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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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19

次の休みの日


婚約の話をする為に王宮へと来ている。


いつも通り馬車から降りようとしたら、どういう訳かウィルフォードが居たのだ。


しかも、笑顔でエスコートをしてくれる。


婚約解消の話をしてからと言うもの、ウィルフォードが変わってしまった。


・・・もしかして、私と一緒で前世を思い出したとか?


あり得ない事では無い。

だって、私がそうなのだから。


私は前世を思い出してから、そこまで変わっていないと思うのだが、ウィルフォードは全くの別人だ。

こんなにキラキラしい笑顔を向けられた事は今までにない。


終始、驚き過ぎて、気が付いたらいつもの庭園に来ていたのだった。


「エスコートして頂きありがとうございます。」

「いいや、それより、何か考え事でもあったのか?」


いけない。

心ここに()らずな事がバレている・・・。


「大変失礼致しました。

・・・あの、ウィルフォード様は最近、何かを思い出した事とかありますか?」


気になる事は先に聞いた方がいいと思い、聞いてみたのだ。


「・・・?

思い出した事はないが、気付いたことはあるよ」


「!?

それはどんな事ですか?」


「今はまだ内緒だ。その内話す」


前世ではないの?

でも、明らかにおかしいのよ。


・・・まさか、二重人格とか!?

もう一人の自分に気付いたって事?

と、頭の中がフル回転していると。


「こうやって話すのは、とても楽しいな」


そう言って、ウィルフォードが白い歯を見せて笑ったのだ。


・・・だから、貴方一体、だれ!?


こんな事を言っては何だが、ウィルフォードの笑顔に()てられて気持ち悪くなって来た・・・。


・・・。


!?


しまった!

すっかり今日の用件を忘れそうになっていたわ。


そして私は姿勢を正し、気持ちを切り替える。


「先日お話しした件ですが、ウィルフォード様も婚約を解消したいと思ったから『解消したいか?』と聞かれたのですよね?」


私が真剣に話しているのが伝わった様で、ウィルフォードも表情を引き締めて対応して来る。


「確かに。お互いが苦痛であれば、解消した方がいいと思ったのは事実だ。

けれど、今まで知る努力をしてこなかったので、君の事が知りたいと思ったんだよ」


「ウィルフォード様は(わたくし)の事が苦手ではないのですか?

無理をする必要はないですわ。

婚約解消は(つつし)んでお受けいたしますので」


私が笑顔で告げると、『君は私の事が嫌いか?』とまるで、捨てられた子犬の様な目で見て来る。


そんな風に聞かれたら、嫌いとは言えないではないか・・・。


「・・・いいえ、嫌いではありませんが・・・」


「私も、君を嫌いではないし、苦手でもないよ。

もっと仲良くなれたらと思っている」


そう言って、キラキラしい笑顔を復活させて来たのだった。


・・・ケプッ。

もうその笑顔は、お腹いっぱいです。


いやぁ、これは手強い。

このままじゃずっと平行線だ。

私は、仕方ない、と腹を(くく)る事にした。


「ウィルフォード様。聞いて頂きたいのですが、(わたくし)、誰とも結婚する気がないんですの」


「それは、何故?」


()()()()と首を(かし)げて聞き返して来たウィルフォードに、本当の事を告げる事にした。


「将来を、誰にも縛られず、自由な田舎暮らしをするのが夢なんです」


私の夢を聞いたウィルフォードは(しば)し考えながら、(さと)すように返して来たのだった。


「・・・なるほど。君の言い分は理解したよ。

けれど、君は貴族で平民とは違う。

君の夢は、今、享受(きょうじゅ)している物に見合った義務を、果たせるのか?」


!!!


・・・雷に打たれた様だった。


夢見がちの自分をぶった()られた気がする。

自分勝手と自由を履き違えていたのだ。


どうしようもなく恥ずかしい。

私はウィルフォードの言葉に何も返せなかった。


(きび)しい事を言ってしまって、すまない。

だが、私は本気で君と向き合いたいと思っているんだ」


真剣な眼差しで見つめて来るウィルフォードに私も真剣に返したのだ。


「いいえ、ウィルフォード様。わたくしの考えが足りなかったのですわ。

・・・とても反省しております。

助言をいただき、ありがとうございます。

・・・少し、考えるお時間をいただけますか?」


・・・そうよね。

自由はルールの中にある。ルールは守らなくてはいけない。


志向(しこう)が前世に引っ張られていたのだろう。

貴族としての責務を忘れていた。


・・・私に出来る事を探さなくては。


そうして、私は新たな指針を胸に刻み、歩き出すのであった。


【ウィルフォード視点】


フェアリエルにキツイ事を言ってしまった。


夢を語る彼女は、とても幸せそうだった。

自由になりたい。と心から言っていたのが分かる。


でも、だからこそ言わずにはいられなかった。


王侯貴族には常に責任と義務が発生する。

俺も自由と言う言葉に憧れた時期がある。

だから、彼女の気持ちが分かるのだ。


貴族でなければ当たり前に叶う夢だろう。

だが、彼女は貴族でそれから逃げる事はできない。


俺も、もちろんそうだ。

自分の役割を果たさなくてはならない。 

 

そして、彼女は考えると言っていた。

きっと真剣に向き合うのだろう。


それにしても、誰とも結婚する気はないと言っていたな・・・。


貴族女性は家と家を繋ぐ為、結婚するのが一般的だ。

はたして、彼女はどんな事を考えてくるのか。


・・・とても、楽しみだな。



【フェアリエル視点】


ウィルフォードに言われた事は貴族として当たり前の事だった。

今まで私がしてきた事は、(ただ)の我儘に過ぎないのだ。


結婚するのが嫌なら、結婚して得られる利益、以上の価値を自分に見出(みいだ)さないといけない。


これがクリアできない限り、婚約解消の話はできないだろう。

であれば・・・。


私の特技って何かしら?


・・・寂しい事に、これと言って思い浮かばない。と()()()()()てしまう。


そして、なんとか捻り出そうと考えた時に気付いたのだ。


・・・そうだ、誰にも言えない最大の武器!

前世の記憶があるじゃない!

この世界で活用する事ができれば、何とかなるんじゃないかしら?


そう言えば・・・。

この間、ゴミを一か所に集める事が出来るマジッククレーをアグネスに渡したら喜ばれたっけ。


役に立つ道具を作れば、国に貢献できるのではないかしら?


アイディアは前世の知識から引っ張ればいけそうだ。だが、作る知識がない。


学園の図書室に通って調べてみましょう。


ある程度の考えが(まと)まったので作りたい物をノートに書き出し、本当に必要なのかを、まずはリサーチする事にしたのだ。


そうしてその日、フェアリエルの部屋の明かりは夜遅くになっても消える事はなかったのであった。


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