王都に入ったよ
さて意気揚々と家に向かった私だけど、
私は別に身ばれしてもいいんだけどナイスミドルがみばれしてしまうとナイスミドルといっしょにいるのが私だということもばれちゃう。
そうなると待ち合わせの場所が町の外か私の家になるんだけど、ナイスミドルは私の家を待ち合わせ場所にするのを好まない。
なんでもそんな頻繁に年頃の女性の家に行くことはできないという理由らしいんだけど、私としては前者はめんどくさいからこれからもできれば喫茶エリーゼでの待ち合わせにしときたいのですよ。
だから私たちは今人気がない裏通りにいる。
「ナイスミドル、商会の場所は変わってないわよね。」
「ええ、変わっていませんよ。」
私は探査魔法で周りに人がいないことを確認してからゲートの魔法を使った。
ゲートの魔法は空間と空間をつなげる魔法。
ただ座標指定とかいろいろあるから基本的に行ったことのある場所にしか行けない。
だからナイスミドルに商会の場所を一応確認しといた。
商会の位置は王都の真ん中らへん。
ただし王都に入るには確か門を通るのが決まりだったのでつなげる場所は王都の門にほど近い森の中。
少し歩かなければいけませんがそこらへんはしょうがない。
ゲートをつなげて私たちは森の中に出た。
「相変わらず反則的な魔法ですねえ。
聖女様のいる街までかかった時間は一日、それを一瞬で移動できるとは。」
「ふふん、そうでしょうそうでしょ。すごいでしょ。私の魔法は。」
私は得意になって自慢する。
この魔法があれば外に出る時間を減らせるからね。
「ええすごいです。では王都まで少し歩きましょうか。」
そんな感じで私とナイスミドルは王都まで歩いていった。
私は魔法で改造しており、ナイスミドルは武術の達人。
ただ普通に歩いていただけですが結構な速さですので王都の門まではすぐについた。
ただそこからがめんどくさいのです。
さっき言った通り王都に入るには門をくぐらなければいけないからね。
しかもその門は簡易とはいえ検問がありそこを通るために人が結構並んでいるのです。
おまけに今回ナイスミドルは商人として王都の門を出たので商人専用の門をくぐらないといけないんだよ。
商人専用の門と言えば商人だけしかくぐれないから、すぐに順番が来てさっさと通れるかと思えばそうじゃないんだよ。
むしろ商人の検問は積み荷を改めたりするために余計に時間がかかっちゃう。
「ねえ、ナイスミドル。まだなのかしら。」
「それ四回目ですよ。そんなに早く検問は終わりませんから。」
列に並んで結構な時間が経つけど、まだまだ私たちの順番はこない。
こんなことなら直接王都に入っとけばよかった。
私がイライラしているとナイスミドルが見かねたのかこう提案してくる。
「私が並んでおきますのであちらの出店を覗いてきたらいかがですか?
見える範囲でしたら私も念話が使えますので。」
出店というのは私のように並ぶのに飽きた人向けのお店。
まあそんなに大したものは売ってないけど、ここはナイスミドルの言葉に甘えて私は出店を見に行くことにしようかね。
「いらっしゃいいらっしゃい焼きモロコシおいしいよー」
「そこのお姉さん、この腕輪見てよ綺麗でしょ。今なら銀貨一枚だよ。」
いろいろな掛け声がしてとってもにぎやか。
出店は焼きトウモロコシから光物までなどいろいろなものがある。
ちょっと離れたところでは大道芸をやってる人も。
「おばちゃんこれなーに?」
「これかいこれは小麦粉とかいろんな粉を混ぜてあげたお菓子でポンチョって名前だよ。
けっこう有名なんだけど田舎から出てきたのかい?」
「んーまあそんなとこかな?」
「へーそうかい、で、買うかい?」
「んー買うよー。」
私はお金を渡してポンチョというのをかってみる。
まあ味はそこそこ?値段の割にはおいしかったって感じかな?
このおばちゃんは私でもなんか話しやすい。
だから私はおばちゃんと邪魔にならない程度に世間話をして時間をつぶした。
(私たちの順番がもうすぐ来そうなので戻ってきてください)
とナイスミドルから連絡が来たのでおばちゃんとは別れて列に戻る。
列に戻るとナイスミドルが話しかけてきた。
「検問は私たちの場合特に怪しいとこがなければ簡単に手荷物を見るだけです。
すぐに終わると思いますよ。」
そう言う話をしているとすぐに順番が来た。
「次の方、どうぞ。」
「はい」
「ってアシュトンさんでしたか。アシュトンさんは信頼されているので普段通り簡単な手荷物検査だけで いいですよ。
ところでそちらの女の子は?」
むう、この憲兵女性の扱いがなってないな。
レディに女の子なんて・・・・・って私変装してるんだった。
そりゃあ元気っ子って感じの女の子を捕まえて女性扱いしないよね。
これも私の変装が完璧きすぎるからいけないんだよ。
っていうかナイスミドルってアシュトンって名前だったのか。
「ああ、この子はわけありでね。
ただこの子については私が保証するよ。この子も手荷物検査だけでいいかな?」
「んー、アシュトンさんが言うならそれだけでも大丈夫ですね。ではこちらへ。」
その後検問はあっさりと通れた。
「ねえ、ナイスミドル。あなたって結構信頼されているのね。」
「ええ、まあ実際は私がそういうことをしても利益がないっていうこともあります し、もし私が違法なものを持ち込んでも彼らには止める気はないでしょう。
もし馬車ほどの大きさの荷物なら見るでしょうが、ポケットに入るぐらいの物な ら売りさばくということもないので町の治安自体は守られますしね。」
「ふーん、そんなものか。」
「ええそんなものですよ。」
そうして私は無事王都に入ったのであった。