31話 敵の存在
図書館で本を読んでいた三人は、お腹が減ったのでレストランへ行く事にした。
本を本棚にしまって三人で図書館を出る。
レストランまで歩いてる途中、浩輝の携帯にメールが入った。
「ん?友里ちゃんからのメールと雅也からのメールで、夕食は家で食べる……か」
友里ちゃんは長岡を失い、雅也は野村さんを失ってしまったから、この事に苦しんでいるのか。
どうすれば元の現実世界に戻れるか、そもそも何で俺達はここに来てしまったのだろうか、この世界の真実とは何なんだろうか……。
そう色々考えながらレストランへ着き店内に入って行く。
三人は家族席に座り、食べたい物を注文して約一分で机の上に出てきた。
「いただきます」
三人は自分のペースで食べ始める。達之が図書館で読んでた本の事を喋り始めた。
「この世界は仮想空間だ、俺達がここにいる理由までは分からないが、ある事が分かった」
「ある事、ですか?」
木村は達之の話を聞いていく。
「このゲームは大きな組織が関わっているかもしれない。例えば、大学、研究施設、最悪……この国がゲームの存在を容認してるかもしれない」
国が敵なのかもしれない状況を知ってしまい、浩輝は体が重く感じてしまう。
「俺も、ある仮説を一人で立ててみたんだ」
達之が浩輝の声に反応し目をそっと合わせる。
「ケイとマイの人が死んだ時、話している事があるよな?話を聞いて、俺達は……実は現実世界では死んでいて、仮想空間で生き返らせてこのゲームに参加されてるのではないか、と思っている」
達之は黒い手袋をしてる左手を達之自身の頭を支え、
「俺達は死んだ存在……か、それだったら今の俺達の存在は何なんだ?」
達之が珍しく沈んだ表情で悩んでいる。俺は、そんな姿の達之は見たくない……。
三人はこの世界の謎の話をして、暗い状況のまま食べ終えレストランを出る。