙っていたロランドに首を傾げて尋ねる。
「じゃあ神官さんはどう?」
「あた…あたしはこれがいいと思う、嫌いじゃない」
「よかったわね。二人とも革命軍へようこそ!私の名前はアリシア、よろしくね」




