53話 痛嘆
アラームの音で目を覚ます、常夜灯を消し一階に下りる。
トイレに行って終えて手を洗って出る。
朝食を食べて、脱衣所で顔を洗ったりして、二階へ上がる。
クローゼットの中の服を着替え、外出する準備をする。鞄を背負い、脱衣所の洗濯機に服を入れて、玄関へ行き靴を履き外を出る。
鍵を閉めて病院へ向かう。病院に着いて入る。
病室に入る。木村はまだ来てなかった。達之は椅子に座って安達の手を握る。
「温かいな……、俺の左手とは違う……」
安達の手は温かかった。目を覚ましてくれないが、生きているという事を実感する。
手を握っていると木村が入ってきた。
「押田君……おはようございます、まだ安達君は……」
木村は悲しそうに安達の元へ行き椅子に座った。
「……目を覚ましてくれない。俺は……、この不愉快な音が無くなって、安達に会いたい……」
病室のピッピッ……という音が消えて、安達が起きてほしいと願う。
「私も……もう一度彼と話してみたい、彼と一緒に……笑顔でいたいです……、だから……起きてくださいよ……」
木村は涙を流しながら、安達の上半身に寄り添う。
悲しみに溺れている二人は、起きてくれない安達が目覚めるのを待っている。