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サイドテーブルの引き出しからペーパーナイフを取り出し、手紙を開封する。
えーっと、内容は?
【倒れたと聞いた。大丈夫か?】
・・・うん。
想像通りに短い。
早速、筆を取り書き始める。
【大丈夫です。】
これで良し。
私は、にんまりしながら手紙を見返し封をしたのだった。
早速、作戦決行だ!
ものの10分足らずでベルを鳴らすと、すぐに兄が来てくれた。
「随分早かったけど、ちゃんと書けたのかい?」
兄は不思議そうに聞いて来るが、私は渾身の出来栄えに自身満々で答えたのだ。
「はい。お兄様、十分に書けましたわ!」
ふふんと鼻を鳴らしたその時、母と父がメイド達とやって来た。
「エル、軽食ができたの。
せっかくだから、みんなでお茶にしましょうか?」
母に言われ、メイド達が用意をしてくれる。
その後は、みんなで楽しい時間を過ごし、家族って大切だなって改めて実感できた一日となったのである。
そして余談だが
翌日、お医者様が診てくれた。
倒れたのが病気であったのなら大変なので、詳しく調べたいと言われたのだ。
なので、嘘を付かず滑っただけだと伝えた。
もちろん、両親には伝えないでねって、あれほど言ったのに・・・。
そのまた翌日・・・・
アルカイックスマイルを浮かべた母がやって来て言ったのだ。
「先生から聞いたわ。派手に転んだのですって?
淑女教育が足りていないのかしら」と。
・・・確かに、注意力散漫だった事は否めない。
だが、妃教育も受けているのだから、これ以上はやりたくないと言ったのだが、聞いてはもらえず・・・。
何故か、やる気を出してしまった母に『私が手ずから教えるわ!どこに出しても恥ずかしくない、一流の淑女になりましょうね!一緒に頑張りましょう!』と言われてしまったのだ。
もう逃げられそうにない。
私はベッドの上でカクンと、項垂れたのであった。
母が言うのだから、きっと、そう遠くない未来に、私は一流の淑女になれているのだろう。
もちろん、私の為に言っているのは分かる。
・・・だが、心が付いていかないのだ。
トホホ・・・。




