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Modern daily life  作者: 窮爽
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1.春、到来

4月10日 東京都 原宿 影蘭(えいらん)高校


「えー、今日から3年A組の担任となる浅川 徹(とおる)だ。来年の今頃にはお前達も卒業し、各自で色々な道へと歩んでいるだろう。大学に入学するのなら受験勉強、就職をするのならそれについての知識を学び、マナーを頭に叩き込んでおく事。今からでも準備はしておいた方が良いぞ」


始業式が終わり、全学年は各クラスでホームルームを行い、自己紹介や今年の意気込み、明日の予定などを、それぞれの担任が生徒たちに話していた。この学校の全校生徒は2352人。一学年に8クラスで分かられている。この高校は特に有名校と言った訳ではないが、学力、マナーも他行よりは優秀な生徒が多く通っているので評判がよく、毎年入学者数は衰えることなく増え続けている。制服は青を中心に水色のブレザー、濃い青色のズボン、スカート。茶色の革靴、学校指定の鞄と言う形になっている。部活に関しても様々なところで優秀な成績を収めているので尚更評判も上がっていく。特に魔法、武器関係の部活はかなり人気で入部希望者数がかなり多い。

今では魔法、武器などの戦闘は町では当たり前なものだ。それらの存在は古代の昔にどこから来たのかも分からない渡来人が世界を巡りまわって教え回っていたという仮説があると学校での教科書でも載っている。小学生でも今はそれを簡単に使いこなせてしまう。大きいところでは世界大会で戦闘をして競い合う競技まで作られ、大会では観客数も多い。

季節は春。桜の花びらは春風によって花吹雪となり、町を彩って春の美しさを強調している。花粉症の人間にとっては地獄であり、マスクをしている生徒が多く見られ、目薬を何度さしても目のかゆみが収まる事無く掻いてしまい、目がウサギのように真っ赤になってしまう様子もうかがえる。

3年A組でも花粉症の生徒が多いのか、白いマスクをしてクシャミや鼻水をすする音が絶えず聞こえていた。一人ずつ出席番号の前から順番に自己紹介をしていくのだが、花粉症らしき生徒はつらそうな鼻声で簡単に自己紹介をする。もう一年の時に知っているのではないかと思うのだが、8クラスもあると、知らない生徒が出てくる場合があるので、自己紹介は欠かせないものとなり、学校の恒例となっている。そして一人の少女が自分の番だと席から立ち上がった時、聞こえてくる音はそのままの状態で一斉に生徒達は少女の方に視線を向けた。

長い黒髪を後頭部の高いところで一つくくったポニーテール、整った、しかしどこか無表情な顔、スラリとしたスタイルの良い体。そんな少女の口から透き通った静かな声で言葉が吐き出された。


「花道 菫です。部活は剣術部。趣味はありません。好きな食べ物はクレープです。よろしくお願いします」


単純な何語を並べて菫は静かに席に着いた。その瞬間、生徒達は近くの生徒とヒソヒソと話しをし始めた。蔭口などではなく、菫についての評価だった。

彼女は学校では有名な人物で、成績優秀、剣術についても優秀で戦闘をして勝てる者など居ない、というほどだ。知らない人間の方が珍しいくらいで、男女共から好かれ、憧れ、の存在、それが花道 菫という人間だった。

そして後ろの爽やかな少年が立ち上がると菫と同じように生徒達は少年に視線を向けた。

金色の地毛の髪の毛、優しげな笑みを浮かべる顔、細身といったどこかのアイドルのような少年は淡々と言葉を並べ始める。


「伯田 勇騎(ゆうき)です。特技とか部活も何もないですが、家事については得意なので何かあれば質問してください。後はそうだなぁ…………うん。一年間よろしくお願いします」


悩んだ後に自己紹介を諦めたのか、一つ礼をして席に着いた。再び生徒達は話しをし始めた。菫と同じように評価についてだ。勇騎は特に目立つような性格でもなく、これといった能力もない。戦闘も全くせず、傍観する側で常に存在している人間だが、一つだけ目立つ理由はあった。

それは花道 菫の恋人という件

中学校3年の時に勇騎から告白したらしいが、それを菫は了承し今まで付き合ってきている仲だ。

2人共マイペースな落ち着いた性格なので喧嘩するところも誰も見た事がなく、本当に仲の良いカップルなのだと周りの人間の頭にはそう記録されている事が殆どだ。

女子からも当然もてており、男子からは人柄の良さから自然と勇騎へと集まって行く。そんな彼と菫が恋人同士なのは何と凄い事なのだろうと周りは考えている。

とうの本人達はそんな事も気にする事無く、2人で自分達の時間を過ごしているのだが。

そんな騒ぎも一瞬で静まり返り、自己紹介は終わりを告げて浅川が翌日の予定を告げてホームルームは終了し下校時間となった。

勇騎と菫はいつも通りに一緒に帰宅時を歩き、帰っている。更に手を絡ませて、つないでいるので恋人同士なのだと更に印象づいてしまう。


そうして今年の春も新学期の始まりを穏やかに告げていた

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