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昨日はなんだかギクシャクしてしまった。
変に思われただろうか・・・。
でも、自分でもどうする事も出来ないくらい、緊張して言葉が出て来ないのだ。
こんな事は初めてだわ。
意識する前は、何を話していたのかしら?
そして今は、学園でのお昼休憩中だ。
ウィルフォードとは朝の挨拶以外、話をしていない。
・・・もしかして、このままだと嫌われる?
私は不安になり、お弁当を広げていたメルティアに聞いてみた。
「メルはさ、お兄様と話す時って、緊張する?」
「・・・。もちろん、するわよ。どうして?」
私は、ウィルフォードと居ると、緊張する事、何を話していいのかが、分からなくなる事などを相談したのだ。
「そうなのね。
私はね、緊張するのは意識をしているのだから、仕方がない事だと思う様にしたの。
もちろん、何度も落ち着こうとしてもダメだったわ。
だから、この気持ち事、受け入れようと思うのよ。
そうすれば、今よりもっと、先に進める気がするの。
だからエル、一緒に頑張りましょうね!」
そう言って、笑うメルティアはとても綺麗だった。
私も、この気持ち事、受け止められる様に頑張ろうと思ったのである。
私とメルティアが話していると、アグネスが羨ましそうな顔で口を開いた。
「私にも、好きな方ができないかしら?」
メルティアがアグネスの好みのタイプの男性を聞いたのだ。
「そうね・・・。
普通より、個性的な人が好きかもしれないわね」
「そうなのね。アグネスのそう言う話を聞くのは初めてだから、すごく新鮮よね」
こうして、恋の話に花を咲かせ、そろそろ移動教室の時間だからと早めに切り上げて向かう事になったのだ。
庭園から一度教室へ戻る。
その途中・・・。
私は、何も持っていない事に気付いたのだ。
「あ!庭園に忘れ物をしてしまったわ!
二人とも、先に行ってもらえる?」
そう言い残し、私は庭園へと戻って来た。
あったわ。
・・・よかった。
早く行かないと遅刻しちゃう。
弁当箱を抱えて急ぎ教室へと戻る。
教室に着き。移動教室の準備をして出ようとしたら。
「あれー?妖精ちゃん1人?一緒に行こうよ!」
またか・・・。
「ネフタリアさんはまだ、いらっしゃったのですね」
「・・・なんか、言葉に棘を感じるんだけど。
僕達は友達でしょ?」
「・・・そうですね。
では、一緒に行きましょうか」
そうして、一緒に移動教室へと行く事になってしまったのだった。
それから二人で歩いていると、聞き慣れた声に呼び止められたのである。
「こんにちは!フェアリエルさん。移動教室ですか?」
「ごきげんよう、ミレットさん。ええ、そうなのよ。どうしたの?」
ミレットはラウルを凝視しながら口を開いた。
「・・・あの、隣にいる方は、どなたですか?」
「こちらは、アリステリアス王国からいらした、ネフタリアさんです」
私が紹介すると、ラウルが挨拶を始めたのだ。
「初めまして。
ラウル・ネフタリアです。よろしくね」
「あっ、私はミレット・バンサムです。
よろしくお願いします。
・・・あの、すごく素敵ですね」
ミレットはうっとりとラウルを見ている。
確かに、外見だけはいいので、分からなくもない。
「ははっ、ありがとう。嬉しいよ」
「その、お付き合いしている方は、いらっしゃるのですか?」
その質問にラウルは私をチラッと見て答えた。
「いないけど、気になる人はいるよ」
「では、私とお付き合いをしてくれませんか?」
私も、ラウルも一瞬耳を疑った。
初めて心が一つになった瞬間かもしれない。
「ん?え?・・・話聞いてた?」
「はい、聞いています。気になるは、好きではないですよね?
なので、私の事を好きになってはくれませんか?」
行けー!ミレットさん!
いいわよ!そのまま、ゴリゴリに押し切ってしまいなさい!
私はミレットを全力で応援したのだ。
「いやいや、今会ったばかりでしょ?君の事、何も知らないし、僕の事も知らないじゃないか。
いったい、何を言っているの?」
「では、知り合う機会をください。お友達からでお願いします。
・・・あ!ごめんなさい。もうすぐ授業ですよね?失礼しました。
フェアリエルさん、ラウルさん、では、また今度」
そう言って、ペコリとお辞儀をして笑顔で去って行ったのだった。
ミレットさんが、すごかったわ!
何と言うアグレッシブさ。
この人、タジタジだったじゃない。
・・・ふふっ。
いつも為て遣られている私は、いい気味と思い、ほくそ笑んでしまう。
と、そう思っていた私に、ラウルが言い放ったのだ。
「妖精ちゃん。あの子、頭、おかしいんじゃない?」
その発言に『お前が言うんじゃない!』と思わず出そうになってしまった。
「さあ、早く行かないと間に合わないわ。
行きましょう」
私は、その話題には触れず、移動教室へと向かうのであった。




