執事として
さて、商会が見えて来たところでいったん左折。
なんか。そりゃ、商会に行かないのは全く用がないから。
いや、だって私が用があるのって落札した商品を保管している倉庫だもの。
お金は後でナイスミドルに渡せばいいし。書類とか面倒なこともナイスミドルがどうにかしてくれる。
私はサインが必要な書類にぱぱっと書けばいいだけだし。
ナイスミドルのことを信用してるから書類もほとんど見てないし。
ほんとナイスミドル有能すぎ。こういう人がいるからついつい頼っちゃって人をダメにするんだね。
ナイスミドル、恐ろしい子。
さて、保管してる倉庫についたんだけどなんかもめてるみたい。
兵隊さんっぽい人と商会の人間っぽい人がワーワー言ってる。
なんか面白そう。
えっ、他人事ですが何か?いやだってこっちにはナイスミドルがいるんだよ。
どうにかするでしょ。
だから私は野次馬的な気分で入れるんだよ。
私が期待するような目でナイスミドルを見てると、
期待通りにナイスミドルが事の収拾を図りに行ったよ。
何が起こってるんだろうね?
・・・・・・と思ったらナイスミドル兵隊さんっぽい人の横を素通りしちゃった。
そして私がついてきてないのに気付くと手招きした。
私は慌ててナイスミドルを追う。
「ちょっと、なんで解決しないのよ。」
そう私が言うけどナイスミドルはなにをいわれてるのか疑問顔。
「解決とはさっきもめていたのですか?」
「そうよ、それっ。もめてるんだから解決するのが普通でしょ。」
どうやって解決するのか楽しみにしてたのに。
「そう言われましても今の私は商会所属というよりはあなたの部下と言った方が正確ですので。
ですから商会の揉め事に手を出すのもあまりいいことではないので。」
むう、正論だ。
ちなみに今ナイスミドルが行ったことは結構重要だ。
六英雄である私の部下ってことにしておかないと禁制品とかを仕入れることができない。
商会がそれを扱う権限はないのだ。まあ、違法に扱ってるとこはあるらしいけどそれはアンダーグラウンドか限りなくクロに近いグレーっていうところなので別物だ。
六英雄は超法的存在だ。
ナイスミドルはその超法的存在である私の代理人として動ける状態にしないといけなかったから、
さっきナイスミドルが言ったように商会所属というより私に所属という状態になってる。
「じゃあ、もういいから早く案内して。」
「・・・・・・?はい分かりました。」
ナイスミドルは私がなんで怒ってるのかわかってないみたいだ。
まったく、ナイスミドルも執事としての能力が足りないね。いや、商人だけど。