42話 相愛
「今日は、一緒に帰りたい。君を無事に連れて行きたい……」
浩輝は、もう人が死んでほしくないと思いながら喋る。
「お願いします。私も……まだあなたと一緒にいたいから」
木村は浩輝の悲しげな顔を見ながら喋り、手をつなぐ。
浩輝は木村の手をつなぎながら歩く。
浩輝は歩きながら喋った。
「俺……、この殺し合いを止める事できないかもしれない……」
浩輝がそう喋ると、木村は立ち止まる。
「……木村?」
浩輝が木村の方を向くと、
ガバッ、木村が浩輝を抱きしめてきた。
「なっ……!?」
浩輝は突然抱きしめてきた事に戸惑う。
「そんな事言わないでください、まだ何があるのか分かりませんが、この世界から出る可能性はまだある筈です。……あなたは、本当に一人で全てを抱え込みすぎです……」
木村が浩輝の顔を見ながら、悲しい表情をする。
……俺はもしかしたら、昔から一人で抱え込みすぎていたのかもしれない。孤独に悩み続けていたのかもしれない。
浩輝は木村を優しく抱きしめながら、
「……こんな俺を好きになってくれるのか……?」
浩輝は木村の顔を見ないで耳元でささやく。
木村は浩輝の弱弱しい喋りに、
「私は……、誰かに殺されても、あなたの事が好きです……」
木村は涙は流してはいないが、泣きそうな表情で浩輝の顔を見る。
……彼女は絶対守りたい、そう思いながら浩輝は木村の顔を見ながら、
「……今度は俺から言わせてくれ。俺は、君の事が好きだ……」
浩輝は木村に告白をした。
木村は浩輝の告白を受け入れるかの様に優しく微笑んだ。
二人だけの世界……、誰かが見てるかもしれない道で、二人は優しいキスをした。
現実世界に戻って、本物の彼女に会ってみたいと思いながら……。