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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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5

叱られてシュンとする父に母が言い聞かせる。


「サーシャから目覚めたと容態を聞いたではありませんか。心配なのは分かりますが、少し落ち着いてくださいね」


そして、母がベッドへ腰かけて優しく話しかけてくれたのだ。


「頭を打ったと聞いたわ。体調はどう?」


私は心配をかけてしまって申し訳ないと思い『ごめんなさい。もう大丈夫です』と答えたのだった。


それを聞いた二人は、ほっとした様で、母は私の頭を撫でてくれた。


それに対し父は、本当に大丈夫なのか?と母の隣に来て私の様子をじっと見ている。


心から心配してくれる両親に、気を失ったフリをした事がとても後ろめたい。


そして、頭を撫でていた母がコブに気付き、口を開いたのだ。


「そうなのね。でもコブが出来ているから、今日はベッドの上で過ごすのよ。

それに明日も先生が来てくださるから、再度、診てもらいましょうね。

食事は取れそう?」


「はい。少しなら食べられそうです」


母は消化の良い軽い物を用意すると言い、父を残し部屋を出て行ったのだった。


父は私をじっと見ていたが、普通に話す私を見て大丈夫だと思ったのだろう。

いつもの甘々な父に戻っていた。


「エル、私も今日はずっと家にいるからな!だから気分が良かったら一緒に――――」


()()()()


と再度、扉が悲鳴を上げたのだ。


「エルは無事なの!?」


え!?お兄さま?

・・・さすが親子、登場の仕方が一緒だわ。


焦って入って来たのは、陽気な兄アディエル。一見、女性と見間違うほどの眉目秀麗(びもくしゅうれい)だ。

本人は気にしている様なので、家族は皆、触れない事にしている。


そんな兄は男らしい見た目になりたいが為に、毎日、剣の稽古を欠かさない。年は私の3歳上の11歳だ。


因みに、去年のジュニア剣術大会では優勝を果たしている。

色彩は金髪に母と同じダークブルーの瞳だ。


そんな兄を見て、父は()()()()と言いたそうな顔で話し始めたのであった。


「アディ、妹でもレディの部屋に入るのにノック無しでは駄目じゃないか」


・・・それ、さっきお母さまに言われていたやつよね?


「倒れたって、連絡来たから、心配になって、剣の稽古どころじゃなくなったよ。エル、大丈夫かい?」


兄は余程急いで帰って来たのだろう。息が少し上がっていた。


私は、兄にも『大丈夫よ』と話したのだが、心配そうな目を向けられベッドサイドから手を握ってくれたのだ。


「とっても心配したんだよ。でも、話した感じ元気そうでよかった。」


「お兄さま、心配かけてごめんね」


兄はコクリと頷き優しく頭を撫でてくれる。


父は、そんな兄妹の様子を愛おしいものを見るかの様に、目を細めて眺めていたのだった。


すると、兄が思いついた様に、口を開いたのである。


「そうだ!体調が大丈夫なら、寝てばかりじゃつまらないだろう?一緒にカードゲームでもするかい?」


兄はいい事を(ひらめ)いたと言わんばかりの笑顔で誘ってくれる。


「ふふっ、とても楽しそうなお誘いをありがとう、お兄さま。でも、ウィルフォード様からのお手紙が届いているので、それを書き終えた後、一緒にカードゲームをしてくれる?」


私がそう言うと、兄は笑顔で了承してくれたのだった。


「もちろんだよ!じゃあ、終わったら呼んでくれるかい?」

「分かったわ。じゃあ、またあとでね!」


そうして、兄は手を振り自室へと戻って行った。


パタン・・・・・。


扉が閉まり父へと目を向けるが、そこには気まずそうにする父がいたのだ。


・・・どうしたのかしら?

私、何か変な事を言った?


考えるが、何も思い浮かばないので普通に話し掛ける事にしたのだ。


「お父さま、ごめんなさい。お話の途中でしたよね?」


「ああ、いや。

・・・アディが言った事と同じなんだが、気分が良ければ、一緒にカードゲームでもしないかと話そうとしたんだ。

・・・先に言われてしまったが・・・」


なるほど。だから気まずそうだったのね。


私は嬉しさを前面に押し出して父に伝える。


「とっても嬉しいです。じゃあ、みんなでカードゲームをしましょう!後でお母さまも誘って来てくれませんか?」


「すぐに誘って来よう!少し待っていてくれ」

と言い出し、直ぐに部屋を出て行こうとする父。

    

え!?

お兄さまとの話、聞いてなかったの!?


「お父さま、待って!

ウィルフォード様からのお手紙を書かなくてはいけないので、こちらからまた声を掛けますね」



そう伝えると、父はすっかり忘れていた事に、きまりが悪いと思ったのか、頭を()いたのだった。

    

「・・・そうだったな。

じゃあ準備をしておくので、終わったらベルを鳴らしてくれ」


「はい。準備をお願いします」

     

そう言い残し父は退出して行ったのだ。

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