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ひきこもりの外出

さて今日は外出しようと思います。

ひさしぶりの外出です。なんと一か月ぶりです。

そんな出不精な私が外出する理由としてはオークションの結果を知る為です。

私はオークションで出る珍しい素材を手に入れるために代理人を雇っています。

その人に合うためにわざわざ外出という面倒なことをするのです。


待ち合わせ場所は喫茶エリーゼという名前の喫茶店です。

私はあんまり味を楽しむための食事に興味がないのですがここのお菓子は結構おいしいと思う。

私はちょっとしたことから食事がいらない体になったので普段何も食べてないからそう感じるだけかもしれないけど。

まあ食事がいらなくなった出来事をちょっとしたと言うのはおかしいかもしれませんが。

おかげで食事の用意をする必要がなくて助かってます。


仙人は霞を食って生きるといいますが、私は魔力を食って生きてます。

というか魔力というのは空気中にも漂っていますが、そもそも生命体とは魂よりこんこんと魔力がわき出る泉のようなものです。

なので私は空気中に魔力がなくても自分で生み出した魔力だけで生きていけるのです。


まあもとは人間なので食べ物自体は食べれるっていうことですよ。


そうそうこの体になってから思わぬ副作用があったんだよ。

なんと老化が一切なくなった。

おかげで私の体はお肌がぴっちぴち。

あれぴっちぴちって死語だっけ?まあいっや


だけど不満もある。

私の体の老化がなくなったのは十五歳だから子供に見られることもあるんです。

成人は十五歳なんだけど私は成長が遅かったので少し小さいです。

少しだけですよっ!

それに胸も・・・・・・・

・・・・・あんなのただの脂肪の塊ですから。


こうなったらエリーゼでやけ食いしてやる。








私が六個目のケーキを何にしようかと悩んでいると今日のお相手がやってきた。

「おやおや、今日は一層荒れておいでで。」

私に声をかけてきたのはどこかのいいとこの家で執事でもやっていそうないい感じのナイスミドル。

「別にあれてなんかないよ、ナイスミドル。

 ちょっとやけ食いしてるだけ。」


やけ食いすることになった理由を思い出してしまい、ナイスミドルへの対応がきつくなってしまう。

「いやはや何度も言っておりますが、

 そのナイスミドルというのをおやめいただけないでしょうか?」

「いやですよーだ。」

ナイスミドルが私に文句をつけてきますが私はそれに断固拒否します。

「はあ、では座っても?」

私は鷹揚にうなづいて席に座るように促す。


店員に紅茶を注文して席に座ってからナイスミドルは私の体を見て言う。

「今日はまたいつもとは違った装いですねえ。」

そう、今私は変装をしている。

魔法で私の体自体を変形させているから、眩惑系のようにレジストされたりしない安心設計。

今の私の特徴は、ザ・元気娘っていう感じかな。


私自身の容姿ははかなげで結構目立つから。

それに私は正義君と違ってそんなに表に出ないんだけど、

それでも私は六英雄ですから外に出ると囲まれてしまう。

人気者はつらいです。


そしてこのナイスミドルはどんな格好をしていても、

私のことを見つけるので毎回違った変装をするのが結構楽しい。


大体、きれい系やかわいい系で変装していたから今回のは見破れないだろうと思っていたんだけど、

残念ながら見破られたみたい。


「ほんとにあなたは私を見破るのが得意ね。」

そう私が言ってもナイスミドルは微笑するだけ。


一度どうやって見破るのかと聞いてみたのですが、「オーラが違う」とかいうよくわからないことを言われた。

せめて気品と言ってほしいところなんですけどね。


「まあ、いいわ。

 それで今回の結果はどうだったのかしら?」

そう、そんなことはどうでもいいんだよ。

オークションの結果が大事。


「今回はすごい物が手に入りましたよ。」

すごい物?私が頼むものは普段から大物なんだけど何が手に入ったんだろう?

ナイスミドルは仕事の話になったのできちんとした顔をして言う。

「今回手に入ったのはダンジョンコアです。

 しかも現存する中ではおそらく最大の。」

「えっ、ほっ本物?」

「ええ、何人もの鑑定士に見せましたので。」

私は驚きました。


なんといってもダンジョンコアです。

ダンジョンコアはめったに市場に出てこないんです。

ダンジョンは天然の資源庫として国に管理されているから攻略するのは禁止されている。

だから今地上にあるダンジョンコアはダンジョンを管理しきれなくなって国が攻略したものや、

本当に初期の国に認知されていないようなダンジョンからとったものしかない。


しかし前者はめったにありません。

冒険者は大量にいますし、もし本当に危なくなっても最悪の場合六英雄がいるので大変なことにならないから。

まあ六英雄に頼むと国の予算が大変になるけど。


そして後者のダンジョンコアはかなり小さいものしかないのです。

小さいものも貴重ではありますが、そこまですごい物ではありません。


そこに今回ののダンジョンコアです。

偽物と疑ってもしょうがないよね。


「それでそのダンジョンコアなのですが、輸送はどうしましょう。

 さすがにあれほどのものとなると護衛はかなりのものを雇わなくてはいけなくなります。

 オークションに関しましてはお金を自由に使っていいと言われましたが、

 護衛に関してはこちらにはそこまでの権限はないので。」

確かにその通りです。

こんかいのダンジョンコアなら護衛にかなりのものを雇わないと山賊に襲われてしまうかも。

しかも今回ののダンジョンコアを競り落としたというならこのナイスミドルに渡しておいた巨額と言ってもいいお金も底をついているかもしれないし。


「あなたに渡しておいたお金の残金はどうなってる?」

「はい、その件ですが、後に話そうと思っておりましたが、

 今回の競りには少し足りずに商会から勝手に借金しておきましたがよかったでしょうか?」

「ナイスッ

 さっすがナイスミドルいい仕事しているよ。

 これを逃してたら後悔するところだったよ。」

「ありがたきお言葉。」

私はナイスミドルをほめたたえます。

本来こういうことは契約違反ですのでダメなんだけど、

そこでこの判断をしたナイスミドルに感謝です。


「じゃあ追加のお金の補充がてら私も商会にダンジョンコアを取りに行くよ。

 さすがに今回のは他人に任せようとは思わないしね。」

「ええそうですね。そうしていただけると助かります。」





そのあとはオークションで競り落としたこまごましたものの報告を受け取ります。

まあこまごましたものと言っても普通に家が建つ値段のものもありますが、

ダンジョンコアと比べるとやはり見劣りします。


「ん?今回のオークションは結構な量の珍しいものが出展されてるねえ。」

そう今回のオークションは珍しいものが普段と比べて六割増しぐらいあるのです。

そこもちゃんと調べて来たのかナイスミドルが答えてくれます。


「ええ、なんでも今回の戦争の敗戦国の国庫からいくつかお宝がオークションに流れて来たらしいです。

 今回の戦争の賠償だとかでお金を作らなければいけなかったとかなんとか。」

なるほど。正義君が介入した戦争だね。

これはもっと珍しいものが出てくるかも。


「へい、ナイスミドル。

 今月のオークションは競りに参加するのはいつもよりレア度の高いものにだけ絞 ろうか。

 さすがの私も無尽蔵にお金があるわけじゃないし。」

そう、王宮からお宝が出展されたなら普段出品されているような珍しいものは今だけは珍しくはないからね。


「ええ、心得てます。

 そのように指示してきましたよ。」

おーさっすが。


「じゃあ行こうか。」

「えーっとどこへ?」


「いやだからあなたの商会の本部へ。

 あなたがいないと競り落とした商品が受け取れないでしょ。

 魔法で跳ぶから私の家に行くわよ。」

さすがにこれにはびっくりしたのかナイスミドルの澄ました顔も崩れています。

まあ、そんなことは気にせずに私は立って家に帰っていきます。





後ろであわてて立ち上がる音がするけど気にしなーい気にしなーい



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