↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
43/91

34

二試合しかしていない為、小休憩ののち、すぐに準決勝戦が始まった。


兄が左側で、さっきの小さい人が右側の競技場だ。


兄を見たいが、小さい人も気になる。

それに、兄の為に敵情視察(てきじょうしさつ)もしたい。


どうしようかしら?

うーん・・・。


(考える事5秒)


いや、お兄様に敵情視察なんて必要ないわね。

と思い直したのだった。


そして、少ししてから、兄が笑顔で入場して来る。


今回の相手は剣を2本持っていた。

二刀流の様だ。



小さい人の相手は、どんな人かしら?


目を向けると、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)の熊の様な人だった。

武器は両手剣。


・・・相性が悪そうね。


小さい人は素早いから、攻撃が当たらないんじゃないかしら?


そんな事を考えていると。


『始め!』合図が聞こえて、兄に目を向ける。


そこには、防戦一方(ぼうせんいっぽう)の兄がいた。


メルティアは心配そうに見ている。


()()()()に打ち込まれているのだが、きっと、見て受けて学んでいるのだろう。


以前、兄が言っていたのだ。


自分が知らない剣技や戦法は、一度受けてみて、良い所は真似をするんだよ。

そうすれば、自分の剣技がより良いものになるだろう?と。


それから、少し経ち、兄が動く。


()()()()に打ち込んでくる2本の剣を逆に振り抜き、弾き飛ばした。

それに相手が(ひる)む。

そのまま、反撃の余地を与えずに、相手の足を()ぎ払い、後ろに転ばせて喉元に剣先を突き付けたのだ。


そうして、その後は相手のギブアップの声が聞こえたのである。


やっぱり、お兄様は強いわね。


・・・そうだわ!

小さい人はどうかしら?


見てみると、(すで)に試合は終わっていた。


私は気になり『右側の試合は、どちらが勝ったのか分かる?』とアグネスとメルティアに聞いてみた。

すると、アグネスが答えてくれたのだ。


「私、見ていたわ。小柄な方が、一瞬で相手をのしてしまったのよ。すごかったわ!」


そんなに早く終わっていたのか・・・。

であれば、兄が打たれている間に見ていればよかった。


そう少し、心残りに思うフェアリエルだった。


その後、決勝戦に向けてのお昼休憩がある。

開始は二時間後だ。


会場には、飲食可能なブースがある。

会場で食べても良いし、会場外でもOKだ。

そして、私たちは外で食べる事となった。

私達3人と両親、兄の6名で近くの飲食店へと入る。


兄は本番前なので、フルーツとチキンサラダにパンと、軽い物を頼んでいた。

私達も各自メニューを見て頼む。


「これから決勝だが、調子はどうだ?」と父。


「そうだね。まだまだ大丈夫だよ。

だが、次の相手は少し厄介だね」


兄はパンを千切りながら、難しい顔で答えている。

そんな兄を見て、母が口を開いた。


「あら、アディがそう言うなんて、珍しいわね。余程の実力者なのかしら?」


私は、この会話に少し気になる事があったので、兄に聞いてみたのだ。


「お兄様は、その方の剣技を、いつ見たの?」


すると、何でもない事の様に兄が答えてくれた。


「うん?

・・・ああ。

さっきの試合でさ。大男を一撃で倒しただろう?

あの身体の何処に、そんなパワーがあるのかと思ってね。

通常、あの素早さで、あれ程の力が出るのは、考えられないんだよ」


・・・兄は、あんなに打たれていても、周りを見る余裕があったと言う事なのだ。


「まぁでも、強い相手と戦えるなんて光栄だよね!気負わずに楽しんでくるよ。

二人も、今日は付き合ってくれてありがとう」


そう言い、兄はメルティアとアグネスを交互に見た。


「いいえ、私が来たくて来たのです。

アディエル様が優勝する事を信じています」


「ありがとう、メルティア譲。そこまで言われると、優勝しない訳にはいかないね!

メルティア譲の応援は、毎回僕に届いているよ。次もよろしくね」


すると、メルティアは()()()()と震えて、ギブアップ寸前だ。


あの大勢の中で、自分の声が聞こえている、と言われたのだ。

特別に想ってくれているのでは?と思ってしまっても仕方あるまい。


「私も良い体験をさせていただき、ありがとうございます。こんなに面白いとは思いませんでした。

知らなければ、人生の半分を損する所でしたわ」


人生の半分とは・・・。

アグネスは余程、良かったのだろう。

もしかしたら、お兄様に(まさ)るとも劣らない、戦い好きかもしれない。


そうして、楽しい食事を終え、会場へと戻ったのである。


辺りを見回すと、後ろの女性陣が、また見慣れない方になっていた。


後ろの席は、よくコロコロと観戦する人が変わるわね。

と、そう思っていたら、始まりの合図が聞こえて来たのだった。


良く見ると、競技場の入り口に、兄と小さい人が立っている。

兄が何かを話しかけている様だ。


そうして、両者入場して来て位置に着く。


『始め!』審判の声が響き渡った。


両者、間合いを取る。

相手の出方を探っている様だ。


・・・そして、先に動いたのは兄だった。


肩を狙い振り抜いた剣を、相手は軽々と飛び越えたのだ。


なに!?あのジャンプ力は!

・・・人が成せる技なの?


メルティアもアグネスも驚いた様で、目がまん丸だった。


そして、兄の口が動いている。

またしても、何かを話しかけているのだろう・・・。


そこから、兄の猛攻(もうこう)が始まった。

速過ぎて剣筋(けんすじ)が追えない。


そして一筋の剣が(かす)ったのか、帽子が破れて現れたのは、グレー色の動物の耳だった。


・・・あの形は猫かしら?


帽子の中に猫を隠しているとは考えにくい。

と、言う事は・・・獣人?


え?この世界、獣人がいるの?今まで、見た事も聞いた事もないわ。


・・・尻尾はあるのかしら?


と見ていたら、周りが騒ぎ出したのだ。


【頭から動物の耳が生えているぞ】

【きっと化け物よ!】


そうして、観客が口々に言い始め、収拾がつかなくなったのである。


その為、試合は一時、休止となったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。