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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
後日談

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1

母と慈善事業を終えた帰り道。


「お母様、私がいつもお土産で買って帰るケーキ屋が、この辺りにあるんです」


そう伝えると、母も何度も口にしているので話に乗って来てくれたのだ。


「まぁ!この辺りなのね。

折角だし、寄って行きましょうか?」


馬車を近くで止めてもらい、お店の扉を開けた。

すると、ピンクのカウベルが可愛らしく音を鳴らしている。


中を見ると、いつもの調子でミカさんがお出迎えをしてくれたのだ。


そして声を掛けようとすると、ミカさんの様子がおかしい。

()()()()していて、どう見ても挙動不審だった。


「あら、やっだ!

・・・どうして?

なんで、ここに?」


少女の様に両手を口に当てて()()()()と震えている。


すると、母が静かに口を開いたのだった。


「ミカエル?

・・・・・・・あなた、何をしているの?」


・・・!?

え?母の知り合い!?


・・・そして、ミカさんの名はミカエルだと、私は初めて知ったのだった。


「うふっ。マリア姉様、お久しぶりね。今日はどうしたのかしら?」


ミカさんの挙動不審は鳴りを(ひそ)めたのか、何事もなかったかのように話し始めたのだ。


「・・・・()()()()()()()()?」

母の片眉が上がり、話し続ける。


「貴方が失踪(しっそう)してからと言うもの、叔父様から何度も手紙が届いているのよ。

みんな心配しているのに、あなた、一体、此処で、何を、しているの?」


一言一言区切って話す母が怖い。


冷気がこちらまで伝わって来る。

私は、巻き込まれたくはないので、空気と化す事にしたのだ。


「やーだ、見たら分かるでしょう?

ケーキ屋よ!」


やっぱり・・・。

ミカさんは火に油を遠慮なく注いだだけだった。


「ミカエル、いい加減にしなさい!

これから叔父様に手紙を書くわ。

この()()()()のスカートも、着替えなさい!」


母はミカさんのエプロンの紐を解こうと強行突破に出ている。


「あーん、いやーん!フェアリーちゃーん、助けてー!!」


とその時、母が手を止めて()()()とこちらを見たのだ。


「・・・・エル?

・・・あなた、ミカエルを知っていたの?」


ぎゃー!!お(はち)がこちらに回って来た!


「・・・・。

えっと、ケーキ屋の店員さんって事だけよ」


(ひど)いわ!!フェアリーちゃん!違うでしょ?

あたし達は友達じゃない!!」


えー!!?

いつそうなった!?


口をパクパクしていたら、母が『・・・まぁ、いいわ』と言い、ミカさんに向き直ったのだ。


「いいわね?叔父様に迎えに来てもらうわよ」


「っいや!

姉様、それだけは止めてちょうだい!!

・・・お願いよぉ」


ミカさんは母の腰にしがみ付き(すが)っている。

・・・・絵面(えづら)が酷すぎて直視できない。


「・・・・では、一度国へ帰りなさい。 

(みな)、心配しているわ。

事情を説明して、ちゃんと(すじ)を通して来るのよ!」


「・・・・。

分かったわ。

・・・はぁ。

いつも姉様には見つかっちゃう運命なのね。

あーん!

あたしも、とんだ星の下に生まれちゃったわ」


ミカさんは嘆いているが、それは自業自得だ。

失踪すれば、みんな心配するに決まっている。


私はミカさんを横目に、冷気が薄れてきた母に聞いてみたのだ。


「お母様、ミカさんとは、その、どんな関係なんですか?」


「・・・・・そう言えば、話していなかったわね。

私の従弟(いとこ)よ」


なんと、親戚!?


「フェアリーちゃんは、マリア姉様の娘だったの?

やだー!!あたし達、親戚じゃない!」

 

いつの間にか復活したミカさんが、キャピキャピと言って来る。


だが、ミカさんには悪いが、知り合いと言う距離感だから良かったのであって、親戚となると話は変わって来るのだ。


「フェアリーちゃんの親戚なら、あたしにも羽が生えて来るかしら?」

と、またメルヘンの世界へとトリップしてしまった。


そしてその後、母とミカさんは、近々必ず国へ帰る事。

ミカさんの父には手紙を書かない事で合意したのだった。


気分が浮上したミカさんは、私達に大量のケーキをお土産で持たせてくれたのだ。

母もケーキが美味しい事は知っているので、顔には出さないが、目がキラキラしていたのである。


「じゃあマリア姉様、フェアリーちゃん。

また来てねー!」

と元気に手を振り送り出してくれたのだった。


そうして馬車に揺られてすぐに、母が口を開いた。


「ねぇ、エル?

・・・・貴女、いつからフェアリーになったの?」


母はしっかりと聞いていたのだ。


「・・・・。

ミカさんが私の名前を最後まで聞いてくれなかったのよ」


『自分は妖精です!』なんて、そんな烏滸(おこ)がましい事は決してしていません。

と母の目を見て伝えたのだ。


「・・・・そう。

ミカエルは、自分の好きな事だと、最後まで話を聞かないのよね。

・・・でも、エルとミカエルは馬が合いそうよね?」


そう言って、フフっと微笑む母に、私は何て言って良いか分からなかった。


ミカさんの事は好きだが、同類と言われると抵抗感がある。


私は何も言わずに、微笑みを返すだけに留めたのであった。


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