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前世を思い出す前の私は、健気にもウィルフォード様と向き合おうとしていたのは事実だ。
でも、それも今日までで終わり!
私の事が気に入らない様だから、あちらから婚約を解消してもらえばいい。
公爵家からは流石に言えないもんね。
さぁ、ここからよ!のんびりと自由な生活を手に入れてみせるわ!
決意を新たにしたところで、まずは作戦を考えなければならない。
既に良く思われていないのだが、今のままだと決定打に欠けるので、何か一押し欲しい。
だからと言って、前世で流行っていた悪役令嬢の様に振舞って、断罪される要因を作るのは得策ではない。
・・・って、考えても出て来ないじゃないっ!
と、諦めかけたその時、閃いた!
そうよ!いい見本が目の前にいたわ。ウィルフォード様の真似をすればいいのよ。
ウィルフォード様には悪いが、あんな態度を取られたら普通に嫌だ。
唯でさえ、好感度が低い私がすれば、顔を合わせるのも嫌になるだろう。
名付けて【目には目を歯には歯を】作戦で攻めるわよ!
ウィルフォード様、覚悟する事ね!
婚約やめます。って言わせてみせるわ!!
早々と考えが纏まった私は、ベッドの上で高笑いをしたのであった。
だが、この時のフェアリエルは知らない。
婚約者が仮婚約者である事を・・・。
そして、仮婚約契約書には、学園を卒業するまでに、お互が結婚を望まない場合には、この婚約は無効とする。
の一文が入っていた事を。
そう、フェアリエルは何もする必要はなく『結婚したくない』の一言で解消できたのだ。
これから行うであろう作戦が、ウィルフォードの寝た子を起こす事になるとは、夢にも思わなかったのである。
そうして考えも纏まり、早速手紙を開封しようとサイドテーブルに手を掛けた、その時。
バンっ!
「エルっ!大丈夫か!?」
ノックもなく扉を蹴破るんじゃないかと言う勢いで入ってくる父。
「レディの部屋にノック無しで入るなんて、父親でも認められませんよ?」と叱る母。
家族想いの父。ベンジャミンは騎士の様な体躯に王家の血筋に多い金髪だ。
瞳は碧眼で、この国の王と従兄弟同士である。
家族が大好き過ぎて、ちょっと暑苦しいし、暴走する事もあるのだが、いざという時、とても頼りになる自慢の父だ。
因みに、父の手綱はしっかりと母に握られているので、暴走しても事なきを得ている。
そして、思慮深い母。マリアベルは目鼻立ちがクッキリとした華やかな美女だ。
ブルーバイオレッドの髪と、どこかミステリアスな雰囲気のあるダークブルーの瞳を持っている。
いつも落ち着いていて、淑女の鏡なのだが、怒るとすごく怖い。
そんな母に、父は逆らえない様だ。
・・・惚れた弱みなんだろう。
そう、お気付きかもしれないが、私は両親と全然似ていない。
だが、ちゃんと2人の実子なのだ。
隔世遺伝で、祖母クリスティアーナと色彩も顔立ちもソックリなのだと言う。
そして、若かりし頃の祖母は、その珍しい瞳と美貌ゆえ傾国の美女と言われていた。
祖父母は私が産まれる少し前に事故で儚くなっている為、絵姿でしか見た事はないが、祖母は妖精の様に可憐な姿だったのであった。




