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56話 願意
病室の前に着き病室に入ると、木村が安達の側の椅子に座っていた。
達之は椅子に座って、眠ってる安達の右手を握った。
「安達……あの負傷事件の犯人は上原だった。何故お前が狙われたまでは分からんが……」
達之が眠っている安達に喋った。
……もし安達が目覚めても、また襲われたりしないだろうか……。
達之は安達の右手を握りながら心の中で悲しく喋る。
意識は無いが生きていると実感できる温かい手が、達之の手を弱く握り返してきた。
「……安達?」
達之は反応を逃さなかった。
「押田君?どうしました?」
「安達が……俺の手を握り返してきた。力は弱いが、俺に反応してきた」
木村も驚き、椅子から下りて、安達の左手を優しく握る。
……目を覚ましてくれ、安達!
達之は心の中で安達に叫んだ。
達之視点で10話中9話「安達」と喋っています。