ウィルフォード視点
フェアリエルは俺の前だけ笑わない。
俺だって、魔女だなんて未だに信じている訳じゃない。
だから、俺がしている態度は俺自身の問題だ。
どうしてフェアリエルといると苦しいのか。
俺に問題があるのなら、今までフェアリエルにしてきた事は、彼女を傷つけていたはずだ。
考えれば考えるほど、胸が痛くなる。
・・・もしかして、俺は女性に対してこうなるのだろうか?
俺たちは仮でも婚約者だ。
同世代の異性と親しく接する機会は、もちろんない。
だが、ここは学園だ。
クラスメイトの域を出なければ、女生徒と交流を持ってみても、いいかもしれない。
今まで話しかけられる事はあったが、当たり障りのない返事しかした事がなかった。
・・・確かめてみるか?
早速考えが纏まったので実行に移そうとした、丁度その時、話しかけられたのだ。
目を遣ると、茶色い髪と瞳の、これと言った特徴も無い女性徒がそこに居る。
・・・確か、バンサム男爵家の令嬢だったな。
名前は知らないが、家名は分かる。
『移動教室へ一緒に行きませんか?』と言うので俺は頷いたのだ。
話して見ると、彼女は良く表情が変わり、楽しそうに色々と話題を振ってくれる。
・・・まるで、昔のフェアリエルの様だ。と思った。
ものの5分程度で移動教室に着き自分の席で考えてみる。
彼女を見ても、フェアリエルを前にした時の様な気持ちにはならない。
普通に話も出来た。
では、いったいなんだ?
・・・俺の問題ではないのか?
・・・もしかしたら、俺はフェアリエルが苦手なのではないか?と言う考えに行き着いたのだ。
婚約を解消するのなら、お互い早いに越した事はない。
今度の茶会でフェアリエルに聞いてみるか。
そう結論が出たところで、チャイムが鳴った。
俺は意識を戻し授業を受けたのである。
【時は少し戻り】
フェアリエルはお昼休憩が終わり、みんなと教室へ戻る為に歩いていた。
その時、ピロティをウィルフォードと女生徒が歩いているのを偶然見つけてしまったのである。
なんと、愛しそうな微笑みをその女生徒に向けているではないか。
・・・・・ビックリし過ぎて言葉が出てこない。
なぜだろう?ショックを受けている自分がいる。
ウィルフォードのそんな姿から目を逸らす事が出来なかったのだ。
そして、二人は楽しそうに会話をしながら歩いて行ったのだった。
・・・どうして?
胸に手を当てて考えてみる。
ウィルフォードの事を好きな訳ではない。
だが、何年も一緒にいたのに、私には話もまともにしてくれない。
それなのに、まだ知り合って間もない人には笑顔で話している事にショックを受けたのだろう。
そして、再確認したのだ。
本当に嫌われていたのね・・・。
でも、これで婚約解消を言い出だしてくれるかも!
さっきの二人、ラブラブに見えたもんね!
今までの私、本当に頑張ったわ。
あの気まずい雰囲気にも、耐え抜いた私を褒めてあげたい。
私も今後の為に、更なる準備を進めるわよ!
フェアリエルは、確かにショックを受けたのだが、もう少しで夢が成就する事を考えると、そんな些細な事を気にしている場合ではない!
と、ひたすらに邁進するのであった。
そうして、フェアリエルの事を思い出しながら、笑みを浮かべていた事に気付かないウィルフォード。
そんなウィルフォードを見て勘違いをしたフェアリエル。
・・・二人の距離は、なかなか縮まりそうにない。




