ウィルフォード視点
ここ最近、フェアリエルの笑顔をずっと見ていない。
前は色々と話してくれていたのだが、それも無くなってしまった。
毎月の茶会の時間がとても気が重い。
そこで、妃教育をしている母に『フェアリエルが最近笑ってくれなくなったんだ』と聞いてみたのだ。
すると母は『妃教育が進んでいる証拠よ』と言う。
では、フェアリエルはずっとあのままなのだろうか。
そう考えると、すごく寂しい。
それに、フェアリエルは笑っている方が似合うと思う。
家庭教師の授業も終わり、今日も図書室へと行く。
粗方読み終えたが、未だにこれといった解決策が見当たらない。
後は書庫の本や禁書棚を残すのみだ。
勝手に読んでも大丈夫だろうか?
不安になり、父に許可を取りに行ったのだった。
「父上、書庫や禁書棚の本を閲覧しても良いのでしょうか?」
そう伝える僕を見て、父は豊かな髭を触りながら聞いて来たのだ。
「何を知りたいのじゃ?」
「魔女についてです」
「魔女?
・・・そうか、魔女か。」
父は少し微笑み、幼気な子供を見るように言った。
「では、わしと一緒の時は閲覧する事を許可しよう。ウィルフォードにとって知識の糧となるじゃろう」
こうして、ウィルフォードは知識を増やして行く事になる。
だがこの時、陛下ことマクシエルは魔女を信じている息子に、魔女はいないと言う事が出来なかった。
何れ分かる事になるのだから、子供の夢を否定する必要はないと思ったのだ。
知識を得られるのは、将来的に役に立つ事なのだが、息子がフェアリエルへの想いを自覚するのが遠のいた事は間違えない。
そうしてウィルフォードは、拗らせ時間を長引かせるのであった。
【アディエル視点】
僕はアディエル。
フェアリエルの兄だよ。
僕の妹はとっても可愛いんだ!
もちろん身内の贔屓目じゃないよ。
見た目は可憐なんだが、性格がアグレッシブで、何をするのか分からないのも、また楽しいよね!
今日は家族でピクニックに来たんだ。
見渡す限りの地平線が広がっている。
雄大な景色に思わず見とれてしまった。
その時、フェアリエルがいきなり靴を脱ぎ、裸足で芝生の上に立ったのだ。
僕はビックリしてしまい『何しているの!?足が汚れてしまうよ』と即座に言ったんだ。
淑女が、いくら家族の前でも足を晒す事は良しとされていない事をエルだって知っている筈なのに。
だが、フェアリエルはニコリと笑い、口を開いたのだ。
「お兄さま?こうすると、より自然を身近に感じられるのですよ。
しかも、健康にもなれるのです!」
健康・・・?
良く分からないが、僕も試してみる。
最初はすごく抵抗があった。
・・・だが、どうだろう。
少し経つと、本当に自然と一体化した様な、気持ちが楽になる様な、そんな気がした。
フェアリエルは裸足のまま歩き回っている。
だから、僕も一緒に歩いた。
常識に囚われている自分が、とてもちっぽけに思えたのだった。
そして気分が、晴れやかになっていく。
そんな僕を知ってか、知らないかは分からないが、自由な心で引っ張ってくれた妹が、とても眩しく見えたんだ。
そうして父達の元へ戻り、僕らの格好を見た母も、やはりビックリしていたけれど、フェアリエルから聞いた理由を話すと『仕方ないわね』と言いながら笑っていた。
父も裸足で歩こうとしたが、母に止められて残念そうだったのが、少し面白かったな。
そんな、楽しくて、優しい家族が僕は大好きなのだ。




