35話 秘密
浩輝は達之の寝室に上がって床に座って待っていた。
「達之の部屋に入るのは初めてだ……、あれ?この写真は?」
キョロキョロして棚に飾られている写真を見てみる。
「家族写真……か?達之の隣で笑ってる黒髪で編みこみしてるショートカットの子は妹かな?」
写真を見ていると達之がお茶を持って上がってきた。
「達之、この写真の子妹か?」
達之はニッコリ笑いながら、
「そうだよ、優衣って言う」
お茶の入ったコップを浩輝に渡しながら喋る。
「仲が良い家族だな、両親も優しそうな顔だ」
浩輝は羨ましそうに喋る。
写真を見るのを止めて、浩輝達はPSで遊ぶ準備をする。
達之がPSを持ってるのを見て、浩輝はある事を質問した。
「達之……聞きたい事がある」
「ん?何だ?」
質問して良い事か分からないが、聞いてみなきゃ分からないので質問する。
「達之は何で左手にだけ黒い手袋をしてるんだ?」
ずっと気になっていた事だ、達之は何かを思ったかの様に一回目をつむり、再び開き浩輝に話す。
「気になってたのか、教えてやる」
達之は自分のジャージを脱いで床に置く。左腕の袖をめくって、黒い手袋を取った。
達之の左腕は義手だった。浩輝は達之の秘密を知ってしまった。
「そうだったのか……、聞いて悪かった」
浩輝は視線を逸らして謝罪する。
「いや、俺は平気だ。俺にとっちゃこの左腕は誇りでもある」
「誇り?」
達之は左腕を見ながら喋って、浩輝はどういう事だろう? と思った。
「昔、優衣がトラックに轢かれそうになったんだ。間一髪俺が助ける事ができた、けど、左腕がまき込まれて潰され、切断しなければいけない程の大怪我を負ってしまった。結果こうなった、けど優衣を守る事ができて俺は良かった」
妹思いの優しいお兄ちゃんだな、と思いながら浩輝は話を聞いていった。
「大変だったな、そんな事があったんだ……」
「まぁ大変だった、他の人にどう思われているか悩んだ時期もあった」
達之の秘密を聞いて浩輝も自分の秘密、あの傷の事を話す事にする。
「俺にも秘密がある、話していきたいけど、パンツ姿になるけど良いか?」
浩輝の若干変態な発言をしてしまい、
「あっあぁ……それは構わない」
達之は、どうした急に!? と思っているかの様に喋る。
浩輝は達之の部屋で服を脱ぎパンツ姿になった。
「この傷は……一体?」
浩輝の両足の太股と左側の腹に刃物で刺されている痕を、達之は衝撃を受けながら見ている。
「昔、恐ろしい男に襲われて刺された、あの時は本当に怖かった」
浩輝は思い出したくないが、少し思い出しながら喋った。
「お互い、トラウマ持ちか……」
「……そうだな、俺と達之似ている所があるのかもな」
達之は左腕の義手が見える状態、浩輝はパンツ姿で喋った。
話が終わり、服を着て、二人はPSで遊んでいく。