2
今日はウィルフォードへ会いに王宮へと来ている。
あれからの私達は、度々ローズガーデンでお茶をするようになった。
そして先日、正式に婚約証書を交わした正真正銘の婚約者となったのだ。
それから、結婚式の日取りも決まり、学園卒業後の一年後となったのである。
今から待ち遠しい。
毎日、ウキウキと過ごしているのだ。
そして、目の前のウィルフォードがお茶を一口飲むと、私を見つめて口を開いたのであった。
「実は先日、兄が留学先から帰ってきたんだ。
そして、結婚したい人がいると紹介されたんだが・・・」
ウィルフォードは難しい顔をして、その先を話そうとしない。
だから私は『それで、どうしたの?』と促したのだ。
すると、ウィルフォードが静かに口を開いたのである。
「・・・○○○の獣人なんだ」
声が小さ過ぎて聞こえず『ウィル、ごめんなさい。もう一度お願い出来る?』と再度、促した。
すると私の目を見て、覚悟を決めた顔をし、話してくれたのだ。
「ゴリラの獣人だったんだ。
身体的特徴は人とあまり変わらないんだが、体躯が良く、力も強い。
昨日の食事中には、スプーンを10本も曲げてしまったんだ」
それを聞き、前世のスプーン曲げマジックが思い起こされた。
そんな事を考えているとは露程にも思っていないウィルフォードは話し続ける。
「だが、獣人と婚礼を挙げた記録が、うちの国にはない。
寺院にも確認をしたんだが、王族の婚姻だと、前例が無ければ認める事は難しいと言われたんだ。
だから、どうすれば良いのかを模索しているところなんだよ」
「えっと、事実婚はダメなの?」
それを聞いたウィルフォードは眉を顰めて話してくれた。
「俺達も、そう話したんだが、兄が、結婚出来なければ、駆け落ちするとまで言い出したんだ」
まさか、そんな事になっていたとは…。
「でも、兄の気持ちも分かるんだ。
愛する人と結婚出来ないのは、俺だって耐えられないからな」
そう言って、優しく私の手を握ってくれる。
・・・でも、あれ?
待って?
私はその時、気付いたのだ。
「ウィル?駆け落ちしても事実婚よね?」
そう告げると、ウィルフォードも気付いていたようで、既に、兄に伝えたのだと言う。
そうしたら、ティアラシアで婚姻すると言い出したらしい。
あの、楽園で?
・・・本当に?
なんか、色々とキャパオーバーになって来た。
聞きたい事があり過ぎる。
ウィルフォードも、私の頭がパンクしている事に気付いたのだろう。
『今日はこの辺にしようか』と言い、後日、兄のまだ正式ではないが、婚約者に会わせてくれると言ってくれたのだった。
そうして私は自宅へ帰ると、聞きたい事を忘れない為に、箇条書きにする事にしたのである。




