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苦悩のローラーコースター  作者: 立蛇志九絢子
51/65

51話 惻隠

 五時二八分、参加者の一人である西岡文恵は分銅鎖を右手でブンブン振りながら、

「あのガキ殺したいけど、何処にいるかしら?」

 西岡はイライラしていた。あのゲーセン殺人未遂事件に関わった浩輝を殺したがっている。

「あいつは絶対許さない、屈辱を感じたわよ!」

 西岡は怒鳴りながら歩き続ける。

 ガシャッと音がした。西岡はその音に気づいてはいなかった。

 歩いている西岡をライフル銃で頭部を狙い引き金を引く。

 銃声が鳴り響く。西岡は頭部が潰され地面に倒れ動かなくなった。

 髪飾りのリボンだけ頭部だった場所に残された。



 安達が眠っている病室で二人はメールを見ていた。

[西岡文恵死亡確認、享年二十、死因頭部を撃たれ射殺]

「……また小川か?」

 達之がボソリと呟くと、

『正解です』

 ケイとマイが出てきた。正直、嬉しくない正解だ。

『西岡さんは小川さんに殺害されました』

 マイが一枚の写真を達之に渡した。

 写真は、頭部が潰されリボンだけが残り、血だらけの死体が写された、首輪が外され、安達が立てた仮説、あの痕が首に残されていた。……西岡も現実では首吊りをしたのか。

『西岡が声優は本当だ。声優の世界に憧れ、世界に入った。しかし、若者は多くこの業界に居る。若手の仕事は優れた奴しかなかなか来ない。西岡は量産型の若手に入り仕事が来なかった。この業界の現実に絶望し、家で首を吊った。皮肉だ、声の仕事をしてた奴が大切な喉を自らの手で潰してしまうとは』

 ケイがあざ笑いながら喋る。喋り終え、ケイとマイはいなくなった。

 椅子に座りながら達之は、意識が無い安達の顔を見て喋る。

「安達……、お前の仮説は正しかった。信じたくなかった、現実ではこんな事になっていたなんて……」

 達之は自分も現実ではこうなってるかもしれない、と思いながら喋った。

「俺は……お前と一緒に真実を知りたい。だから……目を覚ましてくれ……」

 達之は意識の無い安達に願う、木村も同じだった、目覚めてまた安達に会いたい、喋りたいと思いながら、二人は同じ願いを心の中で唱えた。

死亡

西岡文恵(享年二十 頭部を撃たれ射殺)

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