表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/83

35

私は、両親に話を聞く為に談話室へと向かった。


「お父様お母様、ただいま戻りました。

お兄様から話があると聞いています」


「おかえり。アルマの話なんだが、私よりもベルの方が詳しいだろう。

ベル、お願いできるか?」


母は一度頷き、静かに口を開いた。


「ええ。分かりました。

アルマはね、獣人と言う種族なのよ。(わたくし)も、嫁ぐ前に見た本に書いてあった事だから、うろ覚えなのだけれど、話すわね。


獣人は人より身体能力、生命力が高い種族なの。

成長速度も早いと書いてあったわ。

エルはアルマを何歳だと思った?」


「そうですね、私と同じくらいでしょうか?」


「アルマ自身も、詳しくは分からない様なのだけれど、11歳だと言っていたわ」


「!?11歳ですか?」


成人にしては小柄だな、と思ってはいたが、11とは思いもしなかった。


「ええ。そして獣人の中でも、いくつか種類がある様なの。

本にはウサギとクマの獣人の姿が描いてあったわ。

・・・アルマは、猫に、なるのかしら?」


「私も猫だと思いました」


絶対に猫だと確信があったので、コクリと頷いたのだ。


「そうよね。種類によって、特殊(とくしゅ)な能力を発揮する、とも書いてあったわ。

今話したことが獣人の特徴よ」


「そうなのですね。あの、アルマは、一体何処から来たのでしょうか?」


すると、母は難しい顔をしながら『【遥か彼方に獣人達の楽園が存在する】とあったわ』と一言告げて来た。


「楽園とは・・・。

要するに、本の著者も、定かではないという事ですか?」


「そうね。(わたくし)も、エルと同じ見解よ。

そして、(わたくし)が覚えている事は、今、説明した事で以上となるわ」


私は『ありがとうございます』と母に伝えた。そして、母の話を最後まで口を挟まずに聞いていた父が、口を開いたのだ。


「ベル、ありがとう。

では、これから先の話をするよ。獣人を知らなかったのは私とアディ。

もちろん、エルも知らないだろう?」


前世では、架空の創造物として知っているが、今世では聞いた事もない。


「はい。お父様」


「でも、ベルは知っている。

・・・これは何かあるのかと思ってね。

陛下に獣人の話をしようと思っているんだ。

アルマが望めば、帰す事も出来るかもしれないだろう?」


確かに。

その方がアルマにとっても良いのかもしれない・・・。

そして私は、父に提案をしたのだ。


「そうですわね。あと、お父様?

ウィルフォード様に話しても良いでしょうか?

王宮にある本を(ほとん)完読(かんどく)しているので、何か知っているのでは、と思うのです」


父は、しばし思案した後、頷きながら返して来たのだった。


「殿下なら大丈夫だろう。だが、余り広めたくはない。

殿下には、その事をご理解いただく様に、と伝えなさい。

それと、今アディが一緒に、アルマの家へと向かっている。

万が一、何かあれば、うちで引き受ける事も考えているんだ。

もちろん、アルマの意思を尊重するがね。

エルも、その心づもりでいて欲しい」


「分かりました。私も何か分かりましたら報告しますね。」


「ああ。よろしく頼むよ」


その後、談話室を出て自室へと戻る。

明日、ウィルフォードに聞きたいが、学園で話す内容ではない。


後日、時間を作ってもらえる様に、話をしてみましょう。


それと、メルティアとアグネスにも話さなくては。

今日は色々と協力してくれたのだ。何も話さない訳にはいかないし、二人ともアルマの姿を見ている。

獣人の事は話せないが、それ以外の事を伝えよう。


そう決めたフェアリエルであった。



【次の日】


学園へ行き、ウィルフォードに時間を作ってほしいと伝えた。

そうしたら明日、学園が終わった後に一緒に王宮へ行く事となったのだ。


そして、お昼時間になり二人に話す。

念のため、周りに人がいない事を確認をしたのだ。


「二人とも、昨日はありがとう。二人がいてくれて助かったわ」


そう切り出した私に、メルティアが返して来たのだ。


「エルのせいではないでしょう?当たり前の事をしたまでよ。

お礼はいらないわ。それより、その後、大丈夫だったの?」


「今のところは大丈夫よ。お兄様が一緒に彼の家へと行っているの。

帰ってくるまでは、まだ分からないわ。何か分かれば二人にも話すわね。

・・・あと、この事は他言無用でお願いしたいの」


「ええ。もちろんよ。エルのお父様も、おっしゃっていたものね。約束は守るわ」

とアグネスが言い、2人とも頷いてくれたのだった。


そう、昨日の騒動の時、父が会場に居合わせた人に話しをしたのである。


そして、私は昨日の事を思い出したのだ・・・


※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※ ーーー※ーーー※


「この事は他言無用でお願いしたい。今、見たものは全て、夢だと思ってくれ。

これは(みな)の為に言っているのだ。

もしかしたら、この話をする事によって、騒動に巻き込まれる可能性があるかもしれない。

・・・まぁ、それでも、本人が良いと言うのであれば、それは致し方ない事ではある。


だが一つ、彼は私達に危害を加えた訳ではない。


何の罪もない者を否定し、拒絶する事は、神の教えにある慈悲に反する行為ではないだろうか。


それに私も、初めての出来事で戸惑っている。

だが、そんな私よりも彼の方が戸惑い、不安であろう。

だから私は、彼の為、また、神の教えの(もと)に最善を尽くすつもりだ。

(みな)、この件を、私に任せてはくれないだろうか・・・」


※ーーー※ーーー※ーーー※ーーー※ ーーー※ーーー※


と、回想に浸っていたが、会話に意識を戻す。


「ありがとう。お兄様は15日前後で戻ってくる予定なの。

それ以降に、一度、うちへ来てもらえないかしら?その時に話せれば、と思うわ」


そうして二人は了承してくれたのだった。


【そして、また次の日】


学園終了後、一緒に王宮へと向かう。

到着し、ウィルフォードがエスコートをしてくれた。

近くにハーパーさんがいたので、軽く会釈をする。


図書室に着き早速、先日の件をウィルフォードに話したのだ。


「ああ。実は昨日、父から聞いている。公爵から報告があったそうだ。

父は、心当たりがないと言っていたが、俺は以前、ここで獣人と書かれた本を見た記憶がある。

だが、当時の知りたい内容とは違っていた為に、パラパラと(めく)っただけで、詳しくは読んでいないんだ。

その事を父に話したら、その本を探す様に、と言われたんだよ」


父の仕事の速さに驚くが、それよりも、獣人の本を見た事があると言う、ウィルフォードの言葉にやる気が満ちた。

ここに、必ずあると言う確信が持てたからだ。


「そうなのね。では、私も一緒に手伝ってもいいかしら?」


「ありがとう。では、これから一緒に探そうか」


そうしてウィルフォードと手分けをして探す。


図書室と書庫の本があるが、今日は図書室の本を調べる事にした。

膨大な本の数で気が遠くなりそうだが、一生懸命に読み進める。


だが、獣人の単語すら見当たらない。

時間だけが、(むな)しく過ぎていく。


そして、あっという間に時間となり、その日は探すのを終了したのであった。


「明日から、学園が終わった後に、毎日来てもいいかしら?」


私が問いかけると、ウィルフォードは本を片付けながら、答えてくれたのだ。


「大丈夫だ。だが、俺も毎日探す時間が取れる訳ではないので、書庫へと入室出来る様に、父へ伝えておく。

もし、難しい場合は、俺がいる時にお願いしたい」


そうよね・・・。


書庫には基本、王族しか立ち入れない。

私は、ウィルフォードの婚約者で、少なからず王家の血を引いている為、結婚前でも、特別にウィルフォードがいる時だけ入室を許されているのだ。


「分かったわ。許可が出るまでは、図書室の本を調べてみるわね。

調べ終わった所には、本の背表紙に、分かり(やす)くメモを挟んでおくわ」


「そうだな、分かった。

・・・もう遅くなってしまったな。馬車まで一緒に行こうか」


兄が帰って来るまで、予定では(あと)13日。


それまでに探し出せたら、いいけれど・・・。

・・・頑張るしかないわね。


そうして馬車へと乗り込むのであった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ