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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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16

授業終了後の放課後


メルティアとアグネスに、()()()があるから先に帰って、と伝えて一人で庭園に来たのだ。


婚約解消も秒読みと見たわ!

   

私の考えだと、ウィルフォードとの婚約解消はできたとしても、すぐに次の婚約者が、(あて)がわれると思うのよね。


そこで、次の作戦を実行しなければならないのだ!


今回の作戦は、淑女として恥ずかしい行いをしなくてはならない。


・・・本当に大分、悩んだ。


一流の淑女として教育してくれている母、妃教育を丁寧に教えてくださる王妃様。


私も、猫をいっぱい被れば、一流とは言えないが、ちゃんと淑女としての対応ができる。


だから、この1回だけ・・・。

1回だけだから許してほしい。


私の、この先の未来がかかっているのだから。と、心の中で言い訳をしたのだ。


そうして、無理やり気持ちを切り替える事に成功した私は、辺りを見回した。


では早速、作戦の話をしよう。


放課後の今、お(しゃべ)りをいている人、帰宅する人、本を読んでいる人など、庭園には人が点在している。


私は次の婚約者ができない様に(クリーヴランド家の令嬢は頭の()()が飛んでいる)と思わせ、婚約の打診をさせない事が目的だ。


・・・本当に苦肉の策だ。心が痛すぎる。


だが、ここで諦めれば、今までの事が全て無駄となってしまう。

それだけは回避したい。

なので、腹を(くく)る事にしたのだ。


そこで、考えたのがここで一芝居(ひとしばい)打つ事だった。


そう、それは、靴を脱ぎ、大声で歌うのだ!


前世、私が唯一(ゆいいつ)得意だったのは歌う事だった。


カラオケもそうだけど、上司に連れて行かれたスナックで歌った時には、みんなが振り向いてくれるぐらいの腕前だったので、それなりに上手かったんだと思う。


よし。やるわよ!


気合を入れ直し、歌い始める。


・・・やっぱり、みんな見ている。

恥ずかしいけれど絶対に止めないわ!


もう少しよ。頑張れ!と自分にエールを送った、その時。


「ねーねー何歌ってるの?すごく綺麗な声と振付だね。

可憐な妖精みたいだ!」


・・・え?私?


曲調激しめのアニソンを全力で首振りして歌っている。どこが、可憐、だと?


後ろを振り返ると、目の前に青年が立っていた。


年は私と同じぐらいだろうか。制服は着ていないので、ここの生徒ではないのだろう。

黒い髪に金色の瞳をした、恐ろしく顔の整った人だった。


・・・そして思った。


この状況で話しかけてくるなんて、尋常(じんじょう)じゃない。

めちゃくちゃ()()()()が釣れてしまった。


これは大変だ!


ヤバい奴に擬態(ぎたい)している私が、本物に(かな)うはずがない。

取り敢えず、靴持って退散だ!


脱兎(だっと)(ごと)く裸足で逃げるフェアリエルを笑顔で見ていた青年。


あんなに必死になって逃げちゃって。

ははっ、かーわいい!

この国には面白い子がいるんだなぁ。

ちょっとは、楽しめそうだ。


そう思って、青年もその場を後にするのであった。



全力でアニソンを歌っているフェアリエルの姿を見た者は、異国の歌を歌いながら綺麗な髪を(なび)かせ、飛んだり跳ねたりしている光景は、まさに、妖精のようだ。


周りから見ていた人の感想は、フェアリエルの思惑(おもわく)とは全くの逆だったのである。


(みな)、そんな現実離れをした光景に目を奪われていた、とは知らないフェアリエルだった。


そして、気後(きおく)れせずに声を掛けて来たのが、彼だけだったと言う話だ。




【その日の夜、王宮では・・・】


食事中、ウィルフォードが何の脈絡(みゃくらく)もなく言い放った。


「フェアリエルとの婚約を考え直そうと思います」


王妃はウィルフォードの初恋はフェアリエルだと知っていたし、それを陛下にも伝えていた。

まさか、ここまで(こじ)らせているとは夢にも思わなかったのだ。

まさに、晴天の霹靂(へきれき)だった。


貴方、フェアリエルさんに恋をしているのよ!って言いたい。


だが、契約書に子供の気持ちを尊重しなくてはいけないとある。


・・・親は口出しできない。


王妃は息子の不甲斐のなさに絶句し、国王はそのままぶっ倒れて、王宮に混乱を招いたのは言うまでもない。



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