表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/84

アディエル視点

僕はアルマと一緒に馬車へと乗り込んだ。


アルマは先程、メイドから(もら)った本を持っている。


「何か、分からない事があったかい?」


アルマは本を見つめながら、思い返すように話し始めたのだった。


「うーんと。

みんなね、誰かを(かば)って怪我や病気をしたり、食べられたり、寒くて死んでしまったりするんだ。

・・・とても悲しかったよ。

でも、それには理由があって、みんな、誰かを守る為にした事なんだ。

それは分かったんだけど、一つだけ分からない事があるんだよ。

・・・一緒に見てくれる?」


そう言って、アルマは一冊の本を開き、僕に見せてくれた。


その本の絵は、お婆さんがベッドで寝ている絵だったのだ。

そして、不思議な顔で、再度、問いかけて来たのだった。


「お婆さんはね、何もないのに起きないんだ。

ここに書いてある【眠る様に死んでいた】ってなんなの?

寝ているんじゃないの?」


そう、アルマは死について知っていた。

ただ、寿命で死ぬ事を知らなかったのだ。


「アルマ。これはね、お婆さんは歳を取って死んだのだよ。彼女は天寿(てんじゅ)(まっと)うしたんだ」


「怪我や病気じゃないのに、死ぬの?」


いつもの、(つぶ)らな瞳で聞いて来る。

僕は、アルマの瞳を見つめて、伝わる様にと一言一言に思いを乗せて話したのだ。


「ああ。僕も、君も、生きている者全てに、死は訪れるんだ」


「みんな、死ぬの?

・・・怖い・・・」


アルマの怯えを含んだ声を聞き、落ち着かせ様と優しく答える。


「そうだね。

知らない事は、誰だって怖いよね。

もちろん、僕だって怖いさ。

でもね、その怖さを軽くする方法があるんだよ」


「なに?」


「精一杯生きる事さ。

神の教えを守り、恥じない生き方をすれば、いずれ天国へ行ける。

そう思えば、少しは気持ちが軽くならないかい?」


「ボクには、まだ難しくて分からないよ」


確かに、11歳の彼には死など、考えた事もないだろう。

それに、僕だって本当の意味では、全く分かっていないのかもしれない。


でも僕は一つだけ、彼に伝えたんだ。


「そうか。でもこの先、アルマに辛い事が起こったとしても、諦めずに精一杯生きて欲しい。

きっと、神様は見ていてくださるよ」


「うん。分かった!諦めないって事だよね?ボク頑張るよ」


「ああ。僕もアルマに負けない様に、頑張らなくてはね」


そうして、馬を替える為、休憩を挟む事になった。


夕食は時間が()しいので、馬車の中で食べる事にしたのだ。

持ち帰りできる、ホットサンドとフルーツジュースを買ってから、また馬車へと乗り込む。


アルマはホットサンドが好きなのか3つも食べた。

具材はハム・タマゴ・チーズが入っている。

1つでも結構なボリュームだ。


アルマの食欲旺盛な所を()()たりにすると、なんだか、嬉しくなってしまった。


その後、4時間程走ってから宿へと入る。


公爵家が出資している宿が、自領には多々ある為、いつ泊まっても良い様にと、どの宿にも一室は確保されているのだ。

一室にはメインルームにベッドルームが3部屋付いている。


僕、アルマ、御者と従者でベッドルームを使う事となった。


そして今回は護衛を連れて来ていない。

僕もだが、アルマも自分の身は守れるので、必要ないと判断したんだ。

それよりも、機動力(きどうりょく)を優先させたかったのである。


そうして、明日の経路を確認して寝支度をし、早々に就寝したのであった。



そして次の日の朝は、日の出と共に出発した。


前日に宿へと頼んであった朝食を(もら)い、馬車の中で、従者が(みな)に配る。


バンズにローストチキンとトマト、レタスが挟んである。それにフライドポテトだ。


こう言うメニューは、家では出て来ないので、外出する時の楽しみだったりするのである。


昨日アルマの食欲を見て、余分に頼んでおいたのが良かった。

朝でも、2個をペロリと食べてしまったのだ。


獣人は、並外れた身体能力だから、消費するのが早いのではないか、と思ったのである。


「アルマ、足りるかい?」


アルマは牛乳を飲んでいたのを()めて、答えてくれた。


「うん。大丈夫だよ。

アディの家でも思ったんだけど、みんな、こんなに美味しいご飯を食べているんだね!」


本当にそう思っているのだろう、キラキラとした瞳で話してくれる。


「美味しかったのなら、よかったよ。アルマはどんな食事をしていたんだい?」


「いつも、じいちゃんが作ってくれるんだ。

家の後ろに畑があるから、収穫できそうな野菜で、メニューが決まるんだよ!

もちろん、じいちゃんが作ってくれたご飯も美味しいんだけど、あんまり肉とかは、出てこないんだ」


やはり子供だと野菜より肉が好きなのだろう。

僕は『アルマは肉が好きなのかな?』と問いかけた。


「うん。肉も魚も好きだよ。魚は近くの川で捕れたから、良く食べていたんだ。

賞金があれば、じいちゃんにも、ちゃんとした肉を、食べさせてあげられたんだけど、仕方がないよね・・・。

だからね、帰りにウサギがいれば、狩って行こうと思っているんだ。

見つかればいいな!」


そうしてアルマは、ウサギの仕留め方や、食べ方などを一生懸命、僕に教えてくれたのだ。

そんなアルマを見ていたら、勝手に口から出てしまっていたのである。


「・・・アルマ。

もっと近くになったら、ちゃんとした肉を準備しようね。お爺さんに食べてもらおう」


「わぁ!ありがとうアディ!じいちゃんきっと喜ぶよ。嬉しいなぁ」


そう喜ぶアルマを見て、思ってしまった・・・。


生きていてほしい。


そう願わずには、いられなかったのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ