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王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!  作者: こさか りね
本編

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12

今日から学園の授業が始まる。


淑女としての教養は、母に叩き込まれたから、気を抜かなければ何とかなるとして、問題は史実だわ。

似たような名前で、しかも長いから覚えられないのよね。


前世、日本の歴史上の人物名を覚えるのも苦労した記憶がある。


そして今は、自宅から馬車で学園へと向かっているところだ。


私は家が近い為、自宅から通っているが、メルティアは学校近くにペントハウスを購入したと言う。


また、学園には寮もあるので、そこから通う事もできる。


ただ、高位貴族は防犯上の兼ね合いから、寮での生活は推奨(すいしょう)されていない。

だから、メルティアも寮に入らないのだ。


寮のほとんどは低位貴族が使用する事になる。

この辺りは、平等とはいかないのだろう。


馬車で30分、学園へと到着した。


Bクラスに行くと、(すで)にメルティアが席に座っていたのだ。


「メル、おはよう!」

「おはよう、エル!今日も元気ね」


それから二人で話していたら、色々な人が私達に話しかけてくれたのだ。


私はすごく嬉しくなったのだが、段々と話している内に異変に気付いたのである。


私の一言一言に異常な反応を見せるのだ。


・・・なんだろう。

前世で言う【太鼓持(たいこも)ち】の様な感じだ。


メルティアを見ると、首を横に振っている。

そして、ホームルームが始まるまで、ずっとその状態だったのだ。


お昼休憩になり、色々な人に誘われたが、丁寧にお断りをして、メルティアと2人で庭園へと向かった。

学園には食堂があるが、ゆっくりしたかったのでお弁当を持参したのだ。


「ふぅ、やっと落ち着けた。

メル?さっきの何だったの?理由分かる?」


「まぁ、大体は分かるわ。あの方達は私達の家と繋がりが欲しいのよ。

もしかしたら、親から言われているのかもね」


「・・・それって、私じゃなくても、いいって事よね?」


「そう言う事ね」


期待が大きかった分、()()()()()してしまう。


・・・・・・・。


精神的に疲れてしまい、メルティアを()()()()と見ていたら、後ろのベンチに見た事がある子が居た。


・・・あれ?あの子。

教室で後ろに座っていた子じゃない?


そう思い、私と同じく、()()()()()していたメルティアに話しかけたのだ。


「ねぇメル。あそこにいる子、教室で私達の後ろに座っていた子よね?」


メルティアが振り返り確認している。


「確かにそうね。だけど、それがどうかしたの?」


「あの子、私達に話しかけて来なかったのよ」


「うん。それで?」


メルティアも疲れているのだろう。考える事を放棄している様だ。


「だから、私達の家に興味ないって事よ!

もしかしたら、お友達になれるかもしれないわ!!」


「エル、あなた・・・。

最高にポジティブね!そう言うの好きよ」


早速、メルティアと一緒に話しかける機会を(うかが)う。

教室よりも、ここで話しかけた方が得策(とくさく)だろう。


そして彼女が昼食を食べ終わろうとした、その時。


今だ!!


私達は、淑女として恥ずかしくない程度の急ぎ足で、彼女の前に出たのだ。


「こんにちは。今、お時間はありますか?」


焦り過ぎて、前世のナンパ男みたいなお誘いになってしまった・・・。


もちろん相手は、急に出て来たものだから、ビックリして目が点になっている。


「!!?

・・・あっ。えっと、はい。時間はあります。」


『ふぅ』第一関門(だいいちかんもん)は何とかクリアした。


「あの、(わたくし)、フェアリエルと申します。こちらは、メルティアです。

良かったら、お友達になってはくれませんか?」


緊張で顔が強張(こわば)りそうになるのを(せい)して笑顔を保つ。


「は、はい。私で(よろ)しければ是非」


・・・や、やったわ!


告白に成功した様な達成感だ。


メルティアを見ると、顔が高揚(こうよう)していた。

よっぽど、嬉しいのだろう。


そうして私達は改めて自己紹介をした。


彼女はアグネス・ムーア子爵令嬢。学園の寮から通っているそうだ。

田舎から出てきたので、知り合いがおらず、ずっと不安だったと言う。


勇気を出して、話しかけてよかったわ!


色々話していると、お互い緊張が()けてきたのか、アグネスの屈託なく笑う姿や、のびのびとしているところが、とても素敵だった。


アグネスはブルネットの髪にブラウンの瞳をしている。

日本人に似ている色彩に、何処か懐かしさを感じるのであった。


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