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次の日
資料の量を見てから滞在期間を決めようとウィルフォードと話し合っていたので、早速、準備されている客間へと足を運んだ。
三領地分だから、相当多いのでは?と期待していたら、テーブルに積まれている分だけだとメイドが言う。
確かに、ネイトピア王国にある資料よりは、遥かに多いのだが、壁一面の資料を想像していた私は、拍子抜けしてしまったのだ。
この量であれば、1週間で読み終わりそうである。
でも、それだけ獣人は珍しいという事なのだろう。
今のネイトピア王国に、二人も獣人がいるという事は、相当に稀な事なのかもしれない。
『俺はこちらから調べて行くよ』とウィルフォードが言うので、私は反対側から読み始める事にした。
そして、今日1日で調べた書物は、とても内容が濃い物だった。
しかも、ティアラシアの地図まで存在していたのだ。
全然未開の地なんかじゃなかったのである。
そして、自分が持って来た地図に書き足したのは、言うまでもないだろう。
必要ないかもしれないが、帰ったらアルマに渡そうと思ったのだ。
そうして、晩餐となり、祖父に帰国する日を伝えると『そんなに早く帰るのか?それでは、ミシェルに会えないぞ?』と残念そうに言う。
ミシェルは祖母なのだが、旅行で国を出ているそうなのだ。
だが、私達も学園を公務として休んで来ている為、祖母とは、また今度と言う事で落ち着いたのであった。
そうして、調べて行く事、数日。
婚姻に関わる記述が見つかったのである。
そこには、獣人と人間が結婚してからの半生が書かれていた。
その中でも、興味をそそられたのは、獣人と人の子は、外見は人の姿だが、獣人の能力を引き継ぐと記載があったのだ。
そして、血が薄まれば薄まる程、能力値は下がるのだが、稀に隔世遺伝で能力の高い子が産まれる事もあるという。
その書物によると、運動神経が良い人は、獣人の血を引いている可能性がある。とまで書かれていたのだ。
それを見た時。
・・・あれ?お兄様って運動神経良くない?
て言うか、良過ぎない?
って、思ってしまったのだ。
もし、この書物が正しければ、私も獣人の血を引いている可能性があるのだろうか。
そう思うと、一気に親近感が湧いたのである。
そして本題だが、こうしてフェイマス王子とディアナの婚姻が可能となる記述を探し出す事が出来たのだった。
【そして数日後】
入国して以来、ミカさんとは会ってないのだが、今日は帰国する日だ。
祖父に尋ねたら『ミカエルは後日帰すそうだ』と言うので、私達は馬車に乗り込んだのだ。
と、その時。
「みんな~!待って!
あたしを置いて行かないで!」
と、抜け出して来たのか、必死に走ってやって来るミカさん。
だが、その後ろにピッタリと叔祖父様が追いかけている。
そして、ミカさんの首根っこを掴んだのだ。
その直後、無情にも馬車は発車してしまったのである・・・。
後ろからミカさんの雄叫びが聞こえる。
あまりにも聞くに耐えず、御者に止めてもらうようにお願いをし、叔祖父様にも許しを得て、ミカさんを馬車へと乗せる事に成功したのだった。
馬車に乗ったミカさんは『ありがとう!もう少しで、あたしがあたしでは、なくなっちゃうところだったわ!』
と両手を握られ、お礼を言われた。
・・・確かに。
今目の前にいる、普通のミカさんより、フリフリの方が似合う気がする。
と、思う私は、洗脳されているのかもしれない。
そして、呪縛から解き放たれたミカさんは、早速、金髪のカツラを取り出し、角刈りのブルーバイオレッド色の頭に、スポッと被ったのであった。
それからの帰り道も色々と問題は起きたのだが、なんだかんだ楽しく、無事に家路へと着く事が出来たのである。




