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苦悩のローラーコースター  作者: 立蛇志九絢子
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27話 二人が知らない説を立てた男

 八時三五分、伊藤真は左手に料理の本を持ち学生服の上着を脱いで、エプロン姿で料理をしていた。

 料理が終わり本を置いて、完成した料理をのせた皿を持って机のある所まで行き机の上に置く。

「よし、後は飲み物だけだ。ここは意外と料理ができる環境である事に驚くよ、一人での料理は寂しいけど……」

 エプロンをとって、キッチンに戻していきながら喋る。

 食器棚からマグカップを取り出し、冷蔵庫から牛乳を出しマグカップに入れる。

 マグカップを机の上に置いて伊藤は椅子に座る。

「よし、いただきます」

 朝食を食べ始める、口の中に食べ物が入っていない状態になりある事を喋り始める。

「……僕らは殺し合いをしなければならない、けどあの人形は一定期間に何人死ななければいけない等は言っていない、理論上殺し合いはしなくても良い。そう話しても誰かは聞かないと思うけど……」

 伊藤は浩輝達が忘れている様な事を落ち着いた口調で一人で喋る。

 喋り終え食事を再開する。

 ピンポン、チャイムが鳴った。誰かが来た様だ。

「……誰だろう?」

 伊藤は立ち上がり玄関まで行き、靴箱の上に置いている武器トマホークを右手に持って背中に隠しながら左手でドアを開いた。

 ドアを開くと外に傘を差してない女性がいた。

「……あなたは……?」

 下を向いている髪がサイドダウンの女性、佐藤智枝美が伊藤の顔を見ながら、

「伊藤君……私に殺されて!」

 佐藤は隠し持っていた自身の武器三徳包丁を右手に持ちながら、伊藤の腹に刺してきた。

「ぐぇっ……」

 急な事で伊藤は手が出せず、右手に持ってたトマホークを落としてしまい、玄関に倒れてしまった。

 伊藤が倒れたので佐藤は、追い討ちをかけるかの様に伊藤の腹を包丁で刺し続けた。

 刺し続けていき伊藤は目をつむり動かなくなった。

 返り血がついている佐藤は静かになり、伊藤の武器であるトマホークを持ちコテージを去っていった。

 伊藤の作った料理はまだ温かかった。



 浩輝はベッドの上で寝転びながら携帯のメールを見ていた。

[伊藤真死亡確認、享年十六、死因包丁で腹を刺され出血多量死]

「……会話した事が無い奴が殺された」

 浩輝は殺し合いが再び始まってしまった事を悔やんだ。

『皆が忘れた頃にケイとマイ参上』

 本棚の近くからケイとマイが出てきた。

『今日の殺人は凄かったよ』

 マイはそうクスクス笑っている様に一枚の写真を浩輝に渡した。

 写真は腹に包丁で刺され血を流した死体が写された。首輪が外されて有島さんの様な痕は残されていなかった。

『伊藤は自分で料理をした後に殺されたぞ、料理はそのまま残ってしまい、奴だけが逝ってしまった』

 ケイは死者をあざ笑うかの様に喋る。

『伊藤は母子家庭で妹がいる、母親は遅くまで働いていた、伊藤は料理をする様になり生活を助けていった』

 ここまで聞くと家庭思いの奴だったんだなと感じる。しかしケイは理想をぶち壊すかの様に、

『伊藤は高校でいじめを受けていた、毎日忙しい母、可愛い妹、相談はできなかった。ある日、伊藤は母も妹もいない日にリビングで練炭を使用した』

 ……、ケイの発言を聞いていくと、俺達は現実では死んだ存在なのか? 死んだ俺達を仮想空間で生き返らせて殺し合いをしていく、と言う仮説を一人で心の中で立てていく。

「……今回の殺人は凄かった……とは?」

 浩輝はケイとマイに問う。

『加害者は伊藤君を何回も刺したのよ、でも加害者は教える事はできないわ』

 そう言ってケイとマイはいなくなった。

 浩輝はベッドに寝転び、

「……ケイとマイの話を聞いて仮説を立てたが正しいのか?」

 一人で寝転びながら考えていき、達之達に話すべきか分からないまま一人で悩んでいった。

死亡

伊藤真(享年十六 死因包丁で腹部を刺され出血多量死)


ゲーム参加者武器

佐藤智枝美:三徳包丁、トマホーク

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