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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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20

次の日


アイディア帳を持って、学園へと行った。


アグネスにこの間渡したマジッククレーの使い心地を聞いたところ、大絶賛だったのだ。

そして、掃除の頻度も減ったと言う。


お隣さんにも何処で購入したのかを聞かれたそうだ。

これは需要がありそうなので、商品化しても大丈夫だろう。


次は、スチームが出る美顔器はどうだろう。

もちろん、加湿器としても使える。


これには、メルティアが食いついた。

寒い日は、乾燥して肌がカサカサになるのに悩んでいたそうだ。

これも、早速試作品を作ってみる事にしよう。


と、そんなこんなで、授業も終わり、放課後は図書室へと向かう。


実は、この学園には図書室が10室もあるのだ。

十進分類法ごとで分けられている為、何処に行くのかを考える。


やっぱり、自然科学を(おも)とした図書室に行こうかしら。


自然科学の図書室は少し遠い。庭園を抜けた別館にあるのだ。

そして早速行ってみると、誰もいなかった。


これは快適ね。気を使わなくて良いし、自由にできそうだわ。

では、探しに行こっかな。


ルンルン気分で本を選び、席へと戻ろうと歩いていると、ウィルフォードが私のアイディア帳を見ているではないか。


昨日の今日で気まず過ぎる。

そして、何故勝手に見ているのか・・・。


私は、ウィルフォードがそのまま立ち去る事を願い、咄嗟(とっさ)に近くの本棚へ隠れようとしたのだが、そうは問屋が卸さなかった。


「これ、フェアリエルが書いたのか?」


私が隠れようとしているのを見ていて知っているはずなのに、何事も無かったかの様に聞いて来るウィルフォード。


・・・逆に恥ずかしいんだけど。

なんだか、居心地が悪く感じてしまう。


「・・・。

そうですが、何か変な事が書いてありましたか?」


「いいや、面白い事が書いてあるな。

こんなにも、よく思い付くものだ」


これは、褒められている?


昨日の気まずさが無かったかの様に話しかけて来るので、私も平常心を保てた。


「ウィルフォード様は何か用事があってこちらに?」


するとウィルフォードは顔を上げて話し始めたのだった。


「君が図書室に行くのが見えたから来てみた。

この手帳に書いてある物を作りたいのか?」


「はい、そうですね」


「では、私も手伝っていいかな?」


「!?

お忙しいウィルフォード様に手伝って頂くなんて、心苦しいです」


「大丈夫だ。それに、私がいれば、王宮書庫にも入れるよ」


・・・なんて魅力的な提案なんでしょう。


でも、その前に私の考えを話さなくてはいけない。

誰もいないし、このまま話しても大丈夫そうだ。


「ウィルフォード様、昨日の事で考えたのです。

本当にお見苦(みぐる)しい事を聞かせてしまいました。

(わたくし)は、今までの事を振り返り、唯の我儘であったのだと気付いたのです。

貴族として、有るまじき考え方でした。本当にお詫び申し上げます。

・・・そして、(わたくし)(たしな)めてくださり、とても感謝しております。

貴族女性の責務として、結婚は(まぬが)れない事は、重々承知しております。

けれど、(わたくし)は結婚ではなく、違う事で自分の価値を見出したいのです。

その一歩として、今調べている物を作り出し、国や、民の生活に貢献できればと思っております。

・・・ウィルフォード様にお手伝い頂ければ、とても心強いのですが、恩を(あだ)で返してしまう事になります」


私の話に静かに耳を(かたむ)けてくれていたウィルフォードが、思案(しあん)げに問いかけて来たのだ。


「それは、君の目的が達成したら婚約解消をしたいと言う事か?」

「さようでございます」


私は罪悪感からか、顔を伏せてウィルフォードを見ない様にしたのだった。


「・・・では、賭けをしないか?」


想定していた返答ではなかったので驚き、ウィルフォードを見つめて問いかけたのだ。


「賭け、とは?」


「卒業までに、君が私を好きになったら君の負け。その場合、私と結婚する。

だが、君が私を好きにならなかったら、婚約は解消しよう。

・・・どうだろう?」


「・・・本当に良いのですか?」


「あぁ。もちろんだ。

なので、君が作る物を手伝うよ」


「ありがとうございます!」


ウキウキと喜んでいる私をジッと見ていたウィルフォード。


ここから、ウィルフォードの反撃が始まる事になるとは、少しも気が付かないフェアリエルだった。



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