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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
後日談

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「フェアリーちゃん!

会えて嬉しいわー!

一緒に楽しい旅にしましょうね!」


今日はケーキ屋の制服ではなく、赤いワンピースを着ていた。

隣のウィルフォードを見ると、またしても、目が半目になっている。


そして、ミカさんが私の隣に目を向けたのだ。


「貴方・・・ウィルフォード君なの!?やっだ、王子様みたいな髪色じゃない」

と興奮気味に騒いでいるが、正真正銘の王子である。


そして、後ろにいる母からは、ブリザードが放たれたのであった。


それが私の背中にビシバシと当たり、凍え死にそうである。


「ミカエル?なぁに?その格好?」


全ての単語にハテナが入っていた。


・・・こ、怖い。


「あら、マリア姉さん。

見て頂戴!

先日、新調したのよ!っうふ」


やめてー!ミカさん!ちょっとは空気を読んで!


そして私は母に『向こうでちゃんとした服を着させるわ』と言い、ミカさんを馬車へと押し込んだのであった。


馬車の中では私、ウィルフォードが並んで座り、前にミカさんが座る。


もう既に、3日は馬車に揺られたのでは?と言う疲労感だ。

だが、今日から片道10日の旅が始まる。


学園には公務と言う事でお休みを貰ってあるのだ。


そして先日、ミカさんが親戚だと伝えた時のウィルフォードの顔が、今だに忘れられない。


静かに『そうか』と一言だけ呟いたのだ。

それに加えて、今回の旅に同行する事を伝えた時には無我(むが)境地(きょうち)へと旅立ってしまったのであった。


コチラへと戻って来るまでに、相当の時間を要したので、今思うと、悪い事をしてしまったのだと実感したのである。


そうして馬車は迷いなく走り続ける。

その中では、ミカさんが私達に、やたらと手作りお菓子を勧めてくるのだ。


そして悪い事に、どれも美味しくて沢山食べてしまう。


もしかしたら、この10日で、ぽっちゃりになってしまうのでは?と言う懸念までもが生まれてしまった。


そして、そうこうしているうちに、今日泊まる宿へ着いたのである。

私はミカさんに、まともな服はないのかを聞いてみたのだ。


すると『まともな服なら、いっぱいあるじゃない!』と言い、トランクを開けると、フリフリスカートが沢山、出るわ出るわ。


しかも、仕舞いには『見て見て!タイトスカートも似合うと思うのよね』と言い出し、ソレを渡して来た時には、破いてやりたいと思ってしまった事は、仕方のない事だと思う。


「ミカさん、真面目に話してくれますか?」


眉を寄せて聞く私に、ミカさんも同じ表情で返して来たのだ。


「なぁに?フェアリーちゃん。あたしはいつでも真面目じゃない」


・・・・・・。


そうだった。

ミカさんはいつでも本気だ。

でなければ、母をあそこまで怒らせる事はしない。


『ふぅっ』と息を吐き、ラピスライト合同国に入ったら、既製品のスーツを買いましょう。という事で話を纏めたのである。


その後、私はウィルフォードの部屋へと向かった。

まだ1日目だが、かなり疲れているのでは?と思ったのだ。

ドアをノックし『ウィル?入っていい?』と聞くと『フェアリエル、来てくれたんだな』と笑顔で出迎えてくれたのである。


その様子を見ると、あんまり疲れていなさそうだったのだ。

私の気のせいだったのかもしれない。


私は、部屋にあるソファに座る事を勧められて、腰掛けると、ウィルフォードも当然の如く隣に腰掛けた。


そうなのだ、婚約してからと言うもの、距離が近い。


今も何かを話している訳ではないが、私の手を取り『フェアリエルの手は小さいんだな』と言い、まじまじと見ている。


・・・恥ずかしいから、やめてもらいたい。


私は『今日は疲れてない?』と話題を振ったのだ。

すると、私の手を見ていたウィルフォードが顔を上げたので目が合う。


「先程までは疲れていたのだが、今は大丈夫だ。フェアリエルに触れると疲れがなくなるのかな」

とそう言って微笑んだのである。


そんな甘い空気に慣れていない私は、当然ドギマギする。

そして、ウィルフォードが『フェアリエル、抱きしめてもいいか?』と聞いて来たのだ。


え?聞くの?

逆に恥ずかしすぎる。


私は、その言葉に(抱きしめて下さい)とは言えないので、コクリと頷いたのだった。


すると、優しくハグしてくれる。

さっきまでは緊張で、心臓が壊れるのでは?と思っていたのだが、ウィルフォードの体温や匂いにリラックスして来ている自分がいたのだ。


好きな人の匂いって、こんなに安心するものなのね。

と考えていたら、いつの間にか寝ていたのである。


その後は、ウィルフォードにお姫様抱っこをされて、自分の部屋へと帰ったそうだ。


何故その事を知っているかと言うと、丁度、ご飯を食べる為に歩いていたミカさんが、偶然目撃したそうで、次の日の朝、私に興奮気味で教えてくれたのである。


疲れていたのは、ウィルフォードではなく、私だったのだと痛感したのであった。


そして、ウィルフォードには、ちゃんとお礼を伝えたのだが、何故だか目を合わせてくれなかったのだ。


そうして、ミカさんとの旅も慣れて来た頃、毎日手作りお菓子を配っているので聞いてみた。


「ミカさんは、いっぱいお菓子を作って来たんですね」


すると『いやねぇ、毎朝、宿の厨房を借りてるのよ』と言うではないか。


これにはビックリした。

どんだけ早く起きているんだろう。


「大変じゃないですか?」


「好きでやっている事だから、全く苦じゃないのよ。

だから二人とも、いっぱい食べてね!」


と、なんでもない事のように言ったのだった。


それから、ミカさんの恋愛観についても話になったのだ。

そうしたら、衝撃の真相が明らかになったのである。


なんと、ミカさんには彼女がいたのだ!


それを聞いたウィルフォードは、一瞬動きが止まったので、本当に驚いたのだろう。


しかも、私とウィルフォードが初めてFancyFancyに行った時にいた店員さんなんだって。


普通に可愛かったのを覚えている。


すると、愛おしそうに目を細めて、ミカさんが口を開いたのだ。


「こんなあたしでも、いいって言ってくれるのよ。

ありのままでいいなんて言ってくれる人は、そうそういないじゃない?

だからね、あたしも、彼女が彼女のままで、いられるような存在になれたらって思っているの」


そう言って『ふふっ』と笑うミカさんの顔には愛が溢れていた。


なんだか、私達まで幸せな気持ちになってしまったのである。


それと一つ、気になった事があったので、ついでに聞いてみたのだ。


「ミカさんは、ウィルの事がタイプって言ってましたよね?」


するとミカさんは目を見開き、(おど)けたように話し始めた。


「ウィルフォード君の事はもちろん、タイプよ!

けど、それは人としてね。

あたしが愛しているのは、エレーヌだけよ」


ミカさんの恋人がエレーヌさんというのだろう。

それを聞いたウィルフォードから、安堵のため息が聞こえて来たのは、言うまでも無い。


そうして、明日にはラピスライト合同国へと入る予定である。


私は車窓から入る日差しに、目を細めたのであった。

新作始めました。


https://ncode.syosetu.com/n8214lv/

【灰色王子のバラ色観察日記】です。

男装ヒロインが頑張ります。

そして、序盤はヒーローが間違った方向に暴走するので、コメディ要素、強めになってます。


ぜひ、こちらにも足を運んでいただけると嬉しいです。

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