61話 苦悩
浩輝は木村に流動食を食べさせてもらい、いつもの服装に着替えさせてもらい、(この時木村に傷痕を見られたが)彼女は傷痕を見て怯えたが、浩輝の事は嫌いにはならなかった。
「よし……、安達、行くぞ」
達之は自分の拳銃をポケットにしまって、いつでも撃てる様にして、浩輝の左肩をかついでゆっくりと立ち上がらせる。
「……無理だけはするなよ」
達之は浩輝の横顔を見ながら喋る。
「……あぁ」
フラフラの浩輝をゆっくりと歩かせて、三人は病院を出た。
久しぶりに外に出た気分で太陽がまぶしく感じる。
「今の所、誰もいませんね……」
木村は浩輝の右側を歩いている。
「……木村、ごめん、君を巻き込んでしまって……」
少し顔色が悪い浩輝は木村に謝った。
「大丈夫ですよ、無茶だけはしないでください……」
木村は浩輝の顔を見て優しい口調で喋る。
「……二人共、ありがとう、俺のわがまま聞いてくれて……」
浩輝は二人の顔を見て、ゆっくりと微笑んだ。
三人でゆっくりと歩いていく。
……何故か不安になってくる、ゾワゾワする。
浩輝は少し苦しくなってきた。浩輝の左肩をかついで歩いている達之が浩輝の異変に気づいた。
「安達?苦しくなってきたのか?」
一端立ち止まって浩輝を心配する。
「……何か、ゾワゾワするんだ……」
浩輝が達之にそう弱く喋ったら、
「うっ……」
浩輝の右側を歩いていた木村が突然胸の真ん中辺りを何かで撃ち抜かれて地面に倒れてしまった。
「……木村!」
浩輝は彼女が倒れてしまった事にじっとしていられなかった。
「……何処だ!?」
達之が拳銃を構えて周囲を確認する。浩輝達の後ろから上原が攻撃してきた事が分かった。
上原はクロスボウを撃ってきて、達之の胸の真ん中辺りに撃ち抜かれ、達之も地面に倒れてしまった。
「た……達之!」
浩輝は攻撃されて無いが、バランスを崩してしまい、倒れてしまった。
……何が起きたんだ、止めてくれ、二人共逃げてくれ!
浩輝は何故か起き上がれなかった。声にも出せず、必死に二人に叫ぶ。
「ハァハァ……、ッソー!」
達之は痛みに耐えながら、拳銃を上原の頭部を狙い発砲した。一発で頭部に当たり、血を流して動かなくなった。