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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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27

今日から2年生になります!


いつもより早くに家を出て、クラス表を見に来たのだ。


緊張するわ・・・。

ABCどれかしら?


みんなも一緒なら嬉しい。

そう思いながらAクラスから順番に目で追って行く。


すると・・・


・・・・あった!

2年もまたBクラスだわ。


みんなのクラスも確認すると、2人とウィルフォードも同じクラスだったのだ。


私はルンルン気分でクラスへ行くと、既にウィルフォードが席に座っていた。


「ごきげんよう。ウィルフォード様。

一緒のクラスになれて嬉しいですわ。よろしくお願い致します」


「おはようフェアリエル。私も嬉しいよ。

これからは、クラスメイトとしてもよろしく頼む」


笑顔で挨拶をしてから自分の席に着いた。


その後はアグネス、メルティアがやって来て、喜びを分かち合ったのだった。


それから(しばら)くして、担任の先生が男子生徒を連れてやって来たのだ。


転校生だろうか?

そこには、黒髪金眼の美青年が立っている。


あれ?

あの人、どこかで?


・・・っって!!?


いつかのヤバい奴じゃない!?

なんでここに・・・。


見つかったら色々な意味でヤバい。

・・・・隠れなきゃ!


私は、前傾(ぜんけい)姿勢で前の人の陰に隠れたのだ。

すると、先生からの紹介が始まったのである。


「今日から皆さんと一緒に学ぶ事になります。

ラウル・ネフタリアさんです。

では、一言お願いします」


彼は、ネクタイを片手で整え、手を後ろで組み直してから話し始めた。


「初めまして。アリステリアス王国から留学で来ました。

ラウル・ネフタリアです。

分からない事など、教えて頂ければ嬉しいです。

皆さん、よろしくお願いします。


———うん?あれ?

・・・妖精ちゃん、じゃない?」


ラウルは教壇から身を乗り出してコチラを見ている。

そんな様子を見ていた先生が問いかけたのだ。


「ネフタリアさん?

クリーヴランドさんとお知り合いですか?」


「はい。留学手続きの時に知り合いになりました」


!!?


一言も話していないじゃない!

そんなの知り合いじゃないでしょ!!


と、私がそう思っている事は、誰にも知られる事はなく、話はどんどんと進んでいったのだった。


「では、クリーヴランドさんに後程(のちほど)、学園の案内役をお任せしますね。

では早速、今年度の教科書を配ります。落丁などありましたら、声をかけてくださいね」


あまりの出来事に、私は思考の海に沈んだ。


なんでこんな事になった・・・?


しかもこの人は、夢見る少女だった時の私の計画を間近で見ていたのだ。


つまり、知られたくない黒歴史を知っている。


私があの計画を実行した時、噂にならなかったのは、(みな)、口を(つぐ)んでくれたのだろう。


・・・だが、この人は違う。

だって、ヤバい奴なのだ。


私の黒歴史をペラペラと、なんの躊躇(ためら)いもなく喋るだろう。


しかも、妖精ちゃんとか・・・。

訳の分からない、あだ名で呼んでいる。


・・・これ、止めさせないといけないわ。


「———ちゃん、聞いてる?」

・・・ん?話しかけられている?


「ねーねー。妖精ちゃん?」


!!?やばい!?


「あの、(わたくし)はフェアリエル・クリーヴランドと申します。

妖精では、ありませんのよ?」


「やっと声が聞けたね。

前は全力疾走で逃げられたから、今回も逃げられちゃうのかと思ったよ」


・・・・・・。


・・・この人、わざと言っているわね?


どうしたもんか。と困っていたら、ウィルフォードと目が合った。

そして、席を立ちコチラへとやって来くる。


「失礼。

私はウィルフォード・ネイトピアと言う。何か困り事があれば、遠慮なく聞いてほしい。そして、フェアリエルは私の婚約者なので、個人的な相談は控えていただきたい」


「妖精ちゃん、婚約者いたの?

・・・ふーん、そっか。その方が面白いよね」

と笑顔で答えたのだ。


・・・え?何が?

・・・やっぱりこの人おかしい。

 

それを見兼ねたウィルフォードが提案したのだった。


「では、案内は私がしよう」


「えー!先生が妖精ちゃんに頼んだんだから、妖精ちゃんが案内してくれる?」


見ると、ウィルフォードの顔から表情が抜けていた。


これは相当怒っているわ。何とかしないと。


「ウィルフォード様、先生に頼まれたので、(わたくし)、ご案内して参りますわ」


「・・・そうか。

では、先に図書室にいる」


そう言って、図書室へと向かって行った。


その様子をメルティアとアグネスが心配そうに見ている。

私は大丈夫だと分かる様に頷いて見せたのだ。


そしてラウルに向き直る。


「早速ですが、行きましょうか。

それと、(わたくし)の事はクリーヴランドとお呼びください」


「すごく他人行儀だね。この学園に君しか知り合いがいないんだよ?

せっかく、楽しい留学になると思ったのに、とても残念だよ」


そうやって、とても寂し気に言うではないか。


ちょっと、壁を作り過ぎたかしら?

せっかく留学しに来てくれたのに、あんまりよね。


「あの、友達になりたくないとか言っているのでは、無いのですよ?」


「じゃあ友達になってくれる?」


そう聞かれると断るなんて事はできない。


「はい。よろしくお願い致します」


「そう。

・・・言質(げんち)は取ったよ!

友達なら愛称で呼んでもいいよね?

でも婚約者がいるなら名前では呼べないなぁ。

だから、やっぱり、妖精ちゃんにしよ?」


間違ったかもしれない。

後悔先に立たずだ。


機嫌が良さそうなラウルを唖然と見ながら、そう思ったのであった。


【ウィルフォード視点】


今日から新しいクラスになる。

フェアリエルと一緒のクラスになりたい。

そうすれば、いつでも彼女の顔が見られる。


ウキウキしながら早めに学校へ行き、クラス表を見た。

目で追って行くと、フェアリエルはBクラスだったのだ。


俺は、どこにいる?


・・・・!!!


嬉しい!

気持ちが()き早歩きでクラスへと入った。

辺りを見回すが、フェアリエルはまだ来ていないようだ。


(ぜん)Aクラスの友人と軽く話し、席に着く。

()()()()していたら、フェアリエルがやって来たのだ。


今日もとても可愛らしい。

俺には、フェアリエルだけが輝いて見える。


そして、彼女と目が合い、微笑んでくれたのだ。


・・・毎日これを味わえるのか。


嬉し過ぎて感極(かんきわ)まってしまった。


フェアリエルは俺と挨拶を交わし、自分の席に着く。


みんなの前では、ウィルと呼んではくれない。

少し寂しいが、我慢しているのだ。


それから、担任が転校生を伴ってやって来た。

自己紹介に何となく耳を傾ける。


・・・アリステリアス王国か。

マジッククレーの原産地だったな、とそんな事を考えていたら。


「——妖精ちゃんじゃない?」


・・・なに?


見ると転校生はフェアリエルをジッと見ている。


なんだ?知り合いか?

・・・いつ、知り合った?


フェアリエルを見ると、机に突っ伏(つっぷ)していた。何か考え事をしているのか、ずっとそのまま動こうとしない。


その後は教科書が配られ終わりとなったのだ。


そして、転校生はしきりにフェアリエルに話しかけている。

とその時、彼女と目が合った。


困っている。そう思い彼女の所まで行ったのだ。


挨拶をし、彼女が俺の婚約者だと知らしめる。

だが、彼はそれを面白いと言った。


フェアリエルは、分かっていなかったが、アリステリアス王国は婚約者がいようと関係ない。

遠慮などしない文化なのだ。と思い出した。


だから、俺が案内すると言ったのに、彼はいらないと言ってきたのだ。


()()()()()()()()、そう思っていたら、彼女が行くと言い出した。


——何故?彼の思うツボだろう?


確かに、彼女はアリステリアス王国の文化を知らない。


けれど、それに少し腹が立ってしまった。


俺は冷静になる為に、先に図書室へ来たのはいいが、逆に落ち着かない。


無理にでも付いて行けばよかったか?


2人で行かせるべきではなかったのでは?と頭を(よぎ)る。


そうしてフェアリエルが来るまで、意味もなく本を捲りながら、悶々と考えるウィルフォードであった。




【ラウル視点】


僕はラウル・ネフタリア。

アリステリアス王国で父が公爵位を(たまわ)っている。


僕は長男だから、このまま行けば将来は公爵なんだよ。


そして今回、ネイトピア王国に留学する事となったんだ。


もちろん、これには訳があるんだけど。

・・・まぁ、その内に話すよ。


クラスに案内され自己紹介をしていたら、あの時の女の子がいたんだ。

運命を感じたね。


しかも、必死に僕の目に映らない様にしているんだよ?


すごく目立つ髪色しているのに。

・・・ははっ。可愛いよね!


名前は知らないが、僕の中で、妖精ちゃんと呼ぶ事にしたんだ。

その妖精ちゃんが学園を案内してくれるんだって!


僕は嬉しくなって、話しかけたんだけど、全く返事をしてくれない。


もしかして、聞こえてないのかな?


そうして何回か話かけていたら、やっと気づいてくれたんだ。


彼女は自己紹介をしてくれたが、今さら家名で呼ぶ気は()()()()ない。

そう思っていたら、この国の第三王子が目の前に現れたんだよ。


しかも、妖精ちゃんの婚約者だと言うんだ。


・・・でも、おかしいな。

正式に公表されてはいないはずだ。


まぁ、公表されていたとしても、関係ないんだけどね!


僕の国では、何よりも気持ちが大事なんだ。

他国では【情熱の国】と呼ばれているんだって!


それに、恋に障害は付き物でしょ?

・・・まあ、まだ好きかは分からないけど、確かめる為にも俄然(がぜん)やる気になるよね!


さぁ、これからが楽しみだな!


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