4話 存在
PCが立ち上がり、パスワードを入れる画面になった。
「俺の使ってるパソコンにそっくりだ、パスワードもいつも使ってるのと同じか?」
画面に九六四一と入力すると、ようこそと出た。
「やった、これでネットができるはず」
『パソコンでできる事は限られているよ』
椅子の後ろにケイとマイがいた。
「……どういう事だ」
ケイとマイに問う。
『この場所ではパソコンを持ってる人はパソコンができます。例えば、ネットゲームはオフラインならできます。あなたが持ってるゲームが他の参加者が持ってる場合その人とならオンラインできます』
『動画サイトで動画を見たり音楽を聞く事は可能です。しかし動画をサイトに流す事は不可能です』
『ネットでは、五ちゃんねるなどのサイトを見る事は可能だけど、書き込む事は不可能です』
『ツーハンでお買い物はできません』
『と、こんな感じで限られています』
少し弱みを握られた気分だ。
『ちなみに携帯でも同じです。あとゲーム機や携帯の充電はここでは必要ありません』
マイの発言にかなり驚く。
『以外か?ここではそうできる様になっている』
「おい、お前らは何なんだ!」
浩輝は焦りながらケイとマイに問う。
『お前達の闇が体現した存在』
ケイが答え、ケイとマイがいなくなった。
「……意味が分からん」
悩んでる間に風呂が沸いたみたいなのでパソコンを一端止めて風呂場へ行く。
脱衣所で服を脱ぐ。過去に恐ろしい男に襲われて両足の太股に刃物で深く刺された痕がある。左側の腹にも刺された痕がある。
「……俺は、誰も殺したくない」
傷痕を見ながらボソリと独り言を喋り風呂場に入る。
風呂場のイスに洗面器でお湯をかける。イスに座り体にお湯をかけ、用意されていた体を洗う用のタオルを濡らしボディソープを付ける。
体をゴシゴシ洗い、シャワーで洗い流し、髪をシャワーで濡らしシャンプーで洗う。このシャンプーはシャンプー兼リンスみたいだ。
シャワーで流し、洗顔する。シャワーで流して、風呂に入る。
風呂の温度は四十度だ。浩輝が入ってる温度と同じである。
首輪がされているがマイの発言が正しければ首はちゃんと洗われているはずだ。
しばらく浸かって風呂場を出る。
脱衣所に戻り棚にあるバスタオルを取り体と髪を拭く。
パジャマに着替え洗面台でドライヤーを使い髪を乾かす。そこまで長く無いので乾かすのはあまり時間は掛からない。
洗面台に歯磨きセットがあるのでそれで歯を磨き口をゆすぐ。
「洗濯機の近くの壁に何かがぶら下がっている、何だ?」
手に取ってみると、洗濯機の説明書やその他の家電製品等の説明文が書かれていた。
「えっと、こうやったら良いって事か?」
脱いだ服とバスタオルを入れて風呂の残り湯を使用し、洗剤を一定量入れて蓋を閉じスイッチを押す。
説明書を元に戻しリビングに戻る。
リビングの電気を消し二階に上がる。
寝室に着きパソコンを使う。
「そういえば、携帯はWi-Fi入ってるのか?」
携帯を見ると入っていた。安心した。
パソコンでネットを見る。画面は普通だった。
「今は八時十五分か、日付は……と、あれ?」
時間は分かるが日付は分からなかった。
「何故だ?まぁ繋がってるからいいか」
位置情報を検索してみる。しかしエラーと出て分からなかった。
「くそっ」
浩輝は悔しがる。ここが何処なのかすらまだ分からないからだ。
次はケイとマイと検索してみる。これもエラーと出て分からなかった。
ケイとマイ殺し合いと検索しても出てこなかった。
「これも限られている事か……」
殺し合い関係の事を検索するのを諦めPCゲームをする事にした。
「ゲームはできる……か。気分転換だ」
PCゲームを始め時間の経過が分からなくなった。
しばらく経って時間を見る。十時だった。
「わっ、こんなに経ってたのか。今日は早めに寝るか」
パソコンをシャットダウンして止める。立ち上がりベッドの上に置いていた日本刀と鞄を床に置いて、常夜灯にしてベッドに入る。
メールが入った。ケイとマイからだ。
[今日の犠牲者は大杉直人君です。お休みなさい]
最初に死んだ大杉の名前が送られてきた。明日から死ぬ人間が出るかもしれない恐怖の中、浩輝は目をつむり眠る。
ゲーム参加者死亡
大杉直人(享年十七 階段から落ち転落死)