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63話 真実
まだほのかに温かい木村の右手を、達之の冷たい義手である左手を握っている。
「……こんな事になるなら、死んだ方が……ましだ……」
浩輝は二人の側で力無く喋る。
『最後の一人になりましたね』
ケイとマイが出てきた。浩輝はケイとマイを睨む。
『睨むな、お前に真実を教えてやろうと思ったのに』
「……真実?」
ケイとマイは、その場を動かなくなり、じっとしている。
少し経つと、ある人間の姿になってきた。
ケイは白衣を着た男に、マイは白衣を着た女の姿になってきた。
人間の姿になり、
「始めまして安達浩輝君、石井光です」
「俺は石井薫だ」
目の前には、浩輝が憧れていた人物がいる。
「……嘘だろ……」
浩輝は、目の前に見えてる人を信じたくなかった。