39話 恋慕
PSで遊んでいった浩輝達は携帯の時間を見る。
「そろそろレストラン行くか」
達之の発言で浩輝はPSを止め、鞄におさめて一階に下りて外に出る。
達之と一緒にレストランへ行くと、木村が来た。
「お二人共仲が良いですね」
木村は微笑みながら喋る。
「あ……ありがとう」
浩輝は顔を少し赤くなった。
隣に歩いていた達之は浩輝の左腕をトントンして、
「二人っきりで歩いてみろよ、俺先行ってるから」
そう言って達之は走ってレストランの道を行ってしまった。
「あ……達之……」
達之からの挑戦状みたいな物を残して浩輝と木村は残された。
「えっと……一緒にレストランへ行きましょうか」
木村は頬を赤くそめて浩輝に言う。
「あっあぁ、そうだな……」
二人はレストランまでの道を歩いて行く。
会話はしてない(恥ずかしくてできない)状態で二人は歩く。すると木村は、右側にいるので浩輝の右手を優しくそっと握った。
「なっ……!?」
浩輝は立ち止まってしまい戸惑う。
「温かいです……、あの時みたいに」
木村は頬が赤く微笑む。
浩輝の心臓はドキドキする、女の子が手を握ってくるという状況に。
浩輝も木村の手を優しく握りながら、ゆっくりレストランへ歩く。
何も喋らないのは悪いと思った浩輝は歩きながら喋り始めた。
「えっと、君はどの位から俺の事を好きになってくれたんだ?」
浩輝は恥ずかしい質問を口が少しつっかえながら問う。
「……安達君が怪我をしてしまった時からだと思います。あの時、あなたが怪我をして私は、絶対助けなきゃと思い必死にやりました。終わった後、優しく私の手を握ってくれて、とても嬉しかったです。看護学生で良かったと思いました」
木村は浩輝の顔を見ながら、思いを伝えた。
浩輝も恥ずかしいが、木村に思いを伝える。
「俺は……、始めてレストランで君と出会った時だ。拳銃向けられた時はビックリしたが」
浩輝は少し笑いながら喋る。
「あの時は、本当にごめんなさい」
木村は始めての時を思い出しながら苦笑いする。
「いや、怖いとは思うさ。こんな目に遭って急に話かけたからな、でも君との出会いは今も思い出す」
二人だけの世界の中、浩輝と木村はレストランへ着き入って行く。