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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
後日談

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3

そうしてゴリラの獣人、ディアナと会う日が決まった。


私はウィルフォードと共に客室へと向かう。

部屋へ入ると、第二王子こと、フェイマス王子とディアナが寄り添うように座っていたのだ。


二人は私達に気付き、立ち上がって出迎えてくれる。


見ると、ディアナは確かに体格がいい。

フェイマス王子よりも頭2個分は大きいし、肩幅も二人分だった。


だが、そんな事はまったく問題ないのだろう。

二人を見れば、想い合っているのが分かる。


すると、フェイマス王子が声をかけてくれたのだ。


「フェアリエル嬢、久しぶりだな。

ウィルフォードと上手くいっているようで安心したよ。

それと、私の愛する人を紹介しよう。

ディアナ・バレンシアだ」


そう言って、愛おしそうにディアナを見つめている。

ディアナもそれに応えるように目を合わせ、そして、私達に目を向けて話し始めたのだった。


「お初にお目にかかります。

私の事は是非、ディアナとお呼び下さい」


そう言って、(つや)やかに笑ったのだ。


獣人は顔面偏差値が高いのだろうか?

アルマもだけど、ディアナもとても美しい。


ゴリラの()の字も見当たらない。

想像を遥かに超えた瞬間だった。


それからは(なご)やかに会話は進み、ディアナが『聞きたい事があると聞いております』と話を振ってくれたのだ。


私は先日書き出した内容を思い出し、スラスラと聞いて行く事にしたのである。


まずは、ティアラシアでの婚姻は寺院の許可が必要ないのか。

すると、楽園では寺院は存在しないとの事だった。

教会で式を挙げるだけで、婚姻したと認められるという。

私としては、寺院よりも教会の方が馴染みがあるので、なんだか不思議な感じがしたのだった。


そして次、獣人と人の婚姻はよくある事なのか。

それには、無いと答えた。

そもそも、楽園へと辿り着く人が(ほとん)どいないらしい。

人にとっては、それほどまでに過酷な道のりのようだ。

けれど、国を出た獣人が人と婚姻した可能性は捨てきれないので、調べたいのだと言う。


そして次、ティアラシアの場所はどの辺りなのか。

これはアルマの為に聞いているのだ。

(いず)れ、帰りたいと思うかもしれない。


私は地図を広げてディアナに見せた。

すると、地図を飛び出して南を指している。

まさか、載っていないとは思ってもみなかった。


そんな未開の地があるなんて・・・。


前世の常識では考えられなかったので、これは盲点だった。


そして次は、今の会話で気になった事だ。


寺院は無いと言ったが、昔に寺院の使者がティアラシアへと辿り着いているはずだ。

なのに、何故無いのか。


これにも丁寧に答えてくれた。

遥か昔は寺院があった事。

だが、それ以降、使者が訪れる事はなく、独自の信仰が生まれ、今は教会となった事を教えてくれたのだった。


なるほど。

今までは、雲を掴むような話ばかりだったが、やっと、楽園に対して現実味が湧いて来た。


私は『色々と教えて頂き、ありがとうございます』とお礼を言ったのだった。


すると話が終わるまで待っていたのだろう。

フェイマス王子が、口を開いたのだ。


「それでだな、二人に頼みたい事があるんだ。

ラピスライト合同国へ調べに行ってもらいたいんだが、お願い出来るか?」


それを聞いた時に(何故、私達が?)と思ったのだが、ウィルフォードが了承したので、何かあると思い、私は静かに聞いていたのだった。


そして客室を出てから、ローズガーデンへと向かい、話の経緯を聞く事にする。


「フェアリエル、勝手に返事をしてしまって申し訳ない」


ウィルフォードが開口1番に謝って来たのだ。

それに対し私は『大丈夫だから、理由を教えてくれる?』と返したのである。


すると、王侯貴族が他国へ滞在する時には、幾つもの申請を出さなくてはならず、許可が下りるのが、早くても一ヶ月以上はかかると言う。

私は母の実家へ行く時に、申請なんてした事が無かったので、驚いたのだ。


私も、母に聞いたのだが、合同国は他の国とは違い、3領地に分かれ、各領主が5年スパンで王を務めるのだ。

何故、こんな事になったかと言うと、祖父の父が、兄弟三人が均等に分けられるようにと、国を三分割にしてしまったのが初まりらしい。

国名もラピスライト合同国へと変わってしまったのだが、母はモンテリアール王家の血を引く、正統な王女なのだという。


そして話を戻すが、申請の許可はラピスライト合同国だと、3領地に出さなくてはならず、色々と面倒なのだとウィルフォードが言うのだ。


そこで、母の娘である私は、そんな申請をしなくても、すぐに入国が出来るとの事で、今回、お願いされたらしい。

そして、ウィルフォードは婚約者として付いて行けば、申請不要で入国出来るそうなのだ。


私は、ラピスライト合同国しか行った事が無かったので、他国へ行くのには、色々と大変なんだなぁとしみじみ思ったのである。


でも、そうと決まれば早速、母に伝えなければならない。

ウィルフォードは、いつでも動けるとの事なので、母に聞く事にしたのだ。


そして帰宅後に経緯を話したら、とんでも無い事に巻き込まれてしまったのである。



「エル、事情は分かったわ。

では、お父様に手紙を出すから、少し時間を頂戴」


そう母から言われ、私は『よろしくお願いします』と答えたのだ。

だがほんの一瞬、母の動きが止まり、私を見つめて再度口を開いたのだった。


「ねぇ、エル?

ラピスライトへ行くのなら、ミカエルも一緒に連れて行ってくれる?

あの子、絶対、帰っていないと思うのよ」


母の顔が怖い。

笑顔なのに怖いのだ。


確か、母とミカさんが再会したのは一ヶ月前。

あのミカさんの事だ。

絶対に帰っていないだろう・・・。


そして母が、とんでもない事を言い出したのである。


「それとお願いがあるの、エルにミカエルのお目付け役を頼みたいのよ」


その瞬間、息切れ、動悸(どうき)がした。


私が!?

ウソ?

無理でしょ?


そんな単語しか浮かばない。


私は母に(無理よ!だって、ミカさん、全く話しを聞かないでしょう?)と言いたかった。

でも、言える雰囲気では無い。


約束を守らないミカさんに怒っているのが()()()()と伝わってくる。


こういうのを静かな怒りって言うのね・・・。


と思った私は『出来る限り頑張ります』と答えるのが精一杯だったのである。

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