15話 アニメ……じゃない。
浩輝達がゲームで遊んでいる間の事、十時五分、参加者の一人である山崎幸恵が自分の武器であるMACM十イングラム九mm短機関銃をリビングで装備し予備のマガジンも準備する。
「私がここの誰かを殺していき、アニメを作る!」
山崎はアニメーターの様だ。山崎はこの世界が仮想空間という事は知らない。
「このゲームに生き残りアニメを作る!生き残っていろんなアニメを作りたいのよ」
恐らくこのゲームの事を製作するのでは無いみたいだ。
自分が外出時に使用してる鞄に短機関銃と予備のマガジンを入れる。
「誰を殺そうかな……いっぺんに殺すのは難しいから適当に視界に入った人を殺そう!」
山崎はクスクス笑いながら靴を履き外に出る。
鍵を閉めて武器の入った鞄を背負いながら歩く。
「外は誰もいない……か、スーパーに行ってみようかな」
山崎はスーパーを歩いていく。スーパーの道には参加者はいなかった。スーパーへ着き店内に入って行く。
店内に入り鞄に入れてる短機関銃を右手で持ちながら歩く。歩いて肉フロアに行くと大下真純が買い物カゴとレミントンM八七0をかつぎながら買い物していた。今の所気付いていない様だ。
「チャンス!あの人殺そう!」
山崎は小声でターゲットを決めた。短機関銃を構えて大下を狙撃する。銃声が鳴り響いた。
「えっ何?」
大下は自身の周りを見渡す。
「チッ失敗!?ならば……」
山崎は狙撃を失敗したのでもう少し近付いて大下の右足を撃つ。
「痛い痛い!何……?」
大下が買い物カゴから手を離し倒れこむ。右足から血を流している大下の元へ山崎が短機関銃を構えながら近付く。
「あんたがやったの!?何するのよ!?」
大下が涙を少し流しながら山崎に怒鳴る。
「あんたを殺して生き残る!それだけよ……」
山崎が再び大下に撃つ、今度は左足だった。
「痛~い!止めてよ止めてよ!」
大下が泣き叫ぶ、山崎は自分が優位に立っているか知らしめる様に右腹を撃った。
「ハァハァ……」
大下は苦しみながら自分の武器である散弾銃を両手で持ち山崎に振った。
「銃の撃ち方知らないんだ」
山崎は攻撃を回避して鼻で笑う。
大下は三回も撃たれたので出血が凄かった。山崎は脅した。
「あんたは死ぬ、ゲームで死ぬ、私に殺害される事を喜びなさい、アニメーターである私に……」
山崎はそう話し止めをあえて刺さずに大下の散弾銃と予備の弾を持ちその場を去った。
出血多量で意識がもうろうとしてる大下だけが残された。
「お……父さ……ん、お……母……さん、お姉……ちゃん……。大学のみん……な……」
大下は大切な人達を思い出しながら目の前が暗くなり動かなくなった。
浩輝達は携帯のメールを見ていた。
[大下真純死亡確認、享年二二、死因銃撃で出血多量死]
「また……犠牲者が出てしまったか……」
達之は険しい表情でメールを見ていた。
『ケイとマイ参上』
浩輝のベッドの上にケイとマイがいた。
『大下さんはかなり撃たれてたよ』
マイは一枚の写真を浩輝に渡した。
写真は、両足を撃たれて血を大量に流し右腹も撃たれて血を流した死体が写された、首輪が外されて有島さんの様な痕は残されていなかった。
『大下は死ぬ前、両親姉友人を思い出しながら死んで行ったぞ』
ケイはベッドの上でその時の状況が面白かったかの様に喋る。
『大下は大学生で両親と暮らしていた、姉は一人暮らしをしていたが』
「……何が言いたいんだ?」
達之はケイとマイを睨み問う。
『大下は大学という環境に慣れなかった。友人もできず一人だった、毎日に不満があり遂には睡眠薬を大量に飲みオーバードースした』
ケイの発言に浩輝は疑問に思った事を口にする。
「オーバードース?」
『有害な作用が生じるほどの量の薬物を使用する事、過剰摂取と言ったら分かるかしら』
マイの説明に納得した浩輝。
「……今回は誰が殺したんだ?」
達之はケイとマイに問う。
『参加者の誰か、前回みたいに加害者も死んだわけでは無いから、教える事はできないわ』
そう言ってケイとマイはいなくなった。
「……質問については答えてくれなかったな……」
浩輝はため息を吐いた。
「あぁ、そうだな」
達之は黒い手袋をしている左手を頭の後ろにやった。
浩輝は携帯の時間を見る。
「まだ十時四一分か、昼はまだ早いな、潜入の続きをするか」
浩輝の意見に達之は賛成だった、浩輝達はまたミッションを再会する。
ステージを進めていき、さっきとは別のAI兵器との戦闘になった。攻撃を読んでタイミングよくかわし攻撃を続ける。
浩輝と達之が攻撃し続けAI兵器の活動は止まった。
「少し長かったかな?でもクリア!」
浩輝はガッツポーズをして喜ぶ。
「実はこのAI兵器戦苦手なんだ……」
達之の口から意外な発言が出る。
「へーそうなんだ……、俺もこいつと奴は苦手……」
浩輝もこの戦闘は苦手だと話す。
「仲間がいて良かったよ、……いや戦友……かな?」
達之は浩輝の肩を肘置きにしながら喋る。
戦友……か、達之の言葉に浩輝はとても嬉しく感じた。
その後浩輝達はミッションを進めていった。
時間が経ち、浩輝は手を止め携帯の時間を見る。
「十一時五六分、そろそろ飯食うか、と言っても冷凍チャーハンだけど良いか?」
達之に言う、
「いいぞ、下に下りようか」
浩輝はPSの電源を切り棚にしまって達之も自分のPSの電源を切ってしまう、寝室の電気を消して一階に下りる。
達之は椅子に座って、浩輝は冷凍チャーハン、食器棚から皿二枚スプーン二個を取り出し袋を開け皿に分ける。スプーンでほぐして二皿電子レンジに入れて温める。袋をゴミ箱に捨ててしばらく待つ。
二皿入れて温めたから一回ではうまく温めれなかったので一回取り出しスプーンでほぐしてからもう一度温める。温め終えレンジから出してスプーンでほぐしてから刺す、二皿持って達之の居る机の上に置く、二階へ上がり空のコップ二個持って一階の冷蔵庫のお茶を出して注ぐ。
コップを持って机の上に置いた。
「ありがとう、じゃあ食べようか」
浩輝は座って達之とチャーハンを食べる。口にチャーハンが入って無い状態で達之は喋る。
「食い終わったら図書館行かないか?」
達之の提案に、
「いいぞ」
浩輝は瞬きを一回して食事を続けた。
死亡
大下真純(享年二二 山崎に両足右腹を撃たれ出血多量死)