24話 皆の家族
浩輝達は絵を塗るという作業をしていた。ぬりえの絵は色々な色に塗られている。皆のいろいろな思いを一冊のぬりえ帳に塗った。この人数でいっぺんにやるのは難しかったので、少人数でかいては交代をしてを繰り返した。
どのくらいか経って友里ちゃんは携帯の時間を見る。
「皆、そろそろレストランへ行こう」
浩輝達は友里ちゃんの発言を聞いて作業を止める。
「もうそんな時間か、行こうか」
達之が喋って自分が飲んでいたコップを手に持って一階に下りる。
キッチンに行って自分のコップを水でササッと洗って食洗機に置く。
玄関に行き外に出て、友里ちゃんは鍵をかける。
レストランへ皆で歩いて行く。皆でレストランへ着き入って行く。
店内に入る、人は浩輝達以外いなかった。家族席に座り、食べたい物を注文して約一分で机の上に出てきた。
「いただきます」
浩輝達は自分のペースで食べ始める、食べてる途中達之が喋る。
「皆、皆は現実世界ではどんな人なんだ?……あ、安達は無理しなくて良いからな」
達之が隣の席に座ってる浩輝の肩を優しく叩く。
「いや大丈夫だ、気遣ってくれてありがとう」
浩輝は達之に心配かけない様にゆっくりと微笑む。
「私は父子家庭の一人っ子、看護学校は大変ですけど、友達もいますよ」
木村はリラックスした様子で話してくれた。
「へぇー、俺も一人っ子だ」
浩輝は一人っ子仲間がいてくれて少し嬉しかった。
「私は……、母が早くに病気で亡くなってしまったので」
木村は微笑みながらそう話したが少し寂しそうだった。
「俺は、父ちゃんと母ちゃんと弟!、服見ても解る通り野球大好きだ!学校でも野球の事結構話してる!」
雅也が野球好きアピールをしながら元気に喋る。喋り終えると再び食べ始める。
「私はお父さんお母さん妹、このヘッドホンはオシャレ目的につけてる訳じゃないから」
浩輝は友里ちゃんに質問をする。
「?、何か訳ありなのか?」
「うん、私がヘッドホンつけてるのは聴覚過敏だから」
初めて聞く単語に浩輝は疑問に感じた。
「聴覚過敏?」
「私達が平気な音が彼女には苦痛に感じる事ですよ」
木村が丁寧に教えてくれた。
「そうだったのか、学校ではいじめられてなかったか?」
浩輝は野村さんの事を思い出し、友里ちゃんも黙っている可能性もあるかもしれなかったから、そう質問してみる。
「いじめは無かったよ、学校の友達皆分かってくれてたから」
友里ちゃんは笑いながら喋る、何かを隠している様な表情ではなかった。
友里ちゃんが喋り終え今度は長岡が喋り始める。
「ワタシハ、オトーサントイッショ」
長岡も父子家庭の様だった、木村が長岡に質問をしてみた。
「長岡さんは、学校に行っていますか?」
木村の意外な質問をして浩輝は少し不思議と感じた。
「ウン」
長岡は木村に頷いた、長岡は再び食べ始めたが、木村は何かを疑っている様な表情だった。
浩輝はそんな表情をしている木村の事が心配だった。
「木村……どうしたんだ?」
浩輝は小声で木村に質問してみる。
「少し……疑っている事があります」
何かを疑っているのかは浩輝には話さなかった。
長岡についての話が終え達之が喋りだした。
「俺は両親と妹がいる、学校は行ってない」
達之の発言は浩輝にとって意外だった、同じ年で大学等に行ってるイメージだったから。
「学校……行ってなかったのか」
「俺は高校卒業して、社会に出たからな」
達之はリラックスした姿勢で喋る。
達之が喋り終え浩輝が喋り始める。
「俺は、両親がいる一人っ子だ、学校は……その……もしかしたら行ってないのかもしれない」
浩輝は小声で弱く喋る。隣に座ってる達之が、
「大丈夫か?無理するなよ」
浩輝を心配してくれた、浩輝の少し暗い表情に
「あなたが現実世界でどんな人か分からなくても、あなたはあの時私達を助けてくれた優しい人です。私……あなたの事が好きです」
「……え?」
木村の発言に浩輝は驚きを隠せなかった。