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苦悩のローラーコースター  作者: 立蛇志九絢子
58/65

58話 覚醒

 ピッピッ……不愉快な電子音が聞こえてくる。

 布団に入っているかの様に温かく、両方の手も温かく感じた。

 ゆっくりと目蓋を開いていく、視界がぼやけている。

 ……ここは何処だ?、視界が少しずつはっきりとしてきた。

 浩輝の両方の手を握っていたのは、達之と木村だった。

「安達!俺達の事が分かるか?」

 達之は必死そうな表情で浩輝に問う。木村も心配そうな顔で見てくれている。

「……達之と木村?」

 浩輝は小さな声で弱く二人の名前を喋った。

「安達君……、目を覚ましてくれて、良かったです……」

 木村がうれし涙を流した、彼女の涙が浩輝の左手の甲に落ちた。

 ……二人共、俺を心配してくれてたのか。

 少しずつ意識がはっきりとしてきた。

「俺は……どれ位眠ってたんだ?」

 ベッドの上に寝ながら、達之達に弱く喋る。

「二日位は眠っていた」

 達之がそう答えてくれた。

 浩輝は眠っていた間何が起きたのか質問する。

「木村……、眠っている間何か起こったのか?」

 木村に問うが、彼女は悲しそうな表情で喋り、

「渡辺さんと、西岡さんと、小川さんが亡くなりました……」

 ……友里ちゃんが殺された? 信じたくなかった。

「安達……、一時お前危なかったんだぞ。苦しそうに呼吸してたから、……正直、もう見たくない、見てる事しか出来なかったから……」

 達之が力の無い表情で喋った。

「そうだったのか……、心配かけて悪かった……」

 浩輝が弱く二人に謝った。

「……お前が起きてくれて良かった。また会えて……本当に良かった……」

 達之が泣いている、始めて二人の涙を見た。

 浩輝は二人の為に、弱く微笑んだ。

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