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【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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「お兄様が帰って来たの?」


寝支度を終えた私は、サーシャから報告を受けたのだ。


「はい。たった今、お戻りになられました。アルマさんもご一緒です」


「そうなのね。これから話すような事は言ってた?」


「いいえ。もう遅いので明日になるそうです。

ですので、お嬢様も、お休みになられて大丈夫ですよ」


「分かったわ。報告ありがとう」


アルマが戻ったと言う事は、お祖父様は、そう言う事だったのだろう。


アルマは大丈夫かしら・・・。

心配になるが、兄が付き添っているのだから、きっと、大丈夫だろう。


それに、今日見つかった日記もだけど、相手が寺院だと、どうすれば良いのかしら・・・。


この国で生きて行くのならば、人として認めてもらわなくてはならない。

アルマには、自分を卑下(ひげ)する事なく自由に生きて欲しい。


もし、ティアラシアを探すのなら、一度、母の出身国へ行くのもありよね。


そんな事を考えながら、眠りについたのであった。



【次の日】


すでに朝食を終えて談話室へと向かっている。


兄は昨日遅かった為、自室で朝食を取った様だ。


そして談話室へ着くと、アルマがいたのだ。

けれど、服装が使用人の物を着ている。


「おはようアルマ。その服はどうしたの?」


「おはようございます。フェアリエルお嬢様。

ボク・・・。

私はアディエル様の従者兼護衛となるべく修行中なのです。どうぞ改めまして、よろしくお願いします」


そう(かしこま)って言うアルマに『そう、なの?少しビックリしちゃって。こちらこそよろしくね』と答えたのだった。


そうして、話しをしていたら、両親と兄がやって来たのである。


兄は両親に話している様で、アルマの姿を見ても何の反応もない。


そしてみんなが席につき、父が口を開いた。


「では、時間もないので早速話そう。

改めて、アディ、アルマお帰り。

アディから聞いたが、アルマ、お祖父様の件は、残念だった」


「・・・いいえ。私が無知だったのです」


「・・・そうか。

アディの従者になりたいと聞いたが?」


「はい、私はアディエル様に救われました。一生涯お仕えしたいと考えています」


何の迷いもなく言い放つアルマを見て、父が真摯に向き合い、話し始めたのである。


「アルマ、君はまだ若い。その内、考えが変わる事もある。だからそう決め急ぐな。

だが、従者になりたいと言う気持ちは尊重するよ。もし他に、君がやりたい事を見つけたら、変えても良いんだ」


父がそう伝えると、アルマは頷き『ありがとうございます』と述べたが、その瞳には従者になる事への迷いは、全く感じられなかったのであった。


「それと、獣人達の楽園へは帰りたいか?」


「いいえ。今は考えられません。

それよりも、一人前の従者になりたいです」


アルマの気持ちを尊重すると言っていた父だ。

そう言われて、頷き、再度口を開く。


「アルマの考えは分かった。

だが、この国で生きる事は、決して生易(なまやさ)しいものではない。

君を知らない人達から、偏見の目で見られる事もあるだろう。

その覚悟は、あるか?」


父はアルマを真剣な目で見つめている。

従者となれば、人目を避ける事は出来ない。


ジッと、アルマの答えを待っていた。


すると『はい。承知の上です』と意思の強い目で応えたのであった。


「そうか。

私達も、君が生き易いように、最大限の努力をしよう。何かあれば必ず報告しなさい」


「はい。ありがとうございます」


そう言って、アルマはサミュエルに連れられ、退出して行ったのだった。


私達、家族だけとなった談話室で、父が兄に伝えたのだ。


「アディ。昨日エルと殿下が、獣人の事が書いてある書物を見つけたんだ」


「本当ですか!?」


「ああ。200年以上前、この国は獣人を認めなかった。

さて、今回はどうなるかな?」


父は顎に手を当てながら、思案顔をしている。

そんな父を見た兄が問いかけた。


「父様が掛け合ってくれるのですか?」


「そうしたいところだが、資料が陛下の手元にある。今日は領主としての仕事がある為、王宮へは行けないが、明日は登城するので、陛下へ伺ってみるよ」


「はい。よろしくお願いします。

彼には、幸せになってもらいたい」


兄の切実な思いが伝わってくる。


「そうだな。どう見ても善良な少年だ。

私も、心からそう思うよ。

後は、私に任せなさい」


その後、両親は仕事の為、退出して行ったのだった。


私が兄を、ジッと見ていると『エル?学園は大丈夫かい?』と聞かれたので、思った事を伝えたのだ。


「大丈夫よ。それより、お兄様は、なんだか寂しそうね?」


思っても見ない事を聞かれたかの様な反応で『うん?そうかい?』と、笑顔で返して来る兄。


だから私は、少し掘り下げて『ええ。何かあったの?』と、問いかけたのだ。


「うーん、そうだね。

アルマとの旅が、思いのほか、楽しかったんだよ。弟の様に思ってしまったんだ。

だから、変わるアルマを嬉しくもあり、また寂しくも思ってしまった。

・・・それにしても、よく気が付いたね?」


それはそうよ。だって、たった2人の兄妹だもの。

だから、私は、兄を励ます事にしたのだ。


「お兄様のアルマを見る視線がね、寂しそうだったの。

それに、アルマの態度が変わっても、アルマは、アルマだわ。だから大丈夫よ」


すると、兄は、笑みが溢れた様に返してくれたのだ。


「ははっ。そうだね。ありがとうエル。君が妹で、本当に良かったよ」


「私もよ。お兄様がお兄様で嬉しいわ。

今日はゆっくり休んでね。

では、学園へ行って参ります」


「ああ。そうするよ。気を付けて行っておいで」


笑顔で送り出してくれた兄に、私は手を振り、学園へと向かったのであった。


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