表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あっと!ヴィーナス!!  作者: 神崎理恵子
ハーデース編
46/52

ハーデース編 partー13 振り返るな!

「ああ!」

 矢が当たって、一瞬硬直するペルセポネー。

 やがて、へなへなと浴槽の縁に倒れ掛かる。

「死んだのか?」

 弘美が尋ねる。

「いや、心身が弛緩しているだけだ」

「この後、どうするんだ?」

「無論、冥府へお連れするだけだ」

 というと、ディアナが浮遊の神通力を使ってペルセポネーを浮き上がらせた。

 そのまま、元来た道を通って旅の扉で冥府に戻った。


 ペルセポネーを迎えて、ハーデースが喜んだのも当然だった。

 エロースの弓矢のおかげか、ハーデースに寄りそうペルセポネー。

「ご苦労だったな。約束通り、愛君は地上へ返すことにしよう。

「おおそうか! 働いただけのことはあるな」

「ただし、気を付けることだ」

「気を付ける? どういうことだ?」

「地上へは元来た道を戻るがよい。ただし、冥界から抜け出すまでの間、決して後ろを振り返ってはならなぬぞ!」

「振り返るなだと? どういうことだ?」

 しばし考え込む弘美。

 やがて、日本神話を思い出す。

「まさか、イザナギとイザナミの黄泉の国の物語か?」

「違うな」

「じゃあ、JOJO/ダイヤモンドは砕けないの岸辺露伴編『振り向いてはいけない小道』の怪、じゃないだろうな。振り向くと魂を持っていかれるっていうやつ」

「竪琴の名手オルペウスと妻エウリュディケーの物語は知ってるか?」

「知らん!」

「ギリシャ神話だよ……ともかく、振り返るなってことだ」

 和洋の違いはあれど、冥府に関するタブーというものは共通のものらしい。


「ハーデースの野郎、地上に返すといいながら、その道すがらに罠を仕掛けているんだろな」

「まあ、簡単には返してくれるとは思ってはいなかったけどね」

「わき目も振らず駆け抜けろってことか」

「出口まであと一歩というところでも油断しちゃだめよ」

「出口だと思わせて、実はまだ洞窟の中だったとかだったら、どう判断するんだよ。牡丹灯籠とかで、朝と思わせて実はまだ夜だったというのがあるのよな」

「そうねえ、幻影くらい朝飯前でしょうね」

 ここで考えていてもしようがない。

 地上への脱出行は始まった。

 ひたすら、ただひたすらに。

 再びゾンビや骸骨などのアンデッドモンスターが襲い掛かる。

 弘美が〇〇の剣を振り回して薙ぎ払いながら道を切り開く。

「おい! おまえらも戦えよ」

 そういえば、さっきから全く戦闘に参加しない女神だった。

「女神は殺生はしないのだよ」

「殺生っつったって、こいつら死んでるじゃないか! アンデッドだぞ」

「といわれても、女神のしきたりというものがあってだな」

「ヴィーナスはしょうがねえよ。愛と美の女神だからな」

 と、ディアナの方を見る弘美。

「どうして私を見るのだ」

「おまえ、確か狩猟の女神でもあったよな。弓矢を射る能力があったはずだ。ペルセポネーを一発で射ったよな」

「すまぬ。弓矢は持ってきていない」

「またエロースに借りればいいじゃないか。そういえば、エロースがいないな。帰ったのか?」

「あれは、愛の弓矢で魔物はもちろん人間も倒せない。使い道が違うのだ」

 もはや手立てはない。

 走って、走って、出口まで走り続けるだけだ。

 やがて、前方に出口の光が見えた。

「出口か?」

「幻影かも知れんから、気をつけろ!」

「わかった!」

 走り続ける一行。

 そして、出口を通過して一行が見たものは……。


 見渡す限りの広大な海だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ